接着剤の続編(2026.3.9)

昨日、どうやら私は人と人を繋ぐ接着剤のような役割も果たしているようだと書いた。3月4日、もう一組くっつけたようなのだ。

酒席での雑談の中での話である。野村さんが突然

「大道さん、佐藤さんをご存知ですか? あの、からくり人形の」

と問いかけてきた。知ってるも何も、佐藤 貞巳さんも「きりゅう自慢」で取り上げた1人である。記者時代からの知り合いで、本当に布を織るからくり人形を独自に作ってしまった大変な人なのだ。そのからくり人形が桐生えびす講で初公開されるという私の記事を見て、何と沖縄からわざわざ見に来たひとがいるほどである。

「もちろん知ってますよ。とってもいい人なんだが、瞬間湯沸かし器でね。しょっちゅうぷりぷり怒っている。でも、佐藤さんがどうかしましたか」

野村さんの話をまとめると、こうである。
野村さんは最近、町内会長になった。佐藤さんと同じ町内で、佐藤さんは前から副会長だったのだそうだ。この2人が人事でぶつかった。野村さんは前会長を役職にとどめて遇しようと思ったのだが、佐藤さんが頭から火を吹くようにして反対したというのである。

「あんなヤツを残したらとんでもないことになる。止めろ!」

話を聞きながら、ははあ、佐藤さんは町内会でも瞬間湯沸かし器であり続けているのだな、と妙に感心した。しかし、あの佐藤さんが前会長に対してそんな人物評をするとは、多分何か根拠があるはずである。

「いや、私はね、やっぱり前任者は大事にすべきだと思うんです」

確かに野村さんはまじめな方である。大きな組織である日本左官業組合連合会で役職を務め、先輩、同輩、後輩をうまく仕切ってきた組織の人でもある。だからの発想だろう。
だが、佐藤さんは一匹狼である。怖いものはない。いつでもどこでも自説を主張して譲らない。そしていつでも正義の人である。

「そうですか、瞬間湯沸かし器になりましたか。でも、佐藤さんの性格から考えて、佐藤さんがいってることの方が正しいかもしれませんよ」

私はそうコメントをした。
野村さんはいった。

「だったら、あのう、私は大道さんと酒を飲む仲だと佐藤さんに言ってもいいですか?」

「もちろんですよ。そうすれば佐藤さんも、野村さんのことをいまより少しは分かってくれると思いますよ」

佐藤さんから突然電話が来たのは、確かその2日後だった。

「大道さん、あんた、野村さんに私のことを話したんだって? いやあ、野村さんから聞いてびっくりしてさ」

何だか嬉しそうな声である。ということは、前夜にでも町内会の会議があったか? それとも野村さんが電話をして伝えたのか?

「それで、大道さんの話で盛り上がっちゃってね。じゃあ今度一杯やりましょう、なんて話になってね」

町内会の会長、副会長が親しくなるのは結構なことである。これも私が繋いだ仲になるのかな? やっぱり私は接着剤?
飲み会? その日はきっと、私にも声がかかるのだろうな。誘われたら出かけなくては、と覚悟を固めている私である。

コメント