2015
03.22

2015年3月22日 親ばか?

らかす日誌

昨日、長男夫妻がやってきた。

昨日、長男の車が納車された。まあ、普通の車好きなら、新しい車がやってくれば、いつもより少し距離を伸ばして乗ってみたくなる。
横浜から桐生へ約150㎞、約2時間。試し乗りには適当な距離だ。一般道もあれば高速道もある。試し乗りにこれほど適当なコースもない。

「ちょっと走ってみるか」

と思ってしまうドライブコースである。

それが、長男夫妻が来桐した最大の理由である、と私は踏んでいる。

もちろん、そのほかにも理由はある。
2月末に帰国した2人は、帰国後直ちに引っ越し作業に入り、両親である我々に挨拶する時間がなかった。いや、私は横浜に行って2人と夕食を共にしたのであるが、我が妻女殿は、なぜか

「私は行かない。お父さんだけで行ってきて」

と言い張った。生まれつきの頑固さに、寄る年波から来る頑固さが加わって、一度言い始めたら修正が効かないのが、最近の妻女殿である。ほぼ1年半ぶりに息子に会えるというのに、テコでも動かぬという頑なさを見せて桐生にお残りになった。不自由な、私から見れば面倒臭い方である。
つまり、息子夫妻はまだ、母親に挨拶をしていなかった。

挨拶というのは、早ければ早いほどよい。
この面からも2人が桐生に来る理由が生まれたと思考するが、恐らく、これは2番手の理由に過ぎない。最も強く息子の内面で働いたのは、

「新車に乗りたい!」

であったと愚考する。


ま、それはよいとして、昨夜は「さいとう」に4人で押しかけた。極上の料理に舌鼓を打ち、家に戻って、2人がアメリカから買ってきたカリフォルニアワイン。
「さいとう」でビール3本、日本酒を、多分1升飲んだあとのワインである。

ワインを味わいながら、というか、かなり酔ったあとで味わえたかどうか心許ないが、とにかく胃に流し込みながら、ネットワーク・オーディオの試聴会を開いた。
当然のこととして、同じ音楽をCDとネットワークプレーヤーで聞き比べる。

「ホントだね。こっちの方が音の輪郭がくっきりして、楽器が一つ一つ別れてる。なるほどね」

百聞は1聴に如かず

息子が自宅に戻ってNASを決め、それを私が桐生で購入して音楽をそのNASにコピーする。その上で、我が家にあるパイオニアのプレーヤーを持っていく、と話が決まった。
このプレーヤーで物足りなくなったら、自分で選んで入れ替えればいい。

12時近く、私は布団に入った。いつものように読書をしようとしたが、思いの外酔いが深く、そのまま寝てしまった。


今朝目覚めたのは7時。毎朝測っている血圧が、何故か今朝は高い。
さては、昨夜は飲み過ぎたか。

どら息子の起床は10時過ぎ。

「おい、さっさとシャワーを浴びて映画を選べ」

我が家に保存されている膨大な映画資産を点検、彼ら夫妻が見たい映画を選び出す作業をする、というのも、昨夜呑みながら合意したことである。選ばれた映画は、私が時間を盗んでコピーする。2時間の映画は2時間かけねばコピーできない。膨大な作業になる。さらに、コピーに必要なディスクのコストを彼らに請求するわけもなく、数が増えればそれだけ出費も増えるのだが、それを知りながら

「おい、早く選べ」

と息子夫婦をせっつく私は、究極の親ばか、か?

とりあえず、アカデミー賞受賞作から選択していた。選んだ映画が分かるように付箋をつけさせたのだが、

「おい、これ、100枚ぐらいある?」

「いや、そこまではいかないと思うよ」

ま、80枚として、1枚平均2時間と見ても、作業時間は160時間+α。

確かに親ばかである。

2人が帰って、古い方からコピー作業を始めた。

・市民ケーン
・海底二万哩

まで終わった。現在は

・波止場

のコピー中である。

昼食は、息子嫁のたっての希望で、「こんどう」の鰻。

「だって、サンフランシスコでは、お寿司は結構食べに行ってたんだけど、鰻ってなくて。だから、どうしても食べたいんです」

ああ、そうか。

12時半ごろ「こんどう」に着いたら、駐車場が満杯だった。そうか、春の彼岸で帰省客が多く、迎えた側が鰻で接待しているのか。

1時間以上待ってやっと席に着くことができた。鰻重が運ばれてきたのは午後2時。

「ああ、美味しい!」

と彼女は喜ぶのだが、うん、それはいいとして、この時間に鰻重を食って、晩飯は食えるか? と私なんぞは考えてしまう。これ、歳の差か?

2人を送って、1人自宅に戻った。体調が悪いと「こんどう」行きを避けた妻女殿がおっしゃった。

「だけど○○(ここ、我がお坊ちゃまの名前です)、よく飲むし、よく食べるし、よくしゃべる。人の1.5倍から2倍飲み食いして、ほとんど1人でしゃべってたわね」

思わず、口が出た。

「俺たちの悪いところだけ遺伝したんだ

飲み食いは私(ただし、若いころの)であり、しゃべりは妻女殿であることはいうまでもない。

しかし、だ。

「やっぱり新車はいいな。俺の車が一番いいと思っていたが、もっと良くなっている。俺も買い換えたくなったわ」

これにお喋りの妻女殿はどう答えたか。

「初志を貫徹して下さい」

私の初志=少なくとも、いまの車にあと4年は乗る。そして買い換える。
まあ、しばらく時間をおけば、新車の印象は薄れる。自分の車が一番いいという元の場所に立ち返る。うん、私は初志を貫徹するぞ!

という息子夫婦が去って、静かになった部屋で「山本剛」のジャズピアノを聞きながら日誌を書いている私である。