2021
10.25

一難去ってまた一難、か。

らかす日誌

寿命が尽きかけたHDDからデータを救出する仕事は、前回ご報告したように、おおむね満足のいく結果となった。そこで、前回予告したように、私は新たに購入したデュプリケーターを使ってNASのHDD交換に挑んだ。一昨日から昨日にかけてのことである。

結論から先に書く。結果は、失敗に終わった。

NASからHDDを取り出し、新たに購入した4テラのHDDとともにデュプリケーターに挿したのは、一昨日午前10時頃のことであった。記憶しているのは約2テラの音楽データである。結構時間がかかると聞いていたので、のんびり構えた。

コピーが100%完成したとのシグナルがついたのは午後5時半頃。2テラで7.5時間ほどかかったわけだ。そうか、2テラとはそのような量なのか。

このデュプリケーターをUSBでパソコンにつなげば、挿してあるHDDを認識出来る。フォーマットがMac用ではないのでデスクトップに出ることはないが、Mac付属のディスクユーティリティを開くと、2つのHDDがちゃんと現れた。まず、これまで使っていた3テラの中を覗いた。パーティションが4つに切ってある。うち3つはNASが使う部分のようで、音楽データ保管用に使えるのは3テラ弱。なるほど、QNAPというNASはHDDをそのように使うのか。

次に、新しく買った4テラを覗く。総容量は4テラと表示される。しかし、音楽データが使える容量は古いHDDと全く同じで3テラ弱。パーティションが4つに切ってあるもの3テラと同じだ。
つまり、3テラの中身をそっくりそのままコピーして、残りの1テラは何処かに行っちゃったわけだ。なるほど、まるごとコピーとはそのようなものであるか。

さて、どうする。折角4テラを買ったのに、3テラとしてしか使えないのでは、少々の割増料金を支払った意味がない。それに、3テラだとそろそろ記憶容量の3分の2を使っているわけだから、巷間言われるHDDを安定して使う条件を犯しつつある。できれば4テラは4テラとして使いたい。

メールで私を支援し続けていただいているレスキュー天使のお一人は

「あとでパーティションを変更する手段がある」

と書いてこられたが、さて、我がディスクユーティリティは、HDDのフォーマットが違うためだろう、一向に働いてくれない。かといって、ほかのアプリにあてはない。
えーい、ままよ。4テラのする方法は後で考えることにしよう、と私はNASのHDDの交換に踏み切った。HDDが新しくなればいいや。

ところがである。新しいHDDを差し込んだNASが正常に動いてくれないのである。おかしいじゃないか。まるごとそっくりコピーしたのだから、すんなり動くのが筋というもんだろ? と毒づいても何ともならぬ。
後の経過から反省すれば、NASが正常に動く準備を進めていたのを、私が正常に動いていないと誤認したのかも知れないが、その時の私には底まで考えを及ぼすゆとりなどなかった。

仕方なく、私はNASの電源を落とし、やむなく古いHDDをNASに挿した。HDDの交換には失敗したが、これで音楽は聞けるはず、と信じて疑わない私だった。まさか、そこから混乱が生まれるとの予感は全くなかった。

以下は、私がレスキュー天使に送ったメールの一部である。

いや、それどころではなくなりました。NASが一部壊れたようなのです。順を追って説明します。

①NASはQNAP119P-Ⅱ
②3テラから4テラへのコピーは、デュプリケータのインディケーターでは完成した。
③そこで、パソコンにつないで確認すると、4テラが3テラとして認識されたいた。
④それを確認後、4テラをNASに入れて起動した。
⑤いつまでたってもNASがネットワーク上に登場せず、やむなく3テラと入れ換えた。
⑥何故かファームウエアのアップデートが始まり、同時にネットワーク上に現れた。終わるとNASは再起動を求めた。
⑦再起動すると、いつまでたっても(いまでも)ビープー音が出るようになった。
⑧QNAPのコントロールセンターであるQFINBDERで見ると、ファンの具合が悪いと出た。
⑨音楽は再生出来るが、ファンが動いていないとなると、いつ壊れてもおかしくない?

