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#85 世界最速のインディアン ― 7歳児の心(2008年8月18日)

まだ眠る男の顔にカメラが寄る。たるんだ皮膚、縦横に走る深い皺が画面を埋め尽くす。枕元の時計が午前5時半をさした。目覚ましが鳴り、男の目が開く。目の周りの皺が深くなった。ん、この皺と...
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#84 グッドナイト&グッドラック ― 違和感(2008年5月19日)

1985年10月に産声を上げたテレビ朝日の「ニュースステーション」は鮮烈だった。午後10時スタートのニュース番組である。この時間帯は視聴率競争にしのぎを削る民放各局の主戦場だ。数字...
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#83 トゥルー・クライム ― 男の知性(2008年3月20日)

昨今の男どもは、何故にかくまでも軟弱化し果てたのか、とお嘆きのあなた。私も同じ憂いを共有する。我が世代の男の第一の価値は、雄々しさである。雄は強くあらねばならぬ。か弱き雌どもを守ら...
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#82 スタンドアップ ― 母性本能(2008年2月19日)

父無(ててな)し児!父親のいない子を哀れんで呼ぶ時に使った。やや侮蔑語でもあった。父のいない子が何故哀れまれ、蔑まれたのか。食い扶持を稼ぐのは父、だったからである。父を失った子の暮...
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#81 フラガール ― 時代は変わる(2008年1月16日)

男と女が人目も憚らずにしっかり抱き合い、オンオンと声を放って泣いていた。男の顔は煤で真っ黒。女の髪はバサバサだ。彼らの家の庭先である。日はまだ高い。「あん人たち、何(なん)ばしよっ...
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#80 チャイナ・シンドローム ―巨大 システムの暴走(2007年11月21日)

気にはなっていた。なにしろ、米国・ペンシルバニア州のスリーマイル島原子力発電所事故を予言した映画なのだ。我が取り柄は野次馬根性なのである。気にならないわけがない。なのに、映画館には...
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#79 オール・ザ・キングスメン ― ニヒリズムの極地(2007年8月26日)

大学は法学部を目指した。社会は2科目選択である。日本史と世界史を選んだ。味気ない暗記作業に励んだ。作業に励みながら、いくつか「何で?」といいたくなる謎にぶつかった。例えば――。ロー...
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#78 猿の惑星 ― 愚かなる者、汝の名は……(2007年6月16日)

テイラー: Oh, my God! I’m back, I’m home! All the time that is. We finally, really did it. You...
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#77 チャンプ―自分のズボンを脱げなくなったら(2007年5月17日)

今回は通常の2倍の手間をかけた。従って、渾身の力作である。勝手な思い込みは、私の特技である。突然だが、妻と銀座に出かけた。妻は足が弱い。長距離移動にはマイカーが必需品だ。車の美点は...
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#76 タイムリミット― 危機管理(2007年4月13日)

不倫、不義密通、姦通、私通、邪淫、密通、よろめき、不貞、浮気。世に入れられぬ男女の契りは様々に呼び習わされてきた。禁じられても、あるいは禁じられるが故に燃え上がる炎は、人々の胸に鮮...
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#75 恋人までの距離(ディスタンス)―言葉は嘘の道具(2007年3月11日)

他人の恋愛とは、存外退屈なものである。初めての恋かも知れない。身を焦がす恋かも知れない。路ならぬ恋かもしれない。最後の恋かも知れない。だが、いずれも傍目からは、「ああ、そんなもの」...
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#74 ウォルター少年と、夏の休日 ― 格好いいジジイたち(2007年2月8日)

週刊朝日が、「ちょいモテ・オヤジの『中年老け易く、艶成り難し』」というコラムを連載中だ。筆者は岸田一郎氏。「LEON」という雑誌の創刊編集長だった、とある。この雑誌、モテるオヤジの...
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#73 失われた週末 ― 今日も飲むぞ……?(2007年1月11日)

「酒は敵(かたき)ぞ!」同居していた祖母から何度も聞かされた。幼き日の思い出だ。祖母は、自らは酒を嗜んだ。なのに、私を前にすると、酒は敵であると言い切る。いまの私なら、「ばあちゃま...
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#72 エデンの東 ― 赤狩りの余波(2006年12月10日)

ドキッ。私の小さな胸で、心臓が大きな音を立てた。甘酸っぱい痛みが広がる。恋のときめきにも似た心臓の鼓動である。映画を見てこんな気持ちになったのは、「シネマらかす #16 初恋のきた...
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#71 素晴らしき哉、人生! ― 私の人生も素晴らしいか?(2006年11月2日)

