2010
01.11

2010年1月11日 ポカ

らかす日誌

今日は1月11日である。日誌だから最初に日付は書いてあるのに、改めて今日の日付を書いたには、ちと訳がある。

今朝は7時前に目覚めた。布団の上で下半身を右に、次に左に目一杯回す。終わったら両足を両手で持ち、ぐっとお腹に引き寄せる。毎朝欠かせない朝の柔軟体操である。寝ている間に突っ張った腰の筋肉をストレッチでほぐさないと、突然の腰痛に見舞われたりする。

パジャマの上からガウンを引っかける。リンに声をかけて玄関から外に出し、朝の排尿をさせる。その足でポストまで歩き、新聞を取ってくる。居間のテレビを付け、NHKの朝のニュースを見ながら新聞を開く。
毎朝の日常である。

今日は月曜日だ。そろそろ妻が起きてきて朝食の支度をする時間だ。
と思っているが、なかなか起きてこない。ニュースはほとんど終わり、8時近くになっても妻の寝室はシンとしたままである。

そうか、そういえば昨夜、というか本日未明というか、リンがうなっていたな。声を聞いて目覚めたが、まあ、寝ぼけ眼で布団からでなくても朝になって処理すれば良かろうと放っておいた。そのうちスリッパの音がしていたが……、あれは妻が起きてきて処理をしていたのか。そういえば朝、屋内のどこにも水たまりはなかったな。
だとすると、夜中に起き出して睡眠時間が減った分の穴埋めをこの時間にしているのか。仕方あるまい。まだ仕事が忙しくなる時期ではない。多少朝が遅れたとて、仕事にたいした支障はない。いざとなれば、デニーズで朝食を済ませることだってできる。まあ、寝たいだけ寝るがいいさ。

そんなことを考えながら新聞をながめていると、妻が起き出してきた。8時過ぎだった。朝がのどかに始まった。

「明日お医者さんに行って胃カメラの予約をしてくるから」

いつものように、妻が唐突に言い出した。が、この程度の唐突さには何とかついて行ける範囲だ。

 

「鶴瓶さんが映画で賞をもらったんだってね」

と突然声をかけられたのは、朝食を食べているときだった。私は笑福亭鶴瓶などという男に興味も関心もない。名前からして落語家らしいが、その落語は聞いたこともない。どうでもいいテレビ番組の司会などをして身過ぎ世過ぎをしているそこいらのタレント、といった程度の認識しかない。映画に出演したことがあるなんて知りもしない。妻の言葉で知ったいまも、見たいとも思わない。
そもそも我が家で鶴瓶が話題に上ったことなどない。私が無関心だから話題にしようもないのだ。
あわせて、鶴瓶を「さん」付けで呼ぶような関係も、我が家と鶴瓶の間にはない。仕事で袖すり合ったことがある文珍なら「文珍さん」といっても違和感はないが。

「おい、飯食ってるときに、何で突然鶴瓶なんだ? あいつが何を受賞しようと俺にはまったく関心がないし、受賞の有無を知りたいとも思わないのだが。なんで鶴瓶?」

妻は私の横にあったビッグコミックを指さした。昨日買い求めて読み終えたものである。

「表紙が鶴瓶さんだから」

目で見たものが頭の中の知識と結びつくと、その場の空気や流れが妻の中では瞬時に消え去り、たちまち「見たもの+知識」が言葉となって口から出る。それが唐突感の原因である。何度注意しても同じことが繰り返される。おそらくDNAに組み込まれているのであろう。いくらなじめなくても、慣れるしかない。とは思うが、未だに慣れることもできずにあきれているのだが。

で、話を元に戻す。

「何で明日なんだ。今日予約してくればいいじゃないか」

 「今日は休みだから」

ん、このあたりの医者は月曜日が定休か? いや、日曜日に休診するのが普通だから、月曜日はやっているはずだ。リンの獣医の定休日は確か火曜日だったし、どうして医者が今日休む?
ふと、思い当たった。

「あ、今日は成人の日か」

 「何だ、仕事に行くつもりだったの?」

 「……、ああ」

そうか、今日は休みか。そうか……。

考えてもみなかったので、休日としての予定は何も立てていない。さて、ぽっかり空いた1日をどう使う?

何だか得したような、逆に言えば突然見知らぬ場所に放り出されたような、不思議な気分だ。さて、何をしよう?

皆さん、今日は何をします?