以上です。HDDを取りはずすまでは正常に作動していたファンが突然の不具合。システムからの通告を見ると、システムを正常に終了させなかったと出ます。ひょっとしたらこれが原因かも知れません。

NASのファームウエアのアップデートには結構時間がかかり、私はいつものように映画鑑賞をしながら、時折パソコンの画面をながめて進行状況を確認していた。
アップデートが終わった。音楽再生も出来た。やれやれ、とりあえず復旧出来たと一安心したのもつかの間、NASが頻繁にブーピー音を出すのである。それに赤い警告ランプがつきっぱなしだ。
おかしい。

手元のiPadでQNAPを検索、何が起きているのかを(映画を見ながら)調べた。ファンが動いていないのだという。パソコンに戻ってNASの様子を調べると、不気味な警告があった。

Smart Fan Control fan System has failed.

えっ、ファンが壊れた? そんな……。ファンって、モーターで羽を回すだけの極めて原始的な装置だ。壊れるような代物か? しかし、壊れたとなると、修理が必要になる。そんなパーツ、手に入る? 修理に出せば、新品を買うより高い金を取られるのが最近の世相である。どうする? 新品を買う? だったら、QNAPは初期設定が極めて難しかった記憶があるので、簡単に設定出来るというシノロジーにするか?
我が心は千々に乱れたのであった。

映画を見終わったのは10時過ぎ。いつもならここからもう1本映画を見るのだが、乱れた心では鑑賞は出来ない。ネットであれこれ検索するうちに、

「現物を見るのが先ではないか」

と思いついた。NASをネットワークから外し、電源を落としてデスクまで持ってきた。

「ところで、ファンって、何処にあるんだ?」

私はこの時まで、NASなるものがファンを装備してHDDとCPUを冷却しているなどとは知るよしもなかった。それでも、好きな音楽を聴けるからいいではないか、程度の気楽なNASユーザーだった。

NASをいじってみる。おお、あった。後ろの部分にファンがある。そんなところで回転して仕事をしていたのか。まさに縁の下の力持ちだな。
ありゃ、これはいかん。ファンに綿埃がこびりついている。えっ、ひょっとしたた不具合の原因はこれか?

思いついたら、あとは行動しかない。私はドライバーを取り出すとNASの分解を始めた。そうしなければ取れないほどの埃のこびりつき方だったのである。
ドライバーでネジを6本外した(うち4本はファンを固定するためのもので、分解とは関係なかったことが後で判明する)。プラスチックのケースをばらす。おいおい、埃がこびりついているのはファンだけではないぞ。基板の周りにも結構な量の埃があるぞ!

エアダスターを持ち出し、埃を徹底的に吹き飛ばした。ファンも基板も綺麗になった。

「これで動くのでは?」

NASを組立直し、古い3テラのHDDを挿入する。我が家ではNASは午後11時59分にシャットダウンし、翌朝7時に起動するようセットしている。少しでもHDDに長生きしてもらいたいため、お休み時間を設けているのである。
すでにNASが休憩に入る時間だった。そのため、NASが正常に動くかどうかの確認は今朝まで持ち越した。

そして今朝。7時過ぎに目覚め、まずNASを見る。おお、警告の赤ランプが消えている! ブーピー音もない! 直った!! これで今夜は安心して映画画を見ることができってなもんだ!

という混乱が私を襲ったのであった。

あ、NASの稼働時間管理だが、NAS内のHDDは仕事がなければ動いていないのだそうだ。私がNASに仕事を命じるのは音楽を聞くときだけだから、HDDはその時しか回転していない。であれば、NASの稼働時間を管理する意味は極めて少ない。と判断して、本日、時間管理をやめた。

というわけで、音楽を鑑賞出来る環境だけは戻った。先に進んでいないのが、購入した4テラHDDの活用である。わがレスキュー天使からは、Macでも見えない空き領域を結合することは出来る、とその手段を書いたページをご紹介いただいたが、見てみると、呪文に似たコマンドを打ち込んでコンピューターを管理する手法である。一見しただけで、私には荷が重い。私には呪文に関する知識はゼロなのである。

さて、どうする?

ネットを検索すると、NASに外付けHDDを接続し、中身をコピーする。コピーが終わったHDDを古いHDDと取り換えてNASに挿し、あとはQNAPFIDERというコントロールセンターの指示に従えばよいのだとか。こちらの方がハードルは低そうだが、コピーに数日かかるとある。
4テラをまっさらな状態に戻し、NASに入れる。多分、そこから初期設定が始まる。初期設定の仕方をネットで探し、NASが動き出したら、バックアップ用のHDDから音楽ファイルをコピーする。これが一番確実な気もするが、NASへのコピーは膨大な時間がかかる。多分、1日夜2日では済まないのではないか。

選択肢は限られている。さて、どうする?