2022
12.05

血圧が上がっているのだが、なぜ?

らかす日誌

人の身体とは不可思議なものである。当の本人が知らないうちに様々なことが起きる。今度は血圧が高いのだそうだ。

今日、健康診断を受けた医者に行った。高い数値の中性脂肪を落とす薬が今朝で切れ、明日からの分の処方箋を描いてもらうためである。
このお医者さんは親切で、こちらは単に中性脂肪排除剤の処方箋が必要なだけなのに、

「折角来たんだから」

といわんばかりの勢いで、必ず血圧を測る。そして、今日もそうだった。その結果が

「何これ、あなた、血圧がひどく高いわよ」

聞くと、上が180台、下が100台である。確かに、ギョッとするほど高い。
いや、おかしい。そんなはずはない。

「間違いじゃない? もう一度測ってみて」

という私のお願いを聞き入れ、再度血圧が測定された。私は深呼吸して血圧の下降を図った。

「ダメよ、少しは下がったけど、まだ上が170台よ。これ、血圧降下剤を出さなきゃいけないんだけど」

何でも、上が160を超すと血圧降下剤の投与対象になるのだそうだ。
いやである。身体は何らかの理由があって血圧を上げている。薬で血圧だけを下げても、その原因が取り除かれるわけではない。それに、血圧降下剤は一度飲み始めるとやめることができないと聞く。QOL(Quality of Life)を下げるということも本で読んだ。
第一、身体にこれといった不具合はないのである。血圧降下剤を飲むのは嫌である。

しかし、おかしい。1ヶ月少々前、同じ医院で健康診断を受け、同じ女医さんに血圧を測ってもらったときは上が120台、下が80台の正常値だった。あれから、たいして時間が経過したわけではない。私の暮らしぶりが変わったこともない。それなのに何故血圧が急騰する?

「ね、先生、そう思いませんか?」

「そう言ったって、現に血圧が高いんだから」

といわれて思いだしたのは、EPA(エイコサペンタエン酸)の服用を止めたことである。EPAは青魚に多く含まれる脂肪で、血液をサラサラにする。サラサラになった血液は強い力で押し出さなくても身体の隅々まで流れる。だから血圧上昇を抑えるのだが、20日に迫った前立腺の生検に向けて、服用を止めるよう医者に言い渡されたのである。何でも、サラサラの血液は固まりにくく、多数の針を会陰部から刺す生検では、一刻も早く血が止まってくれなければいけないから、という理由であった。

「だからじゃないかな。生検が終わったらまらEPAを飲むから、血圧降下剤は勘弁して」

私の願いを聞き届けた女医さんは、だが1つ命令を下した。

「じゃあ、毎日血圧を測ってちょうだい。朝起きて1時間以内、夕方、お風呂に入る前、の1日2回よ。忘れないで」

というわけで、しばらくお蔵入りになっていた家庭用血圧計を引きずり出し、今日5時半頃測った。上が160,下が97。ふう、やっぱり高いなあ……。

さて、私は血圧降下剤服用者にならなければならないのか?

1人の看護師さんがいった。

「誰でもね、40を過ぎると「どっかしら悪いところが出るものなんですよ」

いや、腰痛を別とすれば、私は73歳になる今日まで、風邪、希にインフルエンザに感染したことはあるが、入院するほどの病とは無縁である。今回、前立腺の生検で入院するのが私の初体験なのだ。

ということは、私は極めて使い勝手のいい体を両親に授かったということか?

自分の身体のあちこちと戦いを始めなければならなくなった73歳の繰り言であった。