2014
05.08

2014年5月8日 都へ

らかす日誌

明日、都へ出る。

というと大げさだが、東京に行く。私にネットワークオーディオへの道を開いてくれたSさんと酒を飲むためである。

人と人のつながりは、ネットや電話で保てるものではない。できる限り顔と顔をつきあわせ、お互いの目を見ながら語り合う時間を持たねば、つながりは決して深まりはしない。深まらない関係はいつか途切れる。
語り合う2人の間にうまい料理と酒があればいうことはない。それこそ、人生の至福のひとときである。

というわけで、あの大雪の日以来、久々にSさんと酒を汲み交わすのが上京の目的である。

「ん? 明日は金曜日、平日ではないか。仕事はどうするの?」

そんな硬いことをお言いなさんな。こちとら、すでに一度定年退職した身である。現役時代に比べれば遥かに低い給与で労働に勤しむ。多少の自由がなければ、給与ががた減りした意味がない。

それに、だ。いまの身分のいいところは、あてにされないことである。まあ、ジッちゃんが頑張って仕事している。あまり負担をかけすぎるなよ、程度の思い遣りは、我が社の若い人たちにはある。と思いたい。
それに。だ。定年を過ぎた人間をあてにする組織であれば、未来は暗いと思い知るべきである。企業の中核となって仕事を支えるのは、常に若い連中の責任なのである。
うん、俺が若いころは、年寄りなんてあてにしなかったぞ!

というわけで、午前10時頃桐生を車で出て、まず横浜の自宅を目指す。昼食を済ませたあと、銀座のオーディオショップでSさんと会い、ついでにソニープラザを冷やかして川崎に転進、中華料理を楽しもうというプランである。
久しぶりだなあ、「松の樹」の中華!


「おい、こんなに荷物があるのか!」

夕刻、我が妻女殿に申し上げた。我が家の居間には、明日、横浜の次女宅に持参する荷物が、それこそ山積みになっているのである。
黒保根の米が7kg、障害者施設で作っているパン(これが美味しいのだ!)、璃子の誕生日プレゼント(6月30日なのだが、妻女殿はその日を待ちきれなかったようである。大きな箱の中身が何かは、私も知らない)、ピーナツ、梅干し、コーヒー、何故か、たこ焼き器、次女がフリーマーケットに出すあれやこれや……。
敗戦直後、極度の食糧不足に悩まされた都会に、田舎の田園に住む両親が、都会では手に入らないあれやこれやをもって慰問に駆けつけるのに似る。

「まあ、この程度なら何とか車には積めるけどな」

と嘆息するほどの嵩(かさ)である。
おまけに今日夕刻、妻女殿がおっしゃった。

「瑛汰に電話したら、『ボスは西瓜持ってきてくれる?』っていうのよ」

というわけで、明日は朝から農協の販売所に行って西瓜を見繕ってこなければならぬ。そうして荷物を車に積み込んだ私は、クロネコヤマトのお兄ちゃんになって横浜まで車を運転するのである……。
そういえばあのお兄ちゃんたち、おじちゃんになったら内勤で事務をするのかなあ。事務のしごと、そんなにたくさんあるのかなあ。ま、私が心配することではないが。

戻りは、多分日曜日。この間、何かがあれば、次の日誌でご報告する。特筆することがなければ無視してコマを先に進める。 


NASにため込んだ楽曲のTag書き換え作業は順調だ。最初の山場であったEric Claptonをすでに終わり、Grammyまで進んだ。次の山はJohn Lennon。このフォルダには、海賊版を含めて44枚のアルバムがある。次はPaul McCartneyで44枚。最大の山であるThe Beatlesには63枚。
というわけで、作業は全体の5分の1程度が済んだところか。
でも、いつの間にこんなに沢山のCDを買い集めていたんだろう……。

人間とは不思議なもので、こうして作業を進めると、再生しようという音楽は、作業が済んだもの、つまり検索が簡単なアルバムに集中する。自分で作ったフォルダから入っていけるので、聴きたいアルバムがすぐに見つかるためである。
何事にも、より楽なことを選んでしまう人間の特性が、私に良く表れている。

横浜には、クラシックのCDが100枚を超す単位で置いてある。これも今回桐生に運び、NASにコピーする予定である。とにかく、ネットワークオーディオは音の生々しさが違う。となると、それほど好みではないクラシックも、たまには聴いてみたくなるのだ。
ポリーニのショパン、ポリーにとベルリンフィルの皇帝、モーツアルトのピアノコンチェルト20番、21番、展覧会の絵……。
素敵な音楽立ちにもう一度出会えると思うと楽しみである。

ということで、次の日誌は日曜日以降になる。お待ちいただきたい。