2020
04.07

診察を受けずに処方箋をもらってきた。

らかす日誌

手持ちの腰の薬が間もなくなくなる。ということで昨日、かかりつけの整形外科医に行く必要が生まれた。

しかし、である、お立ち会い。いま、あちこちでコロナウイルスの集団感染源になっているのは病院ではないか。こんな時節に、いくら腰が気になるからといっても、ノコノコ病院に足を運んでもいいのか? 医者や看護師、事務職員、それにジジババを主体とした患者たち(最近は私もその1人に数えられているようだが、主観的には違う!)に1人でも感染者がいたら、やばいではないか! いや、私が感染者で、感染源になることだってありうるではないか!
何しろ、年寄りが増えたこの時代、整形外科は

「あんたは腰? 私は肩が痛くて」

などというジジババが密集している場所なのだ。しかも待合室、診察室、リハビリ室、どこも密閉空間であり、肩寄せ合うように待合室のソファに座り、うっかり雑談でもしようものなら密接な接触になってしまう。3つの密が揃うところ、それが病院なのだ。

「と思うんだけど、くるりが必要なので処方箋がいるんだわ。前回と同じ処方でいいから、診察を受けずに処方箋だけ出してもらえないですかね。その間、私は屋外で待っています。非常時だし、お願いします」

と電話をしたのは昨日朝である。さて、断れたらどのような言葉を重ねて説得しようか、と考えながらの架電であった。
が、案ずるより産むが易し、とはこのことだろう。

「はい、承知しています。おみえになって受付に声をかけて下さい。あとは車に戻っていただいて、15分ほど待っていただければ処方箋を出します」

ふむ、私と同じような患者が多数いるので病院も学習したか。それとも、病院だけあって感染防止に気を遣い、非常時のマニュアルを急遽作ったか。
医者も看護師も、自分の安全のためにコロナウイルス感染のリスクは極限まで減らしたいだろう。と考えると後者の解釈が正しそうだが、いずれにしてもありがたい対応である。

整形外科に行ったのは午後4時半頃である。受付に声をかけ、

「さてこれから15分、車で本でも読むか」

と思っていたら、

「大道さん、処方箋、できてます。保険証を出して下さい」

手回しがよい。わずか1、2分で処方箋を手にし、病院を離れた私であった。楽。いつもなら待合室で30分は充分待って診察、それから処方箋となるながれだから、随分ショートカットされている。

そこで考えた。慢性腰痛の症状が急変することはほとんどない。痛みが強くなって我慢するのが辛ければ自分でロキソニンを服用する。医者に駆けつけても、骨や神経に病変がない限り、できるのは痛み止めとしてロキソニンを処方する程度である。であれば、普段からこの「緊急対応マニュアル」を適用していただけないものか。

コロナウイルスの蔓延で、職場に社員を集めるわけにも行かず、テレワークが活用されていると聞く。だから、今回のウイルス騒ぎで多くの企業や授業員がテレワークの上手い使い方を学び、日本でも働き方改革が一挙に進むのではないか、と論じる人もいる。
個人的には、仕事とはface to faceの場がないと進まないものだと思うので、一挙にテレワークが普及するとは思えないが、可能なところからはどんどん取り入れればよい。
同じ働き方改革が医療の方にも入ってくれないか。差し詰め「テレコンサルテーション」とでもいえばいいのか、離れた場所から診察し、ネットで処方箋を出す。料金は銀行口座から自動的に引き落とされる。そうなれば私のような慢性病の持ち主の一部は随分楽になるのだが。

相変わらず、ほとんど日課のように「worldmeter」というサイトを見ている。コロナウイルスの感染者、死者数の速報サイトである。今現在、死者数は7万4795人。国別ではアメリカの急増ぶりが目立つ。ここ3日、1日あたりの死者数が1000人を超えている。

一方で、医療が崩壊してどこまで感染者、死者が増えるか分からないといわれていたイタリアが、やや落ち着きを見せてきた。新しい感染者数も死者数も、3月下旬をピークに下降気味である。ウイルス禍とは、医療が追いつかなくても一定の時間がたてば落ち着くものなのか? イタリアに次ぐ死者が出ているスペインでも、グラフを見る限り、4月はじめに新規感染者数、死者数ともにピークアウトしているようだ。

さて日本は緊急事態宣言、ということになった。「worldmeter」を見る限り、新規感染者数は5日に515人と急増したあと、6日は252人に減り、グラフ上ではピークアウトの形が見える。死者数も4、5日がそれぞれ8人と1日あたりでは最も多くなり、6日は7人に減った。
概ね1ヶ月間、外出を控え、映画館や百貨店などは閉める。私たち国民は不自由を強いられるが、だからこそ、効果が出て欲しいと願う。