01.11
2011年1月11日 今年は
医者との付き合いが深まる年なのか?
今日も病院で明け、病院で暮れた。年が明けて以来、私が会う人物の中で医者の比重が圧倒的に高い。まるで、医者にしか知り合いがないかのような勢いである。
61歳とはそのような年齢なのか。
昨日予告したように、今日は朝9時から健康診断であった。会社の命に従い、全仁会高木病院に出向く。朝食は抜きである。
身長(181.5cm)、体重(83.1kg)をはかり、血圧を測定する。149−92。やや高めである。そういえば、腰を患って以来、ほとんど散歩をしていない。それどころか、安静を第一に、ほとんど身体を動かしていない。たいして食べてはいないと思うのだが、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが崩れているらしい。高めの血圧もその結果ではないか?
1日も早く腰を治して身体を動かさねば、服を買い換える羽目に陥る。それは避けたい。
目の検査を終え、心電図、聴力、そして血液検査。レントゲンを撮って、問診。いつもの流れだ。
「血圧が高めですね」
まだ若い医者がいった。この血圧は、私が自分で測ったモノである。1度目でこの数値が出た。やや高いなと思い、数回深呼吸をして2度目を測った。さらに高い数値が出た。おかしいなと、再度深呼吸をして測り直した。たいして数値は違わない。じゃあ、1回目のやつでいいや、と1回目の数値を提出した。お前さんに言われなくても、高めなのは分かっておる。
「この1ヶ月ほど腰をやられましてね。それでほとんど身体を動かしてないものだから」
この解説ですべてを説明し終えたつもりであった。が、医師はまだもの問いたげな顔をしている。仕方ない。さらに詳しい解説が必要か。
「いや、腰を痛めるまでは、自宅で毎朝血圧を測ってたのよ。ほとんど正常範囲だったけどね」
「どの程度ですか?」
「上が125から135の間。いや、時々150近くまで上がっていることはあったけど、数えるほどしかなかったんです。まあ、下は80台の後半から92の間、というところで、こっちは少し高めだったですね」
ここまで詳細に説明しているのに、まだ納得しない顔をしている。疑り深い男である。
「お腹を出してください」
聴診器を取り出すと、胸から腹、さらに背中に当てて音を聞いていた。
「はい、結構です」
何が結構なのか不明だが、こうして解放された。かかった時間は1時間半ほどか。
自宅に戻って早めの昼食を済ませ、仕事に出る。
ふと思い出した。
「そう、歯を抜きに行かなくちゃ」
左下の親知らずを抜くのは、昨夏以来の課題である。その時は左下の歯茎が痛み出し、歯科医を訪れて治療してもらった。
この日、インプラントの話をした。その日の日誌には記さなかったが、一部残っていた親知らずの1つ手前の歯が、すでにない。ここにインプラントをするかどうか、が話題になったのだ。
「だけどねえ、この部分の顎の骨がまだ回復していないですねえ」
レントゲン写真を見ながら医師が言った。
「傷んだ親知らずが残っているからかなあ。この親知らず、早く抜きましょう」
その提案を受け入れ、時間が取れたら抜きに来ると約束していたのである。
それから半年。やっと約束を思い出した。というか、やっと約束を実行する気になった。なにしろ、年明けから治療、治療の連続である。この気を逃せば、いつまた歯をぬくきになるか分からない。
「明日、飲み会が入ったんだけど、今日抜いて大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「今日も晩酌するけど、それでも大丈夫?」
「はい、飲んでください」
こうした念押しに続いて実施された抜歯は何事もなく終わった。この時間も、患部から少量の出血が続いているだけである。恐らく、明朝までには止まるであろう。
「大道さんね、調べてみて愕然としましたよ」
抜歯をする準備をしながら、医師が言った。私はすでに患部に麻酔注射を打たれ、麻酔が効き始めるのをじっと待つ立場であった。
「うちの患者のね、70%が70歳以上なんですよ。まあ、うちの病院は入れ歯の専門医として始まってますから高齢者が多いのは仕方がないとしても、でも、10年たつと80歳以上でしょ。20年したら90歳。ここで歯科医ができるのも私の代限りですねえ」
その計算に間違いはない。患者の70%が80代になり、90代になる。歯を治しに来なくなる患者が、いや、歯を治す必要がない患者、というか、歯も骨を灰になってしまった元患者がこれから急増するのは世の習いである。確かに、経営は難しかろう。
「ねえ、桐生は高齢者の街だからねえ……」
そんなつまらない相づちしか打てなかった。
で、自宅に戻って考えた。
今年になって、5日に整形外科を訪れ、6日にはMRIを撮って再び整形外科に会いに行き、ヘルニアの診断を受けた。今日11日、健康診断で病院に行き、夕刻は歯科医。まだ11日しかたってないのに、訪れた病院、医院は延べ5つに上る。11日で5つ。休日を除けば5日で5つ。
この勢いで行くと、今年は250回前後も病院・医院に足を運ぶことになる。憂鬱である。