01.05
2011年1月5日 ヘルニア?
「ふむ、MRIを撮った方が良さそうですね」
朝一で駆けつけたら、医者がそういった。明日、つまり6日午前10時から、我が身体はMRI(核磁気共鳴画像法)で断層写真を撮られることとなった。
解剖もせずに体内の状況が知れる。何とも頼りになる文明の利器だが、いかなる仕組みでそのようなことが可能になるのか、私にはとんと分からない。分からないまま、明日は台に乗る。1時間ほどかかるそうだ。
「3、4日前からなんですけどねえ」
今朝、私は医者を前に、私は症状を説明した。
「左腰から左のお尻のくぼみにかけて、痛いというのではいけれども、張ってる、みたいな感じがあって、それが足にも伸びてきまして。は、左足に力が入らないと気がついたのは昨日です。これ、薬の副作用ですかねえ」
症状を聞きながら、医者は直ちに副作用説を否定した。
「薬の副作用なら全身に、少なくとも両足に出るはずです。左脚だけ、というのは考えられない」
なるほど、もっともである。私も副作用説は捨てねばならぬ。
「では、こちらへ」
診察用のベッドに仰向けに寝かされた。その状態で伸ばしたままの足を左右交互に、90度近くまで持ち上げられた。
「痛みが走りますか?」
と聞かれたが、私が感じるのはストレッチ運動と同じ筋肉の悲鳴だけである。正直にそう答えた。
「なるほど」
この検査にどのような意味があったのかは不明だが。そういった医者は次に、私の両足の親指を足の裏方向に曲げ、
「親指を元に戻してください」
といった。やってみると、右は簡単に戻るのに、左は戻らない。力が入らない、といった方が正しい。
次は親指を私の腰の方向に押し上げ、同じ指示をした。これは両足ともに押し返すことができた。
診察はそれだけだった。
「で、どうなんですか?」
患者である私が一番知りたいことである。
「うーん、急に筋力が衰えていますねえ。第一に疑わねばならないのはヘルニアです。MRIを撮りましょう。いつなら大丈夫ですか?」
こうして、私はMRIの検査台に乗ることになった。
ヘルニア、私の場合は腰椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間にあるクッションである椎間板が、本来存在してはいけないところにまで飛び出してる状態だ。飛び出した部分が神経に触り、症状を引き起こす。知人、友人の中にも何人か、同じ病気の持ち主がいたことを思いだした。
「で、治療はどうなりますか?」
これも患者である私の関心事項である。
「ま、まずMRIの写真を見てから、ということにしましょう。撮影が終わったらすぐに写真をくれますから、それを持ってきてください。明日、あ、明日は木曜日で午後は休診か。はい、明後日来てください。おいでになれますか?」
いや、おいでになれるも何も、かかっているのは私の腰である。何があろうと、万難を排して駆けつけるしかない。
「治療方針はその時、ということで」
ついでに、腰の牽引と腰の加熱というリハビリを済ませ、1070円也を支払って病院を出た。
が、気になる。ヘルニア? 治療? やっぱり、飛び出した部分を手術で切除するのか?
自宅に戻ってネットで検索してみた。
ちょいと気が楽になった。まずは薬物療法と温熱療法らしい。手術を考えるのは排尿障害、つまりおしっこの出が悪くなってからのことだとかいてある。へーっ、ヘルニアでおしっこが出なくなるの。じゃあ、俺はまだ大丈夫だよな。目覚めと同時にトイレに行く生活が長いもんな。
でも、あれか。重度のヘルニアで苦しんでいる人は、寝小便したら喜ぶのか。ああ、出た、出た、って。
いや、これはちょいと不謹慎な連想であった。
というわけで、私の腰の病名がはっきりするのは7日、金曜日である。
うん、やっぱり今週いっぱいは仕事にならないな。