2010
11.15

2010年11月15日 冬

らかす日誌

今日午後から雨が降り、桐生は急速に冷えた。
11月半ばにして、冬到来である。

我が家には、本日から床暖房が入った。恐らく、来春までつけっぱなしである。
数日前から

「寒かったら床暖入れたら」

と妻殿には申し上げていた。何しろ、足が痛むらしい。夜、足が痛くて眠れず、やむを得ず痛み止めのロキソニンを飲む。そうすれば痛みは治まるが、継続的なロキソニンの服用は腎臓に悪影響を及ぼす。
そもそもが膠原病で腎臓は健康でない。尿タンパクが出たりでなかったりを繰り返している。先日の病院の検査では数ヶ月ぶりに尿タンパクが検出され、服薬量が増えた。ロキソニンはそこに追い打ちをかけかねない。

だから、

「寒かったら床暖入れたら」

なのだが、なかなか素直にお聞きになる耳を持ち合わせていらっしゃらない。何度言っても、ただ首をに振るだけである。
私の言葉だから素直に聞けないのか。家計を預かる主婦として、潰えはできるだけ押さえるのが自分の使命であると固く決心しているのか。
いずれにしても、妻殿に首を横に振られたのでは、私が床暖房のスイッチを入れるわけにもいかない。

今日は6時前に、氷雨の中で車を運転し、自宅に戻った。外は冷えている。いくら何でも床暖房なしでは辛かろうと思いながら家に入り、

「もう床暖を入れなくちゃ」

といいながらスイッチの前に行くと、すでにスイッチがONになっていた。私がいぬ間に、我慢が限界に達したものと見える。適正な判断である。

 

そういえば、先日、この冬初の河豚を食べに行った。
「中川」。河豚コース3500円。もちろん養殖河豚だが、楽しめる。惜しむらくは、ひれ酒が濁っている。ひれの焼き方か?

相手は、桐生市の有力者Oさんであった。夕刻、用事があって電話をしたら

「ねえ、俺、6時半頃仕事が終わるんだけど」

と誘われた。有力者の誘いを断るほどの蛮勇を私は持ち合わせていない。車でご自宅までお迎えに行き、冷えてきたから河豚、と意見が一致して「中川」に向かった。

桐生に決定的に足りないものは金である、とは、最近の私の持論である。桐生の最大の問題はゲンナマがないことである。もっと金儲けをしようよ。金儲けは決して恥ずかしいことじゃないんだから。Oさんにも、何度も申し上げた。

「でね、アグリビジネスを考えてるのよ」

とOさんはいう。桐生の誇りは織物だけではない。世界で初めて椎茸の人口栽培に成功した森産業もここの会社だ。私としては、そのキノコ栽培技術で松茸の人口栽培を成功させて欲しいのだが、Oさんは違う。

「それはね、やらない方がいいの。生態系を壊す恐れがある。でも、キノコ栽培の技術を使って肥料や土壌改良剤が作れるし、そっちの方が面白いのよ」

ひれ酒で霞んだ頭でOさんのビジネスプランを聞いた。面白い。

「ねえ、俺、あと何年かで会社を放り出されるんだけど、もしうまくいったら俺も混ぜてくれる?」

 「もちろん大道さんには入ってもらうよ」

そうか、俺はヨイヨイになるまで働けるか。気分よく酒を飲み、河豚雑炊を楽しみ、勘定をした。

「ねえ、一冬前は2900円だったよね、コースで。今年は河豚、高いの?」

 「ええ、まあ、去年よりは」

ということらしい。ま、600円なら許容範囲だが。

さて、今年はあと何度、河豚を口に運ぶのだろう?

桐生は、冬である。