01.14
2011年1月14日 もしかしたら
読者の中に、ひょっとしたら心を痛めていただいている方がいらっしゃるかも知れない。
瑛汰である。
続報を記す。
瑛汰は今日、母に連れられて済生会横浜市東部病院に行った。検査である。
午後2時半頃、次女から連絡があった。
結論から言えば、病名は特定できていない。
疑わしいのものの1つは、マイコプラズマの感染である。この細菌に感染すると、主に幼児、小中学生が肺炎を起こすことがある。
「1ヶ月ほど前、瑛汰はなかなか風邪が治らなかったけど、それがマイコプラズマに感染して肺炎になっていたのかも知れないって」
しかし、マイコプラズマ感染で肝機能が衰えるのかどうか。医師は首をひねっていたとも。
ヘルペスも疑われた。発疹が出たためである。が、これも肝機能との関連は不明だ。
A型肝炎、C型肝炎も疑いの対象となった。しかし、これもはっきりしない。
いずれにしても、病名は特定できなかったというのが今日の結論である。週明けの火曜日、再び検査のために済生会横浜市東部病院に行くそうだ。
こうして瑛汰は、とりあえず入院を免れた。食欲はあまりないが、とりあえずは元気だという。
「あ、瑛汰君、ババです。ババね、瑛汰君のことが心配で、昨日は眠れなかったの。うん、ずっと起きてたの。えっ、ボス? ボスは寝てたんじゃないかな。どうしてって? だって、ボスはお酒を飲むでしょ。お酒を飲むと寝ちゃうのよ。ん? ボスと代わる?」
瑛汰と話していた妻女が台所からやってきて、受話器を私に手渡した。
「はい、ボスです」
「あのさ、瑛汰だけどさ、ボス、昨日寝たの?」
「ああ、寝たよ」
「お酒飲んだからでしょ。お酒飲んじゃダメですよ」
「お酒ぐらい飲んでもいいだろう」
「ダメです! だから寝ちゃったでしょう」
「うん、寝ちゃったけど」
「あのね、ババもママも璃子ちゃんも、瑛汰のことを心配して寝なかったんだって。ボスも瑛汰のことを心配して、寝ちゃダメです。だから、お酒飲んじゃダメです!」
「瑛汰は寝たか?」
「はい、瑛汰は寝たよ」
「そうだろ。寝ないと元気にならないんだよ。だから、瑛汰と同じでボスも寝たの」
「瑛汰は寝ないと元気にならないけど、ボスは寝なくても元気だから寝ちゃダメです」
「ふーん。ね、瑛汰のパパも寝なかったのか?」
「……、パパはお仕事してるから分からないけど、ボスは寝ちゃダメです。瑛汰のことを心配しないといけないんです」
ま、今日も焼酎のお湯割りを飲みながらこれを書いている。
瑛汰、悪いが、今日も寝かせてもらうぞ。
もしかしたら、読者の中に、ひょっとしたら心を痛めていただいている方がいらっしゃるかも知れない。
私の医者通いである。
続報を記す。
前回書き忘れたが、私は12日朝、整形外科を訪れた。腰を牽引するためである。
夕方は、抜糸したあとの消毒のため歯科医を訪れる予定だったが、仕事に紛れて忘れた。
昨日は、歯科医に行かねばと朝から思っていた。だが、昨日も忘却した。瑛汰の話がショックキングだったからでもある。
その昨日、瑛汰一家の一大事を耳にした我が妻女がいった。
「私も腰が痛いから、整形外科に行きたい。横浜に行く前に行きたい。だから、明日連れて行って」
今日は朝から仕事だった。終えて昼食を済ませ、妻女を伴って整形外科に出かけた。出かける直前に次女からのレポートが入ったが、それは冒頭に記したとおりである。
せっかく整形外科までドライブしたのである。であれば、私も腰を引っ張りたい。1日も早くヘルニアの症状から脱したい。
とおもって、腰を引っ張った。
妻女は腰のレントゲン写真を撮り、診察を受けた。
「腰の骨と骨の間のクッションが薄くなってるんだって。クッションが薄くなるほど働いたっていうことね。でも、足が痺れてないからヘルニアはないんだって」
違う。四つ足で歩行する動物と違い、人間は二足歩行をするようになった。そのため、背骨の間にあるクッションである椎間板は、重力の働きで常に圧迫される。若いうちは圧迫されても押し返すが、それでも勤続疲労はある。長年生きてくれば、椎間板は薄くなって当然なのである。働いたか働かなかったかの問題ではない。どれだけ長い間二足歩行をしたかどうかの問題なのだ。要は、老化である。
妻女も腰を牽引した。
「うわー、気持ちよかった。こんなに気持ちがいいのなら、もっと早く牽引すればよかった。毎日でも牽引したい」
整形外科の帰り、歯科医に寄った。指示された日から3日遅れで罰しあとの消毒のためである。
「ああ、綺麗だわ。これだったらもう抜糸をしてもいいな。はい、抜糸しますよ」
来週の予定だった抜糸が繰り上がった。
「えーと、2週間ほどしたらまた来てください。抜糸のあとを見たいので。ところで大道さん、近いうちに新年会をやりましょう。長田さん(共通の知人)にもいっておきましたので、近いうちに連絡します」
キャラが際立つ私のような人間には誘いが多い。
夕刻、夕食の支度をしていた妻女が腰を押さえていた。
「何だ、牽引のあとはあれほど楽になったといっていたのに、もう腰の痛みが再発したのか?」
「楽になったのは瞬間的なものよ。何でも一度では治らないの」
妻女は来週も整形外科に通う勢いである。私も、飲み薬が切れる来週は、整形外科を訪れざるを得ない。ヘルニアの症状は軽くなったとはいえ、まだ厳然として残っている。
来週以降も、医者との付き合いは途絶えそうにない。
そんな年齢なのである。