「シネマらかす」はかつて、「シネマ・アンドレ」といった。デジタル・キャスト・インターナショナルのホームページ上で2004年10月に掲載を始め、今年(=2006年)3月からは舞台を「...
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#70 俺たちに明日はない ― いまを先取りした映画 (2006年10月12日)

「あんたは大器晩成型ち言われたつよ」叔母にそんなことを言われたのは、もうずいぶん昔のことだ。何でも、私が生まれて間もなくのころ、私の運勢を占い師に見てもらったのだそうだ。大器晩成?...
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#69 カンバセーション…盗聴… ― 想像力の枯渇(2006年9月24日)

時折、不愉快な電話がくる。自宅、職場を問わずにである。極めつけはこんな具合だ。「大道シェンパイですか? 私、○○といいます。実はシェンパイと同じ大学ば出てから、この春東京に就職ばし...
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#68 熱いトタン屋根の猫 ― セックスレス夫婦(2006年9月7日)

我が知人に、セックスレス夫婦を公言する男がいる。30代半ばである。結婚当初はいたしたらしい。が、何とはなしにお互いがお互いを求めなくなった。いつの間にか定着した。聞いていた仲間は口...
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#67 生きる― ああ、戦後民主主義(2006年8月17日)

「お父さん、黒澤の映画でどれが一番好き?」息子の唐突な問が私を襲った。「1本だけか?」質問に答えるに質問でもってする。時間稼ぎの常道である。「うん、1本だけ」即座に返事が返ってきた...
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#66 つばさ ― 映画人の根性(2006年7月27日)

夏目漱石は、「草枕」をこう書き出した。 山路を登りながら、こう考えた。  智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。  住みにくさが...
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♯65 シュリ―いま、すごく逢いたい。逢いたい(2006年7月13日)

日本は、もっと不安定な、皮膚がピリピリするような危機感、軍事的緊張感のある国にならねばならない。「シュリ」を見て、そんな気がした。不穏である。平和主義者である私が、平和を否定する。...
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#64 ウォール街 ―ゲッコーを乗り越えよ!(2006年7月3日)

株には縁がない。買ったことがない。見たことも、触ったこともない。いや、正確には、自分の会社の株は持っている。望んだのではない。ある時、上から押しつけられた。30数万円分買えというの...
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♯63 グッド・ウィル・ハンティング ―フリチンの効用(2006年6月27日)

大学生のころ、私には苦手があった。女性である。初めて2人っきりで会う女性が、どうしようもなく苦手だった。決して、落語「まんじゅう怖い」を衒っているのではない。まんじゅう怖いは、本当...
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#62:皇帝のいない八月-底なしの穴(2006年6月17日)

今回は、初めての試みに挑む。これまで「シネマらかすは」、見て面白かった映画、楽しかった映画、うなってしまった映画、涙した映画、考えさせられた映画、一言で言えば、あなたにも是非見て頂...
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# 61:ガタカ―格差社会の超克(2006年6月9日)

過去に材料を取った物語を時代物、時代劇といい、まだ見ぬ未来で話が展開するものをSF (サイエンス・フィクション)と呼ぶ。一見、全く違った世界だが、実は同じものである。と、私は思う。...
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#60 : クール・ランニング - 負けっぷり爽やか(2005年12月2日)

名古屋で単身生活をしていたときのことだ。新聞広告で見た瞬間から心が騒いだ。「ボブスレー? ジャマイカ? なんでそんな組み合わせが……?」雪をカチカチに固めた溝の中を、鋼鉄製のそりに...
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#59 : 偽りの花園 - 魑魅魍魎の勝利(2005年11月25日)

天国。極楽。西方浄土。善行を積めば、神を信じれば、南無阿弥陀仏と唱えれば、死後、そこへワープする。悲しみもない、苦しみもない、飢えもない世界。そこへ行く資格がない私のような者は? ...
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#58 : 理由なき反抗 - 地震、雷、火事、親父(2005年11月18日)

私が名古屋に単身赴任した時代があったことは、この日記を読み継いで頂いている方には既知の事項である。と思う。ひょっとしてまだご存じない方は、「グルメに行くばい! 第16回 :野菜の手...
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#57 : スクール・オブ・ロック - 頭は使うな! (2005年11月11日)

