06.01
2014年6月12日 その後のBUFFALO
「つながらないんだけど」
私のすべての音源が入ったBUFFALOのNASを持ち帰ったO氏(今回より、桐生市の元有力者、との肩書きをはずす。別に理由はない。原稿を書く際の省力化のためである)から、そんな電話が入ったのは、確か9日、月曜日であった。
仕事の合間に、自宅のネットワークにNASとネットワークプレーヤーを繋いだという。その結果、プレーヤーはネットワーク上に現れたのに、NASが登場しない。
「うーん、パソコンからも認識しない?」
「しないんだよ」
「で、パソコンからプレーヤーは見えてるんだよね。だったら、プレーヤーを接続しているところにNASを繋いでみたら? それでパソコンからNASが見えなかったらNASが壊れていることになるけど、だけど、わが家でちゃんと動いていることを確認して持っていったんだよね。なのにNASが壊れたなんて考えにくいけどね」
そして火曜日。
「もうひとつのLANに繋いだら、NASは見えたよ。でも、元に戻して繋ぐと見えないんだよね。プレーヤーもNASを認識しないんだ。で、NASに入っている曲をUSBメモリーにコピーして聞いてるんだけどさ」
「ということは、ネットワークがおかしいよね。そのネットワーク、ちゃんとしてる? そこまでやったら、パイオニア(彼のネットワークプレーヤーも、私と同じパイオニアなのである。私は中古、彼は新品、という違いはあるが)に問い合わせてみて。あそこ、客が少ないらしくて、すぐにつながるから」
問い合わせはしたらしい。
「だけど、まだつながらないんだよね、プレーヤーとNASが。知り合いのネットワークに強いヤツに、最終的にはやってもらうけど」
そんな電話を受けながら、私は昨日、今日と、朝から仕事に拘束され、身動きが取れなかった。3日連続で昼間拘束されるはずだったのを、今日は半日で見切りをつけ、午後早い時間にO氏宅を訪れた。どんなつなぎ方をしているのか、この目で確かめてみようと思ったのである。
残念なことに、彼は
おじいちゃん
業に専念していて留守であった。
なんでも、彼に初孫を恵んでくれた娘さんが子供を連れて帰省、
「『まゆ』に乗りたい」
と求めたので、愛しのお孫さんと3人でまゆに乗りに行ったのだという。
まゆ、とは、電動8輪車である。最高速度19km、航続距離、確か30km。
冷房も暖房もなく、ついでに窓ガラスもない。今日みたいな雨の日は、窓に透明ビニールを垂らして雨を防ぐ。まあ、子供の玩具に毛が生えた程度の、大人の玩具である。いかがわしさでは、ポルノショップで売る大人の玩具と似たり寄ったりだ。
それが、なんと1台1350万円もする。
「高すぎる!」
といわれたのかどうか、納車時には、1台1050万円になった。
「へえ、値下げしたんだ」
と聞いたら
「いや、装備を落としただけです」
なんでも、バッテリーを減らして航続距離を落としたのだとか。
これが、今桐生市が誇る観光客用の無料乗合自動車、「まゆ」である。
こんな出来そこないが、いったい何故に必要なのか?
「日産のバネットを買ってきてさ、エンジンをモーターに載せ替えてバッテリーを積めば、多分、1台400万円もあれば電動バスができるはず。バネットなら窓ガラスはちゃんと入っているし、航続距離を犠牲にすれば冷房も暖房も効く。こんな無駄なもの、何で買ったの?」
私はあちこちで悪態をつく。
東京のどっかの大学の教授のプロジェクトに総務省が5000万円の予算をつけたものの、他に使ってくれるところもなく、結局桐生市のNPOに渡って「まゆ」のご購入となった、と聞いた。
実に無駄な税金の使い方である。このような大学教授を何と呼んだら良かろう? たかりや?
といっても、市内で私の賛同者はあまり現れないから、私は限りなく少数の意見を吐く異端児である。
あ、かなり話が脱線した。済まぬ。
というわけで、O氏宅に所を変えたBUFFALOは、いまだに活躍の基盤を整えてもらっていない。
わが家でちゃんと稼働したものが、所を変えて稼働しないわけはなく、これはO氏宅のLANの問題だと分類している。
3日かかると踏んだ昼間の仕事を、1日半にして見きった私は、明日時間がある。O氏宅を訪問して、明日こそ、かの家のネットワーク環境を見てみようと思う。
TSUTAYAの宅配レンタルの会員になろうと思っている。
ネットワークオーディオの環境が整ったわが家では、すでにCDは無用の長物である。必要なのはCDではなく、その中に入っている音楽データである。
であれば、CDを買う必要はさらさらない。レンタルで借りてリッピングしてNASに記憶させれば、CD以上の音質で音楽が楽しめるのだ。
会員となり、これぞ、と思うCDをリッピングし終われば、退会すればいい。
さて、わが家に欠けている音源は何か?
そういえば、レコードで沢山持っていたジャズは、あまりCDとして買い換えていない。ソニー・ロリンズやマイルス・デイビス、コルトレーンにチャーリー・パーカー。借りるものはたくさんある。
ロックだって、ロック史に残る名盤なんて言われるヤツも、ないものが多い。ピンク・フロイドなんて1枚もないし、60年代のブリティッシュ・ロックも揃っていない。
まあ、2、3ヶ月もあれば、めぼしいものはリッピングし終えるのではないか。なにしろ、新しく入ったQNAPのNASは、3テラのHDDを装填している。総容量の6割が実用容量だとしても、1.8テラ。いまの4倍以上の音楽を入れてもいい計算である。
あまり金を使わずに、楽しみを増やす。今週末はTSUTAYAに会員登録する予定である。
昨日、今日と、昼間は椅子に座りっぱなしの仕事であった。まあ、実質的にはほとんど暇なので、かなり本を読めたのはいいが、できの悪い椅子に座り続けたため腰の具合がおかしくなった。とにかく、30分に1回は座り直したくなる椅子で、どんなに座り直しても、やがて足が痺れたようになる。
それも日程半分にして仕事に見切りをつけた原因で、今日は早めに風呂に入り、腰をゆっくりと温めた。
「若いころにはなかったのになあ」
と思う。だが、若いころの己を顧みれば、視野は狭く知識もずっと浅かった。
さて、アホウで元気と、それなりの年の功を積み重ねた老体と、どちらがいいか?
選択ができない、無意味な問いである。無意味な問いを問いながら、まあ、死ぬまではこの体と付き合わねばならぬ。人生とはそのようなものである。
年の功を、多分、他より少しばかり積み重ねたことで、いまだに友人付き合いをしていただける人々がいる。それを悦びとして日を重ねる私である。