01.31
2018年1月31日 もう終わり
先週末は横浜に出向いて瑛太の相手をした。やっと方程式が飲み込めたようで、これからの戦力になるはずだ。
小学生は方程式を使わない。しかし、方程式の考え方を使わなければ解けない問題が五万とある。そこで塾では新しい技を発見した。x、yの代わりに、○や△を使うのである。5xと書くところを⑤と書く。
最初は、瑛太の答案を見て戸惑った。○や△で問題を解いたことがなかったからである。が、瑛太は○、△、時には□まで使って問題に取り組んでいる。
そこでよくよく考えてみた。⑤とは何なのか? そうして見いだしたのが、x、y、zを使えば見やすくなるところを、○、△、□で現していることである。そうであれば、最初からx、y、zを使った方が分かりが速いのではないか?
「瑛太、文字式を使うことに慣れなさい」
何度も言ったが、瑛太は頑として受け付けなかった。塾では○、△、□で学んできた。突然、未知数のx、y、zを持ち出されても、頭が理解を拒否するのはよく分かる。それに、○、△、□で解けるのなら、特に問題はない。
瑛太がx、y、zに目覚ざるを得なかったのは、未知数がたくさんある問題にぶつかったからである。
「分かってない数をx、y、zで現しなさい。それで足りなければa、b、cを使ってもいい。そして、問題に書いてある数と数の関係を、文字を使って式にしなさい。未知数が3つあれば式は3つできるはずだ。4つなら式も4つ。あとは、それを解けばよい。頭を使うのは、式をつくる時だけ。○、△、□で式をつくる時も、実は同じように考えて式をつくっている。できないはずはない」
そう諭して、塾で解けなかったかなり高度な問題に取り組ませた。
最初は戸惑っていたようだが、やがて
「ああ、そうか」
と独り言を言い、最後は
「分かった! 簡単なんだ!!」
と雄叫びを上げた。
理解が十分かどうかはまだ分からない。が、入り口のドアだけは、瑛太は自力で開けたようだ。あとは問題をこなせばこなすほど方程式の考え方が身につく。励め!
しかし、中学に行けばいやでもx、y、zに取り組まねばならぬ。そして、中学生なら必ずx、y、zを使って解く問題を、何故に○、△、□で解かねばならないのか。
いまの教育がよく分からない。
ということをやりながら、月曜日の昼前に桐生に戻った。
珍しいことに、今週は仕事がたて込んでいる。月曜日は夕方の約束があり、火曜日は午前も午後も仕事があった。今日は午前中の仕事、明日は午後の仕事である。約束がないのは金曜日だけ。そんな日は原稿を書かねばならないので、一日家にこもってパソコンとにらめっこをすることになる。
何度も書くが、現役時代より忙しい私である。収入は愕然と減ったが……。
というわけで、しばらく日誌の更新をサボっていた。気がつくと、早くも月末。明日からは2月だ。
「えーっ、2018年も残りは12分の11かよ」
半分残ったウイスキーボトルをながめながら
「もう半分しかない」
という人と、
「まだ半分残っている」
と考える人がいる。私はどうやら、前者の仲間であるようだ。
2018年1月はもう終わり。
お互い、うかうかしていると棺桶に入る日がすぐにやって来ますぞ!
という言葉を、自戒としたい私である。