芸術は爆発だどこかの芸術家がいった。爆発? 何が爆発するの? ゴッホの絵が爆発する? モーツアルトのピアノ協奏曲20番が爆発する? ミロのビーナスが粉みじんになる?分かったようで分...
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#56 : 死刑執行人もまた死す - 図式通りのプロパガンダ(2005年11月4日)

ナチスという歴史的犯罪は、映画人の感性をいたく刺激するらしい。ナチスが政権の座に着いた直後から、ナチスの罪を糾弾する映画が数多く作られてきた。歴史的犯罪の罪状が確定したあとも作られ...
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#55 : ラン・ローラ・ラン - 必然の契機(2005年10月28日)

「最後の親鸞」(吉本隆明著、春秋社)を読んだ。古書市で、確か680円で手に入れたまま、1年ほど積ん読状態だった。ふと気がついて、ページを繰った。この歳になって、浄土真宗の開祖に関心...
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#54 : アラバマ物語 - 糖衣錠(2005年10月21日)

古(いにしえ)の人はすごい。思わずうなってしまうほどの警句を数多(あまた)残した。人と、人の世の真実を抉る珠玉の短文である。良薬は口に苦しも、その1つだ。良く効く薬は、限りなく苦い...
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#53 : 誓いの休暇 - 戦時下の青春譚(2005年10月14日)

どんな時代にも、どんなところにも、青春ってあるものだ。豊かでも、貧しくても、平和でも、戦乱のさなかでも。ソ連の優れた反戦映画である「誓いの休暇」を、ちょいと一皮むいてみた。ナチス・...
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#52 : ひまわり - エンディングから始まる物語(2005年10月7日)

8月末、東京・築地の浜離宮朝日ホールでジャズを聴いた。前田憲男、国分弘子のピアノ・デュオにストリングスがからむ、一風変わったジャズコンサートだった。なにしろ、「このホールは、弦の音...
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#51 : ブラディ・サンデー - テロルの土壌(2005年9月30日)

1987年秋の週末、アイルランドの首都ダブリンまで足を伸ばした。ロンドンに行ったついでだった。ロンドンのホテルからヒースロー空港まではロンドン・キャブである。日本のタクシーと違い、...
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#50 : 小説家を見つけたら - BMWが開く世界(2005年9月22日)

人にはそれぞれのGスポットが存在する。俗に言う、琴線である。ここを上手く刺激されると、身も心もメロメロになる。ある人のGスポットは、身を焦がすような悲恋物語かも知れない。別の人のG...
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#49 : スモーク - 無駄こそ人生!(2005年9月16日)

普通の方々にはあまりおなじみではないかも知れないが、Sir Walter Raleigh(ウォルター・ローリー卿)は、私には既知の人である。エリザベス1世の御代、彼がたばこをイギリ...
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#48 : わが街セントルイス - 悲しい嘘(2005年9月9日)

「らかす」を読み継いでいただいている方々の記憶には、ひょっとしたら我が幼き日々の断片が残っているかも知れない。そう、貧しさにめげることもなく、健気に生き抜いた我が熱い日々である。ま...
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#47 : フィラデルフィア - 友愛(2005年9月2日)

フィラデルフィアとは、古代小アジアにあった都市の名前だそうだ。「The City of Brotherly Love(友愛の都市)」を意味するという。その美しい名を受け継いだ米国ペ...
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#46 : 忍びの者 - 信長は太っていたか(2005年8月26日)

忍者になる。子供のころ、それは将来設計の一角を占めていた。特殊な術を身につけ、闇に溶け込み、無と化す。格好いい!背よりも高い塀を軽々飛び越して、悪人の屋敷に忍び込む。雑誌に拠れば、...
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#45 : カルテット - となりのトトロ(2005年8月19日)

「大道さん、楽器は何をやられます?」私の秀でた姿形、高い知性、巧まずして会話からにじみ出してしまうウイットが、高貴な文化の香りを漂わせるらしい。私は、よくそんな質問を受ける。知性を...
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#44 : ポセイドン・アドベンチャー - 神は存在するか?(2005年8月5日)

クレタ島の北西208kmの海底でマグニチュード7.8の地震が起きた。海底地震は大きな海水のうねりを作り出し、津波となって四方に広がる。そのころ、客船ポセイドン号では、乗客、乗員がこ...
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#43 : ライムライト - パブロフの犬(2005年7月29日)

