04.30
2016年4月30日 サボり?
今月はこれが10本目の日誌である。3日に1本。いつもの月よりやや少ない。
「サボるんじゃねえよ!」
とお読みいただいている方々からお叱りを受けるかも知れないが、決してサボったつもりはない。
4月は日々これ好日。何の変化もない凡庸な日が続いたからなのか。それとも、なんだかんだと飲み会が多かったためなのか。新聞やテレビに文句をいうのに飽きたからか。
いずれにしても、67歳の誕生日を来月に控えて、我が暮らしは平凡な日常の繰り返しである。
27日深夜、瑛汰、璃子の一家がやってきた。何度も書いたが2人のパパは歯医者さんで、お休みは木曜日と祭日のみ。だから水曜日の仕事を済ませたあと、瑛汰、璃子に翌木曜日の学校、幼稚園を休ませての来訪であった。
久しぶりの来桐だから、こちらも
「学校、幼稚園を休んでまで来るのだから」
と28日は休みを取り、
「那須ハイランドパークに行こうか、それとも日光江戸村がよいか」
と計画を練っていたのだが、当日はあいにくの雨。やむなく、前橋の屋内プレイランドに出かけ、近くの「ばりきや」のラーメンで昼食。
瑛汰はラーメンにばりきめしまで平らげて
「美味い!」
とご満悦だったが、そんなに美味いか、あれが? お前、家で何を食べさせられている?
という次第で、何とも意気の上がらない1日であった。
昨29日は、打って変わって好天気だった。が、パパの休みはこの日までで翌日は仕事である。遠出はできない。
というわけで、太田市の「ぐんまこどもの国」へ出かけた。狙いは「サマーボブスレー」だ。多分ステンレス製のハーフパイプ、つまりパイプを半分に切って延々と繋いだコースが、山頂からふもとまで曲がりくねって設置されている。この中を、ブレーキ付きのソリに乗って滑り降りるのだ。ソリは2人乗りである。
「瑛汰、お前は啓樹と一緒に乗ったことがあるよな」
「えーっ、瑛汰、覚えてない」
そんな会話をしながら朝9時、璃子、2人のママ=私の次女、と4人で自宅を出た。約30分の道のりだ。
2人とも都会の子である。何もない広々とした敷地に顔をほころばせ、すぐに様々な遊具に駆け寄って遊びはじめた。長い長い滑り台を何度も滑り降り、間もなく目指すサマーボブスレーへ。
山頂まで運んでくれるケーブルカー、というかゴンドラというか、とにかく椅子付きの乗り物に乗ると、コースを滑り降りてくるソリが見える。
山頂に着き、1回目はママ—璃子、ボス—瑛汰で滑り降りる。
ブレーキは瑛汰に任せた。ブレーキで減速するなり、高速でカーブに突っ込むなり、好きなようにせい。
瑛汰は、意外に慎重である。
「おいおい、男の子がここまでスピードを落とすか?!」
おかげで? 無事に麓に着いた。やがて璃子とママも滑り降りてきた。どうやら、狙い通り楽しかったらしい。ソリから降りた璃子は、直ちに山頂行きケーブルカーの乗り場に急ぐ。
「今度はボスと乗る!」
一方の瑛汰は
「これ、遅いよ。時間がかかりすぎる。ママ、上まで歩こう!」
2人は徒歩での山登りを選んだ。
2度目は、だから璃子との2人乗りである。ブレーキは璃子に任せた。とはいえ、任せっきりは不安なので、ブレーキにそっと触れておいた。
ソリが滑りはじめる。すぐにカーブにさしかかる。が、璃子はなかなかブレーキを引かない。
(おい、璃子、お前、このスピードでカーブに突っ込むのか!?)
もちろん、こども向きの遊具である。ノーブレーキでカーブを曲がろうと、コースを飛び出すことはありえないはずだ。だが、身体は結構振られる。おい、璃子、ボスは腰が悪いんだけどな……。
「わー、速ーい」
中でも、コースの最終版、ゴール間近になると、璃子は完全にノーブレーキである。ソリはみるみる速度を増す。ために、最後は私が、必死の思いでブレーキを引いて指定位置で止めねばならない……。
「面白ーい! ボス、もう1回乗ろ!」
はいはい。
3回目、前の親子はノロノロ運転だったらしい。我々の超高速ソリがゴール地点で追いついてしまった。ノーブレーキで突っ走ってきた我らがソリは、私が必死にブレーキを引いたにもかかわらず、係員が止めに駆けつけたにもかかわらず、追突!
「ボス、ボブスレーって面白いねえ」
璃子、お前、大人になっても運転免許は取らない方がいいかもよ。
終えてフィールドアスレチック遊具やシーソーで遊んで昼前に帰宅。そういえば、いま横浜の公園には、シーソーがないらしい。何か事故でもあって、クレームを恐れた市当局が
「何かあって文句をつけられてはたまらない」
と撤去したか。
危険ゼロの環境で育てば、危険への対処の仕方を知らぬまま子供たちは育ってしまう。それこそ危険であることを唱える良識を備えた役人は、横浜にはいないのかな?
午後、市内で開かれたマルシェに、同じメンバーで出かける。知りあいに何人も出会い、
「ボス、こんなに沢山友だちがいるの?」
と2人。
知りあいのおじいちゃんが、小さな2人に眼を細め、できたてのパンを大量に買ってくれた。
「ボス、来て良かったね。こんなにパンもらっちゃった。ねえ、ママ、食べていい?」
璃子は1日24時間腹を空かせている欠食児童である。
夜、うなぎの「こんどう」で、全員揃って夕食をとった。瑛汰たちは私たち夫婦を家まで送り、その足で横浜へ。
車で璃子が泣きじゃくっていた。数年前まで、別れが来ると泣いていた瑛汰は、ニコニコ笑って
「バイバイ」
そう、瑛汰ももう4年生だもんな。子供は泣いていい。少年は泣かないものだ。
何故か昨夜はぐっすり眠った私であった。