2018
08.30

2014年8月30日 そんな話か?

らかす日誌

今朝、8時前のNHKローカルニュースを見ていたら、不思議な話があった。あとでネット検索したところ、NHkのページに堂々と掲載されていたから、NHKはこの話を、こんなニュースだと考えているということである。

各地で記録的な暑さとなる中、加須市で公立の幼稚園や小中学校の教室にエアコンがないことから、最高気温が35度以上など、猛烈な暑さが予想される場合には、臨時休校にする対策が来月から始まることになりました。

加須市にある公立の13の幼稚園と30の小中学校では、教室にエアコンが設置されておらず、これまで扇風機で対応してきました。
記録的な暑さとなる中、市の教育委員会は残暑が予想されるとして、新学期が始まる来月から臨時の暑さ対策を始めることになりました。
具体的には、気象台による数日前の予報で最高気温が35度以上で最低気温も28度以上と、猛烈な暑さが予想される日は、すべての幼稚園と小中学校を臨時休校にする方針です。
加須市は来年7月までにすべての小中学校や幼稚園にエアコンを整備する計画で、今回は緊急的な対応だとしています。
加須市教育委員会学校教育課の藤間隆子課長は「ことしの猛暑を災害に匹敵するととらえて、高い意識で暑さに対応していきたい」と話しています。

以上である。テレビでのニュースを耳で聞きながら、思わず

「おいおい、それってそんな話かよ!?」

と毒づいてしまった。NHKの記者も、その原稿の放映を決めたデスクも、この原稿のおかしさに全く気がついていないらしい。

確かに、今年の猛暑は凄かった。猛暑というより酷暑というべきで、私も何十年か振りに体調を壊したほどである。
だから、子供たちを暑さから守らねば、というのは当然考えるべきことであると思う。

だが、その対策が臨時休校? 違うだろ!

いや、学校は神聖な場所で、酷暑程度程度で休むとは何事だ、というのではない。学校に通うより、身体を、生命を守ることの方がはるかに大事である。
この話が変なのは、臨時休校で学校に行かない子供たちはどうするのだろう、ということである。現代は共稼ぎの親がたくさんいる時代である。特に、子どもが小学校程度なら多くの親が共稼ぎで、子どもを学校に送り出したあと職場に向かうはずだ。だとすると、突然学校が休みになった子供たちは、どこで何をするのか? 学校が臨時休校になっても親の勤める会社が臨時休業するはずはない。子供たちは親のいない自宅でエアコンをかけ、おとなしくしているのか? それとも、友達と誘い合わせて酷暑の中、外に遊びに出るのか?
親は、平日は子どもが学校に行くことを織り込んで暮らしを設計しているはずだ。親はどうしたらいいのか? これで子供たちの体と心の健康は保てるか?

私の目には、加須市教育委員会の責任放棄責任逃れとしか見えない。学校で子どもが熱中症になれば学校の責任が問われる。しかし、臨時休校にすれば、

「あれは学校外のことですので、学校には責任はございません」

と胸を張っていえる。それだけのことではないか?

この記者会見の場にいた記者ども頭には、この教育委員会の対応が「おかしい」という感覚は生まれなかったのか。いまや新聞記者、テレビ記者というのは官庁の発表を垂れ流すだけの存在に成り下がったか?

私がその席にいたら、当然聞く。

「学校に来なくてよくなった子供たちはどこで何をするのか? 特に、共稼ぎ世帯の子供たちはどうするのか?」

そう問われて、教育委員会は何と答えるだろう? その答次第ではさらに追加の質問を繰り出す。納得できるまで再質問を繰り返す。その結果を記事にする。それが、メディアでニュースを生み出すものの最低限の責任である。

我が家に来る朝日新聞にはこのニュースはなかった。地方版に回されたか。
だが、NHkの記者がこんな原稿を書いたところから見て、おそらく私が期待するような質問は誰からも出なかったのだろう。出ていれば、NHKの記者の原稿の書き方も変わったはずである。
情けない連中ばかりがニュース取材の第一線にいる。

さて、しかし、加須市は来夏までにエアコンを設置するという。遅ればせながら、というか、泥棒を取られて縄をなうというか。
子供たちが未来を築く。それでなくても地表はすべて舗装され、ビルや各家庭はエアコンをかけて新たな熱を外に吐き出す。だから町の気温は一昔前に比べようもないほど上がっている。「米百俵」を曳くまでもなく、予算は未来を託さねばならない子供たちに優先的に割き、学校へのエアコン設置はいち早くやっておかねばならなかったと私は考えるが、加須市の方々はこれまでそうはお考えにならなかったようである。今年の酷暑を体験して初めて思いつく。
情けない世の中である。