01.03
2010年1月3日 思考放棄
正月も3日目。暮れの29日以降、ほとんど外に出ない日が続いている。日誌を毎日更新しようと宣言はしたものの、これだけ家に閉じこもる時間が続くと、さすがに身辺雑記だけでは持たない。
こんな時は、新聞である。幸い、今朝から新聞が入り始めた。新聞受けから取ってきてさっそく読み始めた。新聞とはありがたいものである。ある、ある、ネタが。これで月3850円は安い、かな?
朝日新聞の1面に、
09年交通死 5000人割る
という見出しがあった。交通事故で亡くなった方、その家族、親戚、知人の方には申し訳ないが、やはりこれは明るいニュースだ。そう思って読み始めたのだが、読むうちに
「こりゃ、いかん」
と思った。朝日新聞、正月から不完全原稿を掲載している!
まず困ったのは、昨年の死者数は4914人で、
「ピークの1970年の29%の水準にとどまった」
という部分である。「の」が3つも出てくるみっともない文章であることをあげつらうのではない。
ねえ、皆さん、こんなデータを示されたら、
「では、ピークだった1970年の死者数はどれぐらいだったのか?」
と思いませんか? 私は思った。思って、記事を最後まで読んだ。どこにも出てこない。ネットで探したら、読売新聞は1万6765人、とちゃんと書いている。
やっぱり、ここまで書くべきではないか?
「あなたは太りすぎです。体重を18%落としなさい」
といわれるより、
「いま90kgある体重を74kgまで落としなさい」
と具体的な数字で示される方がリアルではないか? パーセンテージだけでは実感が伴わないのである。
ああ、そうか。それぐらいは自分で計算しなさいってか。計算すれば惚け防止にもなるでしょ、って?
それはご親切に。わかった。計算してみよう。えーと、たしかこれは
4914÷0.29
でいいんだよな。よし…………、あれっ、割り切れないよ。1万6944.8275……。しかも、四捨五入しても1万6765にならない! 読売新聞が間違ってるのか?
困ったなあ……。
などは、まだましな方である。
本当に困ったのは、交通事故死が減った原因の分析がいい加減なことである。記事があげているのは、改正道路交通法の施行で飲酒運転が厳罰化され、加えてシートベルトの着用率が上がったこと、車の安全性が高まったこと、交通マナーが良くなったこと、の3点である。
新聞各紙の分析も大同小異である。おそらく、昨年の死者数を発表した警察庁がそんな分析を示したのだろう。
だが、ほんとうにそうなのか、とはこの記者は考えなかったらしい。
そりゃあお巡りさんは、道交法改正の効果を宣伝したいに違いない。でも、飲酒運転が厳罰化されて懲役刑の最高が3年から5年に、罰金の上限が50万円から100万円に引き上げられたのは2007年の9月である。素直に記事を読めば、効果が出るまでに1年半を要したことになる。
一方、後部座席のシートベルト着用義務化は2008年6月で、見つかれば違反点数が1点増えるだけなのに、わずか半年で効果が出たらしい。
重い刑を科される違反は長い間続け、ほんのちょっぴりしかられるだけの違反はすぐにやめる。そんなことってありか? だったら、罰則を重くする意味、ないんじゃないの?
そういえば、最近はタクシーの運転手さんも
「お客さん、シートベルトしてくれますか」
っていわないぞ。施行当初はうるさいほどいってたのに。
車の安全性は本当に高まっているのか。国内用と輸出向けで安全仕様が違う、と日本の車メーカーが批判されたのはいつだっけ? その後、国内向けも改善されたのか?
軽自動車の安全性は向上したのか? 税金が安かったりや車庫がなくても買たりする軽自動車の特典を守ることにしか意味がないいまのボディーサイズでは、安全対策には限界があると聞いていたが。
それに、時々借りて乗る軽自動車は、総じてブレーキの効きが悪く、そのくせ恐ろしくスピードが出る。本当に軽自動車の安全性は向上したのか?
交通マナーが良くなった? ホントかね。町を歩いていていても、車を運転していても、ちっとも変わらないように見えるが。
なぜ、交通事故による死者が減ったのか。もっと綿密に分析してほしい。そもそも、自動車の保有台数は増えたのか減ったのか。自動車の総走行距離は伸びたのか、縮んだのか。高速道路と一般道での事故件数、死亡事故件数の推移は? 歩車道の分離、中央分離帯の設置など安全な道路造りはどの程度の水準にあるのか? 車種別の事故率、死亡事故率は?
知りたいことはたくさんある。お巡りさんの宣伝に乗らず、冷静に事故減少の要因を探ってこそ、さらに事故死者を減らす施策を見つけ出せるはずである。
お巡りさんがしゃべったことをそのまま書く。思考放棄といわれても仕方がない。頭は生きてるうちに使おう!
さて、ジグソーパズルは6割程度まで進んだ。もうマイケルさんのジャケットだけでなく、顔もできあがった。が、残ったのは何の模様もないピースがほとんど。これを何とか組み合わせなければならない。
日暮れて満ち通し、である。
リンは、とうとう食欲が落ちてきた。朝もほとんど食べなかったというので、昼食時に犬用のクッキーを6個やった。5個までは食べたが、ふと見ると、6個目は床に落としている。
「食べないのか?」
と声をかけながら口元に運ぶと、大儀そうに食べたが。
食べなければ衰弱が進む。そういえば、屋内での排尿を続けるので、夕方散歩に連れ出しても、自分で一番短いコースを選ぶようになった。
さて、残り時間はどれほどあるのだろう?