2019
04.11

自民党は正直者の集まりだ

らかす日誌

北九州市と下関市を結ぶ下関北九州道路道路整備は、安倍晋三首相や麻生太郎副総理・財務相の意向を

「忖度(そんたく)した」

と発言した塚田一郎前国土交通副大臣に続いて、

「(東日本大震災からの)復興以上に大事なのは高橋さん」

と語った桜田義孝五輪相が、それぞれ副大臣、大臣の職を辞した。野党やマスコミは2人の失言を追及するのに急である。

でもなあ、と思う。自民党の方々は、小学生の道徳の授業で習ったことを実践される方々が揃っておいでなのだな、と。

ご記憶だろうか。アメリカの初代大統領・ワシントンは子どもの頃、家にあった斧を持ち出して庭の桜の木を切ってしまった。切り倒された木を発見した父が

「誰がこんなことをした!」

と怒ると、ワシントン坊やは

「私がやりました」

と正直に申し出た。その正直さに勘当した父はワシントン坊やを叱るどころか、褒めそやした、という話である。
どうやら作り話であるようだが、しかし、

正直であること

嘘をつかないこと

の大切さはを子どもの頭に染み込ませるには、よくできたお話しである。

人間、成長するとはずるくなることの別命でもある。学校を卒業し、社会生活をするようになると、嘘なくしては世の中はうまく回らないのだということを体験を通じて学ぶ。学ばなければ大人にはなれず、

「いつまでもガキっぽいことをいってんじゃねえよ」

と叱責されることになる。
正直さ、嘘をつかないことの大切さは重々分かりながらも、そればかりではやっていけないというのが我々の実像だろう。

それに比べてこのお二人の正直さはどうだ!

塚田先生は、山口県と福岡県を繋ぐこの道路建設で、総理が山口県、副総理が福岡県の方であることを

「忖度した」

と口にした。
おそらく、本当の事である。

下関市と北九州市は、すでに関門海峡トンネル、関門橋で結ばれている。老朽化が進んでいるということで地元からこの道路建設の要望が出たのは2014年の秋のことだ。まだ国の事業に採択されてはいないが、今年度から国直轄の調査が始まる。国の事業に採択するための手続きが着々と進んでいる。
塚田先生の発言は

「国土交通副大臣の私が、お二人の意向を忖度して直轄調査を実現したのである」

ということなのだろう。まあ、副大臣だから、その程度の力はあるのに違いない。それを正直にお話しされた。正直の鏡ともいうべき方である。55歳にもなって、子どもの純な心を持ち続けておられる希有な方であろう。

一方の桜田先生は私と同じ69歳。
この方の失言歴は多彩である。
大臣就任会見では、パラリンピックと発言できず、

「ぱらんぴっく」

とおっしゃった。まあ、この歳になれば滑舌も悪くなる。これは失言というより、加齢ゆえの身体機能の衰えと捉えたい。いたずらに発言を追及するのではなく、敬老の精神を持って受け止めたい、と私は考える。
防衛省を国防省と言い間違えたのは、身体機能の衰えが脳にまで及んでいるのかも。これも我々の敬老精神を試す試金石である。私を個人的にご存じの方は、私が彼と同い年であることを肝に銘じていただきたい。

他の「失言」は、すべて正直さの表れであろう。
サイバーセキュリティ戦略副本部長として

「自分でパソコンを打つことはありません」

パソコンを自分で使うことがない事実を淡々と述べたのである。

水泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたのを受け手の会見での

「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている」

も正直な心情の吐露であろう。五輪相として日本勢の金メダルは1個でも多い方が嬉しいというのが本音で、病を得た池江選手への配慮がどこかにすっ飛んでしまった訳である。

そして今回の

「(東日本大震災からの)復興以上に大事なのは高橋さんなので、よろしくどうぞお願いします」

この人、本当にそう思っているのだ。復興なんて現地に任せておけばよい。それより、自民党の大臣として希(こいねが)うのは一人でも多くの自民党候補者を当選させることなのである。

さて、正直の効用は?
2人は副大臣、大臣の職を失った。まあ、国会議員の職は保っているようだから、それはたいしたことではない。
塚田先生の正直さは、おそらく下関北九州道路道路の実現を遠のかせただろう。忖度したはずの総理、副総理の顔に泥を塗り、一日も早い実現を願う地元にも大きな迷惑をかけてしまった。

桜田先生は、被災地域の自民党支持者に冷水を浴びせたようなものである。

「おい、自民党の大臣ってあの程度か? 俺たちのことなんか、どっかのおばさんの選挙より軽く見ているのか?」

そんな追及を受けている自民党支持者がたくさん出たのではないか?

やっぱり、大人になったら、嘘の使い方をきっちり身につけなければ周りの迷惑をかけてしまうことになる。そんな教訓を2人は身をもって与えてくれたのではなかったか?

自宅前の桜が早くも散り始めた。我が家の車、玄関前は写真の通りである。

 

間もなく春が本格化する。