09.13
2009年9月13日 入院
といっても、私ではない。
病院マニアと化した妻でもない。
今回入院したのは、愛犬リンである。
記憶に頼ると、リンは2008年が2009年に代わる前後から体調がおかしかった。尿が出にくいのである。散歩に出ると、待ちかねたように排尿をする。それが、かつてのように勢いよくほとばしり出るのではなく、
チョロチョロ
という感じで出るようになった。
「膀胱炎かな? 放っておけば治るだろう」
と思っていた。ところが桐生に転居した頃から、尿の出方が
ポタポタ
という感じになった。線を描いて尿がでるのではなく、したたり落ちるのである。やがて排尿しながらうなり声を出すようになった。力みすぎるのか、排尿しながら同時に排便したこともある。犬としてはあるまじきことである。
病状が進んでいると判断せざるを得なかった。動物病院に通い始めた。4月のことだ。
人間より遙かに原始的な犬は、通常、1、2回の治療、投薬で健康を回復するものだ。ところが、今回のリンは回復しない。?
最初は、膀胱炎が疑われた。投薬で効果が出ないと、膀胱結石ではないかということになった。餌を変え、薬を変え、痛み止めまで飲ませたが、尿の出は変わらない。そればかりか、突然、部屋の中で狂ったように排尿するようになった。リンの膀胱は常にパンパンに尿を抱え込んでいる状態らしい。それがどうして出てこないのか?
医者はとうとう、膀胱がんを疑いだした。尿中に落ちた膀胱の粘膜細胞を尿から採取し、検査に送った。それで病名が決まれば、ある意味でほっとするのだが、
「検査の結果、悪性腫瘍の細胞は出てこないんですよね」
8000円もかけた検査も役に立たず、
「性器からカテーテルを膀胱に入れて尿を出します。いつも尿が残っているので、とりあえず尿を出し切って膀胱を休ませ、同時に膀胱の洗浄もします」
と宣うた。膀胱にカテーテルを挿しっぱなし、ということは尿を垂れ流しっぱなし、ということでもある。
「いやあ、家の中で飼っているので、尿を垂れ流されると……」
と渋ると、
「そうですよね。だから入院してもらいます」
それが昨日、土曜日の出来事だ。
今日、見舞いに行った。というか、医者に来てくれ、といわれて従った。同時に、内金として5万円置いてきた。
どうして犬には健康保険がきかないのだろう? 俺、定年退職者。それほど豊でもない暮らしに、犬の治療費はこたえる……。
退院は水曜日の予定である。それまでに健康になっていればいいが。
リンのいない日曜日の朝、久しぶりに車を洗った。1週間前まで住んでいた家では様々な要因から自分で車を洗うのが難しかったが、いま住んでいる家なら庭先でできる。
高圧洗浄機で汚れを洗い流し、水を拭きあげ、アルミホイルを磨き、車内のゴミを掃除機で吸い取り、シートの汚れを専用の洗浄液で……。
「いてて!」
突然、左腰の上あたりが痛んだ。筋をひねったか?
未だに左肘の内側は痛みっぱなしだ。それに加えて左腰の上。相変わらず肩はこるし、腰も万全ではない。
ああ、アラ還。
痛むからと、体を休めていては筋肉はさらに固まる。老化が進む。だから、動く、手足を動かす。痛い! でも、動かなきゃ。
痛みとどう付き合うか。私の暮らしの新しいテーマである。