2022
04.10

キヤノンの新しいプリンターはMacとUSB接続ができないのか?

らかす日誌

今日は朝から大きなトラブルに見舞われた。キヤノン製のTS8030というプリンターが突然就労を拒否したのだ。

しばらく前から調子は悪かっただ。CDやBlu-rayのラベルプリントをしようとすると、排紙トレーを引き出せという命令が出る。引き出してOKボタンをタップすると、やっとラベルプリント画面に行き着く。
具合は日を追って悪くなり、命令通りに排紙トレーを動かしてOKをタップしても、また同じ命令が出る。何度やってもらちがあかないので一度電源を落としてやると、なんとか動く。

さらに状態がひどくなったのは1週間ほど前のことである。排紙トレーの問題は相変わらずつきまとい、何とか稼働にこぎ着けてもラベルプリントで4分の1ほどしか印刷されていないディスクが生まれるようになった。

「これはいかん」

とキヤノンのサポートに電話をしたのだが、全くらちがあかない。印刷が途中までしかできない問題は

「WiFiが途切れているのではないか」

見てみると、確かに電波強度は60。これが80以上ないと正常に動かないのだという。しかし、いまや我が家のパソコンだってWi-Fiでネットに接続している。そちらはスムーズに繋がるのに、どうしてプリンターだけが電波強度が落ちるのか?

トレーの問題は、プリンター内部のセンサーが狂っているとしか思えない。しかし、なぜそんなことが起きるのか? センサーとは半導体だろう。半導体はそんなに柔なのか? あるいは、長年使っているうちにセンサー表面がインクか何かで汚れ、誤作動しているのではないか? であれば、対処のしようがるはずだ。
と問いかけても

「いやー、そうおっしゃっても原因がよく分かりません」

そこまではまだいい。挙げ句、

「修理もできますが、お買い換えになった方が……」

確かに、いまは修理代の方がはるかに高額なのだろう。だから、プリンターが壊れれば買い換えるのが現代の常識である。が、このプリンター用のインクが、まだ10数本ストックされている。同じインクが使える機種はすでにない。プリンターを買い換えるとは、ストックしているインクまで捨てることなのである。それはもったいないではないか。

「もういいよ」

こんな相談員とどれだけ話していても何の得もない。仕方ない。Wi-Fiのルーターを再起動したら、プリンターの電波強度も90に達した。じゃあ、しばらくこれを使い続けるか。

そのプリンターが今朝、とうとう駄目になった。例の排紙トレーである。何度OKをタップしても同じ命令を出し続ける。再起動してもプリンターは労働意欲を取り戻してくれない。全く働く気がなくなったのである。

見切りをつけた私は今朝、ケーズデンキみどり店に走った。新しく買い求めたのは同じキヤノンのTS8430。Wi-Fiで不具合が起きるのなら、USBで接続しようと、3mのケーブルも買って来た。3万円少々の出費である。プリンターはいまでは必需品である以上、やむを得ない。

で、自宅に戻るとさっそくプリンターを入れ換えた。USBケーブルでMacと繋ぎ、取扱説明書に従ってセットアップした。これで仕事がはかどるはずだ。

ところが、である。パソコンからプリント命令を出しても、このプリンター、ウンともスンとも言わない。何故だ? マニュアル通りにデットアップしたぞ?

そうか、プリンターの選択をしていなかったな。新しいプリンターを選んで、そうそう、こいつを使えるようにするにはドライバーが必要なはずだが、さて、そのドライバーはいったい何処にある? 画面上に選べるプリンタードライバーが出ては来るのだが、キヤノンのTSで始まる型番は8000シリーズとあるだけだ。これは前のTS8030で使っていたドライバーのはずだ。8430も8000シリーズなのかしら? いや、新しくなったのだから、ドライバーだって新しくなっているはず。では、ネットからダウンロードするか?

探してみた。ない。ドライバーがない。8430用のドライバーをダウンロードできるところがない。見付かるのはセットアップ用のアプリだけである。これ、さっき使ってセットアップしたじゃないか。どうすればいい?

とりあえず、ドライバーは「8000シリーズ」を指定した。そしてプリント命令を出す。
動かない。ウンともスンとも言わない。

さて、困った。キヤノンのサポートは日曜日は休む。前回の例からあまり頼りにならないサポートだが、こんな時はいてくれなくては困るのだが……。

ふと思いついて、ケーズデンキに電話をしてみた。

「先ほど買って来たプリンたんーが動かないのだが」

電話で状況を説明した。あまりない問い合わせのようで、電話口のお兄ちゃんも戸惑っている。だが、何とか問題を解決しようという熱意は見せてくれた。

「ネットで調べたんですが、この機種で同じようなトラブルがあったというのが1件見付かりました。キヤノンのサポートでは解決できず、何でもアップルのサポートに電話をしたら解決したと書いてあります。どうやったかは書かれていませんが」

ふむ、動かぬキヤノンのプリンターをアップルのサポードが動かしたと? 江戸の敵はやっぱり長崎で討つのか?

私も藁にもすがりたい心境である。しばらく考えた後、アップルに電話を入れた。

「アップルの製品ではない件で申し訳ないのですが、ひょっとしたらMac側の設定で私が間違っているかも知れないと思って」

私の設定を説明すると、間違いないという。それでもこのプリンターは動かないのだ。ああ、アップルでも解決できなかったか。

「少しお待ち下さい。ネットで検索してみたら、その機種はMacの場合はエアプリント、つまりWi-Fiでの接続しか書いてありません。ウインドウズならUSBでの接続も解説してありますが。Wi-Fi接続は試してみられましたか?」

いや、電波の強弱で接続が切れる恐れがあるとのことなので、やっていません。そうですか、ではこれからやってみます。

やってみた。アップルのサポート氏は、電話の向こうでじっと待っていてくれた。プリンターからWi-Fiのルーターを選び、呪文にも似たID(なのかな)を入力する。設定が終わって印刷を始めると、おお、動くではないか。ワードで書いた文書が吐き出されてくるではないか!

「ありがとう。他の会社の製品のサポートをしていただいて、本当にありがとう」

電話口で深々と頭を下げるようなパフォーマンスとは無縁の私だが、心から例を申し述べたのはいうまでもない。

いや、しかし、である。付属のマニュアルには、MacはWi-Fi接続のみ、とは何処を探しても書いてない。指示通りセットアップすれば直ちにプリントができる、とあるのみである。
これでいいのか、キヤノン?

解決したのはもう午後3時に近かった。今日は原稿を書くはずだったのに……。
量の無駄な時間を費やしてしまった今日の私であった。