私をパブロフの犬にしてしまうメトロノームは、この映画の主題曲である。いつ聴いても、何度聴いても、同じ反応が起きる。なのに、前回書いたように、この音楽で思い起こしていたのは「街の灯」...
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#42 : 街の灯 - You?(2005年7月22日)

我が家に2枚組のCDがある。Thomas Beckmannが演奏する>>Oh! That Cello<< Music byCHARLIE CHAPLIN である。別に、チェロという...
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#41 : スピード - じゃあセックスしなきゃ(2005年7月5日)

思わずポケットのハンカチを探って溢れ出る涙を拭うようシーンは、ない。俺の人生、これで良かったのか? という深い自己認識を呼び覚ましてくれるシーンは、ない。現代社会に鋭く切り込んでう...
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#40 : 酔っぱらった馬の時間 - どうにもならないもどかしさ(2005年7月8日)

人生はつらい旅 苦労ばかりが続く  人生はつらい旅 子供さえ老いてしまう  険しい山々を越え 谷をさまよう毎日  人生はいつしか 僕らの若さを奪ってしまう  そして僕らを 死に近づ...
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#39 : 屋根 - 安ワインの味(2005年7月1日)

しかし、まあ、これを家と呼ぶのだろうか?ドアはある。窓もある。でも、画面から判断すると、一辺がわずか3mほどの、四角な箱でしかない。とすると、居住面積はわずか9㎡、たったの2.7坪...
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#38 : オズの魔法使 - 脳みそ・心・勇気(2005年6月24日)

まだ幼少の折、私は少しませたガキであった。夜の楽しみは、親父と一緒にラジオを聞くことだった。番組の選択権は、当然のことながら親父にある。子供向けの番組など絶対に選択されなかった。夜...
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#37 : ザ・ハリケーン - 信頼、奉仕、そして矜持(2005年6月17日)

「大道君、なんということをしてくれたんだね!」顔をあわせるなり、職場の上司が私を怒鳴りつけた。「はあ?」いや、怒鳴られても仕方がないことは沢山やっている。命じられても、これは無駄だ...
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#36 : コンスピラシー - 優秀な官僚たちの犯罪(2005年6月10日)

極めて無能な上司のもとで働いたことがある。その名を K という。物事を知らない。社会的常識がない。上の顔色ばかりうかがう。下の者の気持ちなど、察する気も能力もない。指示は支離滅裂で...
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#35 : TAXi - 愛国心(2005年6月3日)

なるほど、民族とはこのようなものかと思う。海洋という防壁で隣国と隔てられている日本とは違い、国境線という目に見えないもので隣国と接している大陸の国には、我々島国の住民にはうかがい知...
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#34 : シモーヌ - 虚と実のいま(2005年5月27日)

夕方、銀座を歩いていた。有楽町マリオンの前で見覚えのある顔に出くわした。長髪を風になびかせ、黒いマントを羽織っている。頭頂部はやや薄い。「あれっ、あいつ、誰だっけ?」私は人の名前を...
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#33: 引き裂かれたカーテン - 逃走の醍醐味(2005年5月20日)

小学校の職員室で、私は震え上がっていた。目の前には、西木戸先生がいた。椅子に座っている。清楚な顔立ちをした、まだ30歳前の美しい先生だった。私の担任である。ほのかな憧れすら感じてい...
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#32 : 愛情物語 - ちょっと薄味(2005年5月13日)

私がJazzという音楽を聴き始めたきっかけは単純である。私に一言の断りもなく、The Beatlesが勝手に解散してしまったことである。おいおい、あんたらのほかに音楽はなし、という...
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#31 : リーサル・ウェポン - 男って、いいなあ!(2005年4月28日)

一休さんの狂歌である。流石に、この橋通るべからず、といわれて平然と渡り、「はし」は通っていない、真ん中を通ってきた、と言ってのけた知恵者、というか、天の邪鬼というべきか。大多数が祝...
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#30 : 壬生義士伝 - 中井貴一に惚れちゃった!(2005年4月22日)

今年2月末、土曜日というのに東京・有楽町の有楽町朝日ホールまで出かけ、「朝日名人会」を聞いてきた。落語の会である。筆者大道が落語好きであることは、「横浜にぎわい座」などで、既にご存...
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#29 : 火垂るの墓 - 原作を越えた?(2005年4月8日)

