06.01
2011年6月1日 菅直人
内閣に対する不信任決議案が衆議院に提出された。
やっと、というべきか、とうとう、と表現すべきか、はとりあえず置いて、この問題を整理する。
菅直人は首相を続けるべきか。
最初に来る問いである。世論調査の動向を見るまでもなく、私は続けるべきではないと思う。
いいとこ取りの目立ちたがり屋。目先の政局しか見えないド近眼。女房の尻に敷かれるダメ亭主。己の能力には限界があるという単純明白な事実を知らない究極の無知。リーダーシップの使い方を知らない阿呆。
形容する言葉は様々ある。現状を見る限り、我々は最悪の時期に最悪の首相を持ってしまった不幸な国民である。
菅直人は首相を続けるべきではない。
私の意見には多くの賛同が得られると思う
だが、次の問いへの答えは難しい。
この時期の不信任決議案は適切か?
遅すぎたともいえる。地震と津波、それに福島第一原発の事故が発生して以降の菅内閣の対応に満足している人は希である。首相がこの男でなかったら、もう少しましな対応ができたのではないか?
早すぎるという考え方も成り立つ。
まだ住むところも見つからない避難者が数多い。避難所での不自由な暮らしは間もなく3ヶ月になる。その人たちの救済は遅々として進まない。地震と津波でがれきの山となった被災地の復興計画もまとまらない。いや、がれきの取り除きだってまだまだである。おまけに、原発の後始末も予断を許さない。
こんな時期に、政治に空白を作っていいのか? そんなことにうつつを抜かしていていいのか?
だが、いましかないと、自民党は考えた。これ以上は待てない、すぐに菅首相は辞めるべきだ!
私の第1の問いにご賛同いただいた方々も、第2の問いにはそれぞれのお立場を取られているであろう。どれも、考え方として成り立つからである。
私は、今回だけは自民党と共同歩調をとる。菅首相の下で意味のない無駄な日々が積み重ねられるより、例え数日の政治的空白があったとしても、新しいリーダーシップのもとで復興・再生の道を切り開いた方がよい。
菅直人は、一刻も早く首相の座から去るべきである。
さて、内閣不信任案は明日採決される。迫る側、守る側がそれぞれに、今ごろ永田町や赤坂あたりを走り回っているで事だろう。現時点では、民主党内部からも小沢一派、鳩山前首相(この人も困った人である)らが不信任案に賛成するのだという。不信任案は可決されるのか、否決されるのか。
仮に可決されると、菅直人には2つの選択肢しかない。内閣を総辞職するか、衆議院を解散するかである。
否決されると、民主党の分裂騒ぎが起きかねない。民主党の暗い顔しかできない岡田幹事長は、造反議員は党として処分すると恫喝している。不信任決議案には民主党の数十人が賛成すると表明しているから、この人たちはひょっとしたら除名処分となる。さて、民主党を追い出された人々は新しい党を作るのか。どこかに党になだれ込むのか。政界に相当な混乱が起きるのは避けられない。
だから、私はやっぱり考えてしまう。
こんな時期に、政治に空白を作っていいのか? そんなことにうつつを抜かしていていいのか?
最も望ましいのは、菅直人が自ら首相の座を退くことである。あるいは、明日の不信任案採決までに、菅直人を首相から白ぞかざるを得ないところまで追い詰めることである。
そして、民主党は直ちに後継の代表を選ぶ。新しい代表が国会で首相に選ばれ、直ちに組閣する。
政治的空白を最短ですまそうと思えば、それしかない。
ここまで考えて、再び頭を抱えた。
後継首相? 誰がなるの? そんなの、民主党にいたか? いや、ほかの政党だって……。
我々は、最悪の時期に最悪の政治家集団を持ってしまってしまった気がして仕方がないのである。