グルメに行くばい! 全集
第1章:味の思い出
第1回:みそ汁

母の作る不味いみそ汁が苦痛だった。22歳の朝、横浜で出会った一杯の旨味に衝撃を受け、食の真髄に開眼。
第2回:目刺し
3歳の記憶に刻まれた、父が焼く目刺しの匂い。食への執念という己のルーツを辿り、幼い食の知恵と業を綴る。
第3回:お好み焼き

なけなしの奨学金で後輩に振る舞った1枚30円のお好み焼き。焦げたソースの香りは、今も消えない青春の味。
第4回:ダシ

お好み焼きの失敗を機に、プロから聞いた「ダシ」の極意。昆布を引くタイミングから火加減までを。
第5回:豚足

自由を謳歌し栄養失調に陥った学生時代、救ったのは深夜の豚足だった。無骨な食材に秘められた滋味。
第6回:キャベツを食う

学生結婚という無謀な跳躍。博多の街で出会った、出汁にくぐらせるだけのキャベツが教える食の悦び。
第7回:年増女の味

三重・津へ。池波正太郎が「年増女の味」と評した伊賀牛のすき焼きに、霜降りの官能と至福を知る。
第8回:山里の味

岐阜・長良川のほとりへ。金華山で子供たちと遊び、ダムに沈みゆく徳山村で囲炉裏を囲む。仲間と食す「里の味」。
第9回:漬け物ステーキ

飛騨高山で出会った生活の知恵。「凍った漬け物を焼く」伝統料理に、厳しい風土が育んだ、素朴で温かな家族の味を知る。
第10回:シャンツァイ

名古屋でアンコウ鍋の銘店「得仙」で濃厚な味を知り、ちゃんこ屋「加納」で魚を楽しむ。そしてバンバンジーに添えられた香菜の鮮烈な香り。
第2章:味を求める
第11回:カワハギのキモ

築地で食の論理を学び、神田の蕎麦に江戸の粋を知る。三浦の海でカワハギ釣りに没頭し、坊主の悔しさを経て味わう濃厚な「海のフォアグラ」。
第12回:札幌ラーメン

北の大地での生活が始まる。記者会見を捨ててまで挑んだ狸小路の「富公」。頑固親父の怒号の中で啜る一杯の塩ラーメンは、美味かった!
第13回:グルメ開眼

家族の成長とハプニングを経て、炉端焼きの名店「憩」で美味さを知る。素材の力と店主の誠実さに触れ、自分の舌で美味を語り始める。
第14回:パエリア―畏友「カルロス」の正体

新宿3丁目の小汚い店にカルロスがいた。同郷で大学の後輩。ヤツが作るパエリアとワインの魔力に取りつかれた。
第15回:ハリハリ鍋 ― 畏友「カルロス」って……

我が家に居着くカルロス。陽水来訪の嘘、ガソリン漏れ事故の珍道中を経て300万円ワイン会へ。至高の1955年ものワイン!
第3章:味を作る
第16回:野菜の手巻き寿司

2度目の名古屋転勤は初の単身赴任。手相見の「縁」の予言を胸に、自炊の道へ。半信半疑で試した「梅マヨ」ソースの野菜手巻きに驚喜する。
第17回:鍋物

単身赴任の食卓を救う「鍋物」。手軽さと健康を求めたはずが、「もったいない」との道徳心が仇となり、トド状態の過食を招く。
第18回:ステーキ

単身赴任の孤独が精神を侵食し始める中、独り言と格闘しながら家事に励む。自分を律するためのプレスされたシャツと、孤独を癒やす極上のステーキ。
第19回:鯛茶漬け

IHヒーターの誤用を経て、運命の書「システム自炊法」に出会う。その栄養学に心酔し、美食から健康の再構築へと自炊は進む。
第20回:蒸しキャベツ

丸元流を極めるべく、高価な「ビタクラフト」を清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入。素材の水分だけで蒸し上げたキャベツの濃密な味に、カルロスが絶句した。
第21回:根菜の煮物

朝食のシステム化に挑み、削り器で「鰹節粉」を量産するも、ペーパータオル濾過という知略で乗り越える。和食の奥深さと面倒さに悶絶しつつ、理論と実践の統一へ。
第22回:スパゲティ

休日の麺類自作に挑み、明治屋で食材を揃え「バジリコ」に挑戦。プロの助言を仰ぐも、茹で汁の塩加減で3度の失敗。理想と現実の狭間でインスタント麺に救われる。
第23回:タラのグラシオサ風

無加水調理の極み、タラのグラシオサ風を会得。あまりの美味さに「自慢」が女子3人組を招く事態に。だが非情な業務命令で外出。帰宅後、空の鍋と感謝の置き手紙に愕然。
第24回:ニシンのマリネ

男性の健康を司る亜鉛補給のため、デンマーク風ニシンのマリネに挑戦。旬を逃しイワシで代用するも、不意に訪ねてきた後輩に完食される悲劇。
第25回:蒸しもやし

長男の停学。私流の教育法で名古屋に呼び、親子酒。背伸びの味を教えた上で禁酒禁煙を約束させる。守ったかどうかは知らない。
第26回:肉じゃが

カルロスが来名。刺身の切り方にプロの見識を見る一方、深夜のバーで漏らした「妻への恋心」を私が奥方へ密告。翌朝、照れながら帰宅したヤツを待つのは豪華な夕食か?
第27回:カレー