第58回直木賞を受賞した野坂昭如さんの「火垂るの墓」を読んだのは、大学生のときだった。実家の、庭に面した部屋で寝っころがりながらだった記憶があるから、おそらく夏休み、帰省していたと...
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#28 : ダイ・ハード - 万歳!アナログ男(2005年4月1日)

1980年、私は名古屋にいた。1982年4月、東京に転勤して浦安に住んだ。同年8月、横浜市に転居した。1985年4月、札幌への転勤命令が出た。1987年5月、再び東京での生活が始ま...
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#27 : ライフ・イズ・ビューティフル - 軽薄の勧め(2005年3月25日)

「あなた、嘘ついてたのね。奥さんも子供もいるんじゃない!」などという心臓に悪い一言を言われたことがおありだろうか? ことがことだけに、家族に知られるだけでなく、裁判なんてことになる...
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#26 : 情婦 - こいつはリーガルサスペンスなのである(2005年3月18日)

私はリーガルサスペンスなる分野の小説を極めて好むものである。それも海外物がいい。陪審員がいない日本の法廷は、どうもドラマにならない。新聞の書籍広告、なかでも文庫本の広告に、法廷を舞...
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#25 : 激突! – 日常にある恐怖(2005年3月11日)

中学生の時だ。生徒会長だった1年先輩の安藤さんが浮かぬ顔をしている。元気がない。日頃快活な彼にしては、様子がおかしい。「安藤さん、どげんしたとですか?」「ああ、大道君。失敗しちゃっ...
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#24: インサイダー - ああ、ジャーナリズム(2005年3月4日)

読者から、私の無知を埋めていただくありがたいメールをいただいた。ご紹介する。まず、1通目は「シネマらかす 19: Calvin Klein - バック・トゥ・ザ・フューチャー」につ...
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#23 : 青い戦慄 - こんな台詞で決めてみたい!(2005年2月18日)

東京電力の社長、会長、経団連会長と華麗なキャリアを持つ平岩外四さんを昨年、東京都内のレストランでお見かけした。当時89歳、いまでは90歳のご高齢にもかかわらず、オーナーシェフの話で...
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#22 : シカゴ - 日本は人材不足(2005年2月10日)

世界の歴史は、日本ほど豊かで平等な社会を持ったことがない。最近はやや崩れてきたが。日本ほど素晴らしい色彩感覚を持った社会は、おそらくほかにない。Redという色を、日本人は、赤、紅色...
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#21 : 理由 - 約束違反(2005年2月4日)

人の世は、様々な約束事でできあがっている。 赤は止まれ、青は進めは、人と車の流れを安全に、スムーズにするための約束事である。無視する人がいると、私の愛車が大破したような事故が起きる...
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#20 : ホワイトナイツ/白夜 - 男の体も美しい(2005年1月28日)

何度も書いたように、私は生粋の九州男児である。我が故郷で、男を最大に侮蔑する言葉は、"You, mother fucker!"あ、間違った。これは米国だった。我が故郷では、「おなご...
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#19 : バック・トゥ・ザ・フューチャー - Calvin Klein(2005年1月14日)

ある日、私のパンツがすべてCalvin Kleinになった。私がねだったのか、妻が自主的に買い揃えたのか、いまとなっては記憶にない。いずれにしても、私がビジネスの戦場におもむくにあ...
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#18 :夢の香り セント・オブ・ウーマン - 人としての高潔さ(2005年1月7日)

アル・パチーノとの出会いは、ご多分に漏れず、「ゴッド・ファーザー」だった。(余談) 第一印象は、 「へえ、ダスティン・ホフマンって、こんな役もできるんだ」 ダスティン・ホフマンは「...
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#17 : スミス都へ行く - 絶望の笑い(2004年12月24日)

「スミス都へ行く」は、フランク・キャプラ監督が、アメリカの子供じみた、おとぎ話とも言える民主主義への信仰、マスコミへの賛美を、絶望しながら笑い飛ばした作品である。(注) 民主主義は...
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#16: 初恋のきた道 - 美しい、美しい、ほんとうに美しい!(2004年12月17日)

ほんとうは身も凍るほどに怖い、でも限りなく美しい初恋の物語である。学校を出たのにほかに就職先がなかったルオ・チャンユーは、教師になって田舎の村に赴任する。ろくな校舎さえない村だ。で...
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#15  いまを生きる - 期待という名の抑圧(2004年12月10日)

「いまを生きる」を我が家に持ち込んだのは、長男だった。レンタルビデオを借りてきて、「お父さん、これ、面白いから見なよ」と食卓に放り出した。家族全員で鑑賞会を開いた。当時、我が家のテ...
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#14 : おばあちゃんの家 - クソガキの変身(2004年12月3日)

