2024
03.20

私と朝日新聞 デジキャスの11 どんな工夫をしたらWeb用の原稿が書けるのか?

らかす日誌

さて初期の頃、私はどんな原稿を書いていたのか? それを知ろうと、「らかす日誌」の一番古い原稿を取り出してみた。原稿が多すぎて、最古の原稿に行き着くのに5分ほどかかった。読者の皆様にそんなお手間をかけるに忍びなく、ここにコピペする。

✖️     ✖️     ✖️     ✖️     ✖️     ✖️     ✖️     ✖️     ✖️

2002年2月27日 フリスビー

またまた、ビデオ鑑賞に、読書にと、忙しい週末でした。

でも、平日の今日はいつものように珍しく暇で、新宿まで散歩をして、東急ハンズを覗いてきました。
隣の書店まで本を買いに行ったついでです。ちなみに、書店で買った本は

鞍馬天狗のおじさんは 聞書アラカン一代(竹中労著、ちくま文庫)
豆腐屋の四季 ある青春の記録(松下竜一著、講談社文庫)

この2冊は人にあげるため。両方とも実にいい本です。竹中労さんは、ほかにも数々の名著があります。「豆腐屋」は、人間ってすばらしい、すばらしい人間に感動して涙を流す自分はもっと美しいと、自分を愛することができるようになる本です。

戦士たちの挽歌(フレデリック・フォーサイス、角川書店)

日曜日の朝日新聞の書評で、フォーサイスの新刊が出ていることを知りました。これは買うっきゃない。

で、東急ハンズです。
いいものを見つけて、思わす買ってしまいました。

フリスビー、3個。(フリスビーの数え方って、これでいいのかな?)

これは説明をしないとわかんないな。

我が家には、犬が同居しておる。
飼っているのではない。あくまで同居しているのである。なぜなら、この犬は屋内で生活しておる。眠るのは私の布団の上。しかも、私の足に首を持たせかけて、実に楽そうなスタイルでおやすみになる。朝になると、起こしに来る。まず、濡れた鼻を押しつける。なめる。布団から出ている私の体をひっかく。吠える。今朝は6時15分にこの日常行事が発生した。

雌のシェットランド・シープドッグ、通称、シェルティー。現在3歳。

シェルティーって知ってます? と聞いても、最近は

「知らない」

という奴が多い。社会常識に欠けた奴が増えた。情けない。

「ほら、コリーを小さくしたような犬」

と説明すると、

「ああ」

などと曖昧な返事をする。本当にわかったのかどうか。

かつて、といっても10年程度前、シェルティは、その優雅な姿で人気ナンバーワンであった。最近はゴールデンレトリーバー(まあ、もっさりした犬ですなあ)とか、ミニチュア・ダックスフント(私はウナギ犬と呼んでおります)などに押されて、昔日の勢いはない。

でも、いろんな犬の中で、一番整った顔立ち、姿立ちをした犬だと小生は思うわけだ。 ゴールデンレトリーバーは、どう見たって美男・美女という顔ではない。ミニチュア・ダックスフントに至っては、何とも情けない顔をしてござる。

そこへいくと、我がシェルティは、きりっと引き締まって、まるでいまの飼い主のようなりりしいお顔である。

(注)
いまの飼い主=俺、俺、俺だって! 申し訳ない。誤解を恐れるがゆえ、ついつい興奮して、氏素性にも似ない言葉を使ってしまいました。でも……、私の顔って、犬に似てるのか?

いや、ちょっと力が入ってしまった。飼い犬自慢をしても仕方がない。

そのシェルティ、名前は「凛(リン)」。娘が

「犬たるもの、凛としていなければならない」

と名付けたワケです。あ、これもどうでもいい話でした。

そのリンがですねえ、フリスビーが大好きなのです。散歩で公園に行くと、私の手にあるフリスビーを見て、 嬉しそうに吠えるのですよ。

「早く投げろ」

って。いや、私、犬語は理解しませんが、そういっているのに違いないのです。

で、投げる。全速力でキャッチしに参ります。いや、この走る姿というのが、実に優美なのですなあ。

時には、私が投げる前から全速力で駆けだし、途中で、フリスビーが飛んでいないことに気付いてキョロキョロと周りを見回し、不思議な表情をすることもあります。

「そうか、こいつは山勘で方向を決めて走るのか」

なんて犬の生態の一端がわかって、動物学者どもよ、かかってこい、てな気分になったこともありますです。そんなことわかって何になる? という考え方もありましょうが。
肝心のキャッチ率は、6割から7割というところでしょうか。イチロー選手の打率を遙かにしのいでおります。

で、犬は犬歯の本場であります。人間にも犬歯(糸切り歯とも言います)があって尖っているのですが、本場の犬歯はすごい。ほかの歯に比べて、圧倒的に大きくて尖っております。そもそもは身を守る武器だったのでしょう。この犬歯が、フリスビーをキャッチするたびにフリスビーにグサリと刺さるわけです。

はい、お待ち遠様でした。結論はもう目の前ですね。毎回毎回、グサリグサリと犬歯が刺さるフリスビーは、すぐにぼろぼろになります。毎日やるわけではないのですが、通常2ヶ月、長くても3ヶ月もすると、遣い物にならなくなります。

この消耗品にすぎないフリスビーが、極めて高い。会社のそばにあるペットショップでは、 何と2500円。自宅の近くで買っていま使っている奴は1200円。これに、グサリ、グサリと犬歯が刺さるわけです。

ここで冒頭に戻ります。そう、東急ハンズでフリスビーを3個も買ってしまったというところです。

そのフリスビーが、ですよ、 東急ハンズで380円で売っているではないですか。しかも、あの「MOTOROLA」ブランドですよ! これは買うしかありません!

計1140円の出費。これで半年程度は大丈夫であるはずです。しかも、ブランド品。

ん?モトローラって、フリスビーを作る会社だっけ?
などという疑問は、この価格の前では雲散霧消してしまうのでありました。

✖️     ✖️     ✖️     ✖️     ✖️     ✖️     ✖️     ✖️     ✖️

これも赤面ものの原稿である。取材しなければ、このような日常茶飯事から話題を見つけ出さねばならない。それを、押っ取り刀で

「読みやすい、軽い、面白そうな」

文章に仕立て上げている。努力のほどは認めるが、所詮は着け刃なのである。

当時の私は、デジキャスという会社の業務として原稿を書いていた。新聞原稿と違う、HP用の原稿の書き方を模索した。一時は、夏目漱石の「吾輩は猫である」をモデルにしようかと志した。漱石の文名を一躍高めたユーモア文学である。だが、直ちに彼我の力量の差に気が付いた。大文豪の文章をモデルにした文章など、卑小な私に書けるはずがない。

続いてモデルに市よと思ったのが、当時ブームを起こしていた「侍魂」である。一節には8000万ビューを超えた、と週刊誌の話題になっていた。すでに更新されなくなって長いが、あのころはその1編である「ロボット技術の最先端」「最先端ロボット技術外伝」に笑い転げた。
侍魂」から学んだのは、フォントの大きさを変えること、色を変えること、そして多彩な行間の空け方である。そのなごりはいまの「らかす」にもある。もっとも、笑いをとる力は到底私の及ぶところではなかった。ああ、俺の文章力ってこの程度か、と思い知らされるばかりだった。

迷いは深まった。