料理の面白さに憑りつかれ、鶏ガラ10羽と8時間を費やすカレーに納得できず。工夫で鰹ダシとトマトを活かす独自レシピを完成させるが、最後は「焦げ」でおじゃんに。
第28回:手捏ね寿司

自信を持った私は小料理屋の厨房で一日シェフに。ニンニク尽くしのスペイン料理で外国人を唸らせると、店主が「この人は新聞記者」と明かす。
第29回:カボチャのスープ

上司と訪れたスペイン料理店で「ブイヨン入りパエリア」に遭遇。料理長に本物の定義を説教する暴挙に出る。味への執念はスープに。
第30回:カリフラワーのクミン炒め

代々木公園のイベントで疲弊したカルロスを助けるべく参戦。50人用の巨大鍋でパエリアを量産する分業体制を確立するが、それは更なる地獄の序章だった。
第31回:桜の塩漬けのお吸い物

連休3日目、店に1400人超が殺到。私は「合成の誤謬」が生んだ大群衆を相手に、お焦げを配り、アルデンテを説き、50人用大鍋を回し続けるプロの戦いに挑んだ。
第32回:アサリのパエリア

わが家全員が参戦し、パエリア戦線は最高潮へ。多忙の後は、他店との物々交換やワインを楽しむ「解放区」と化すが、グラスに付いた鶏の脂が現実に引き戻す。
第33回:チャーシュー

代々木公園の連休後半、客足が途絶えた「踊るパエリア屋」は解放区と化す。ビートルズに乗り、ドジョウ掬いと盆踊りに狂う中年2人…。
第34回:鯛の塩釜

名古屋の小料理屋で出会った中国の社長令嬢と親交を深めた。テニスに誘うも、彼女の「アンダースコートを履かない」姿に、日中の文化の差と煩悩が交錯した。
第4章:海外の味
第35回:番外編1 香港

香港での1人旅。中華の大皿料理を楽しむべく路上ナンパを敢行。誠意と必死さで女性2人連れを射止めるが、再会のキーである名刺を渡せぬまま、宴は幕を閉じた。
第36回:番外編2 ロンドン

ロンドン到着早々、高額な朝食と故障したタクシーメーターに翻弄される。大英帝国への不信が募るが、後に運転手の誠実さを知り、ビートリズを生んだ国の誇りに触れる。
第37回:番外編3 ダブリン

仕事で訪れたアイルランドで、私はアイリッシュコーヒーに出会う。専用カップの謎から起源を巡る考察、カルロス氏の「水先案内人説」まで、知識と酒を味わう。
第38回:番外編4 再びロンドン

アキュアスキュータムを求め日曜の街へ。安息日の閉店に出会う。時間潰しの大英博物館で略奪の歴史に触れ、夕食は「食の果つる地」英国で唯一信頼できるインド料理。
第39回:番外編5 まだまだロンドン
【ロンドンでの日々。6000円の焼き魚定食に驚愕し、アクアスキュータムを手に入れるも、最大の目的「アビイ・ロード」巡礼は、地図に翻弄されて未完成のまま。
第40回:サンディエゴ

米国の巨体と広大な空港に圧倒されサンディエゴへ。誘われたストリップから過去の珍事を回想するも、広すぎるベッドでの独り寝は孤独と酒の味しかしない。
第41回:番外編7 メキシコ入国

米国の空港で足止めを食らうも、開き直った判断でメキシコへ。入国審査では持参した「フグひれ」が仇となり別室へ連行されるが、50ドルで無罪放免となる。
第42回:番外編8 メキシコシティ

通訳と安価で美味いタコス。通訳はフランス料理に誘うも怯える。完璧な健康管理を自負した離陸直後、盲点の「生野菜」が猛威を振るい、激痛の空路へ。
第43回:番外編9 グランドケイマンへ

腹痛に悶えつつ米国経由でケイマンへ。機内で隣り合わせた米人美女の介抱に男の意欲を取り戻しかけるも、彼女の肌荒れへの冷静な観察も。
第44回:番外編10 グランド・ケイマンと亀

ケイマンで亀料理に挑むが、思惑「外れの「煮込み」に胃が拒絶。カードの限度額突破や潜水艦の欠航と災難は続く
第45回:番外編11 サンノゼ

ITの聖地で米国の食に絶望しつつ、最新技術を学ぶ日々。ナパのワイナリー巡りでOpus Oneに酔いしれるも、粗悪な車のシートが最凶の腰痛を呼び寄せる。
第46回:番外編12 ラスベガス(上)

展示会に沸くラスベガス。腰痛を抱え訪れたトイレで、米国流の紙巻き器に苦戦し腰が爆発。個室で身動きを失うも、腕力とハンカチで決死の脱出を果たす。
第47回:番外編13 ラスベガス(下)

激痛で座れぬまま執念で土産を買い終え、救急車でクリニックへ。日本人医師によるモルヒネ注射で恍惚の淵を彷徨うも、劇的な回復を遂げ、無事帰国の途に就く。