小さな男の子が、縫い針の穴に糸を通す。通した糸を適度な長さに切り、丁寧に針山に刺す。次の針を取り上げ、糸を通し、切り、針山に刺す。5本も6本も、ありったけの縫い針に糸を通し、針山に...
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#13 或る夜の出来事 - 女をものにする17の Know How(2004年11月26日)

逆玉の輿、略して逆玉は、未婚男性の理想である。資産家のひとり娘に見初められる。彼女の親があくせく働いて、時には人の道を踏み外して、ガッポリ貯め込んだ財産は、いずれ我がものとなる。明...
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#12 天使にラブ・ソングを - 160kmの速球に三振(2004年11月19日)

見るたびに楽しくなる。心が躍り出す。「天使にラブ・ソングを…」は、そんな映画である。家族の誰かが見たくなって茶の間で見ていると、たまたま茶の間にやってきたほかの家族が一緒に座り込ん...
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#11  暗くなるまで待って - 安上がり?(2004年11月12日)

独り暮らしのつれづれに任せて見た。名古屋に単身赴任していた時のことだ。横浜に帰るのは、月1回。それ以上回数を増やしては、家計がパンクする。単身赴任とは、体も心も大変だが、最も大変な...
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#10 チャップリンの独裁者 - 失敗作?(2004年11月5日)

我が妻は、何かがほしいと言い出したことがほとんどない。彼女の労働軽減を思って食器洗い機を買おうと提案しても、「まだいらない」と首を横に振る。棺桶にはいるまで、我が家の皿と茶碗とコッ...
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#9 藍色夏恋 - できれば日本で続編を(2004年10月29日)

目、に強く惹かれた。心がホカホカになった。3人の高校生のひと夏の話である。女の子、リン・ユエチェンは、ある男の子にあこがれている。若い、淡い恋だ。相手は、水泳部でギタークラブにも所...
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#8 :鞍馬天狗 - 男の中の男なり(2004年10月22日)

前回の「ジャッカルの日」について、職場の同僚からメールをいただいた。世の中には碩学がいることを再確認し、私の不十分な原稿をみごとに補っていただいたことに感謝しつつ、ここに転載する。...
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#7 :ジャッカルの日 - 読んでから?(2004年10月15日)

見てから読むか、読んでから見るか。最近は、そんなキャッチコピーをかぶせた本が結構ある。見る、とは映画を見ることであり、読む、とは本を読むことである。映画と小説のタイアップである。あ...
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#6:サルバドル - 絶望(2004年10月1日)

映画館を出て、思わず「この映画、2度と見たくない」とつぶやいてしまった経験って、ある?それも、つまらない、時間の無駄としか思えない映画を見てしまった後悔からではなく、いつの間にか映...
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#5 :レイダース 失われたアーク《聖櫃》-47.875秒に1回の興奮(2004年9月24日)

それまで酔眼朦朧としていた我が目が、ぱっちりと開いた。午前2時過ぎ、場所は伊豆・修善寺の旅館である。(余談) 私が目をぱっちりと開いてテレビに釘付けになっていると、妻が膝掛けを持ち...
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#4:裸の島 - 生きるって、生きていくって……?(2004年9月17日)

男子たるもの、人前で涙を見せるべからず。九州男児が後生大事に持ち続ける価値観である。私は九州男児である。人前で泣かないのは、私の得意とするところである。いや、であった。ある日、それ...
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#3 : アマデウス - プロモーション映画(2004年9月10日)

子供のころは歌謡曲を聴いた。中学生になってからはポピュラー音楽にどっぷり浸かった。何故かクラシック音楽は嫌いだった。(余談) 我が記憶に残る最も古い歌は、「お富さん」である。 ♪粋...
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#2:華氏911 - ないものねだり?(2004年9月3日)

ふむ。映画館を出て、何かがずーっと引っかかっていた。ストンと落ちないものが、頭の片隅を占拠し続けた。いったい、何なんだろ、これ?久しぶりに、妻と2人で映画館に出かけた。8月最後の日...
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#1:LET IT BE - 5人目になりきった(2004年10月29日)

“Rubber Soul” が私の人生を変えた。一風変わったメロディのギターイントロで始まる “Drive My Car” から、投げやりな雰囲気が漂うJohnのヴォーカルがいい味...