2017
10.22

2017年10月22日 学園祭

らかす日誌

昨日、雨を押して群馬大学理工学部の学園祭に行ってきた。「群桐祭」というのだそうな。

いや、いくら桐生に住んでいるから、群馬大学理工学部が桐生にあるから、といって、学園祭に顔を出す義務は私にはない。学生達はなるべく多くの市民に来て欲しいだろうが、私の側には祭に参加する責任はない。

それなのに、雨を押してまで出かけてしまった。私の性格からすると、異常な行動といえる。

世の中の決まり事にはまったく関心がなく、お祭りなどにもほとんど関心を示さない私であるが、一つだけ弱いものがある。義理人情である。この夏知り合ったばかりの友に招かれてしまったのだ。これから友情を育もうという相手から誘われれば、断る術はない。

それはこんなメールで始まった。17日夜のことであった。

 「21日(土)に群桐祭(大学祭)に来ませんか。板橋研究室やモンゴル留学生の出店を賑やかにしてください!!」

返事はかようなものである。

「あなたに言われれば、行くしかありません。何時頃に何処に現れればいいですか?」

かくして、私の祭参加が決まったのである。

 

日が迫るにつれて天気予報が気になり始めた。当初は

「私も行く」

といっていた、お祭り好きの我が妻殿は

「雨だと足場が悪い。お前は足が弱いから、今回は諦めろ」

と説得し、結局、招いたお人と共通の知人である本町3丁目の仲間3人とキャンパスを訪ねた。午前11時頃のことだ。

懸念していたごとく、当日はやっぱり雨。

「これじゃあ、ガラガラだよね」

としゃべりながら駐車場に向かうと、ほぼ満車。ふむ、群桐祭、桐生の人々に愛されているか。

まあ、それでも例年に比べれば人では少ないのだろう。

「おお、来てくれましたか!」

我々を見て顔をほころばせたのは、可憐な女子大生ではない。有り体に言えば、いい年をしたおじいちゃんである。この人、教授ではない。ましてや名誉教授なんてものではなく、助教でもない。なんと、学生さんなのだ。

「なんか、私、最年長の学生なんだって」

齢70であればさもありなん。板橋研究室を仕切る板橋教授に

「是非に」

と誘われ、老骨にむち打って理工学部に通い、中国での土質改良事業などに従事する。はっきり言って、何をしているのかよく分からんおじさんである。夏の桐生祇園祭に群大生の応援を頼み、当日になったらこの方がいらっしゃった。私を含めて周りはみな

「なんか、とても偉そうな教授さんも来てくれた」

と感激しつつ、粗相がないように丁寧にご挨拶申し上げると、

「いや、私は学生です」

以来、酒を酌み交わす仲となったのである。

 

そして群桐祭。彼は雨を避けるためであろう、テントの中に腰をすえ、我々を迎えた。たちまち、テントの中に5人のじじいグループができた。

「平均年齢は70超している?」

という集団である。そして場所は大学祭である。浮く。浮いて浮いて浮きまくる。

「酒、飲む?」

—あのう、ここは禁酒なんです。

「あ、大道さん、ここ、たばこやっていいから」

—あのう、ここは禁煙エリアでして、向こうの方に喫煙所があります。

学生さんに注意されまくるおじさんグループである。

「えーっ、酒飲めないの? 盛り上がらないじゃない!」

 「たばこダメ?!こんな広い場所なのに?」

とわめきながら、出されたオム焼きそば(焼きそばの上に、クレープのように薄い卵焼きが乗っている)、インドネシア風焼き鳥、春雨スープなどを遠慮なく平らげるおじさんグループである。

「あのー、じゃがバターはいかがですか?」

学生の押し売りも来る。そりゃそうだろ、いい年のオヤジばかりが寄り集まっているのである。.オヤジは金があるふりをする生き物である。であれば、売れ残りの食い物をここで売りつけるしかないという知恵は、学生にも備わっているのである。

 

2時間ほど群桐祭を冷やかして帰宅した。
帰宅すると、次は妻女殿のお世話である。私がどう説得しても

「私、投票に行く」

とおっしゃる変わり者である。翌日曜日は台風が接近する恐れがある。どうしても参政権を使いたければ、投票は土曜日の内に済ませておくに越したことはないという私の話を、これだけは何故かすんなりと受け入れられた。であれば、私が車を転がしてお連れするしかない。

期日前投票所は市役所。訪れると、駐車場は車で満杯であった。誰の思いも同じらしい。

「だけどねえ、ここで立候補している3人。どいつもこいつも投票するに値しないぜ」

と私は思うのだが、そうは思わない人が世の中では多数派らしい。世に悪態をつく私は少数勢力である。

車で待つ。本を読みながら待つ。

 「なんでこんなに混んでるのよ。並んだとたんに40分待ちだって言われたわ」

やっとお戻りになった妻女殿は、大変ご不満そうであった。あなたのような人がたくさんいるから投票所が混むのであるとはとうとういえない私であった。

戻って台風対策。駐車場に出ている物干しを全て倒し、風で飛びそうなバケツやちりとりを屋内にしまう。

「さあ、いつでもやってこい、台風!」

と力みかえった昨夕であったが、本日ただいま、まだ台風は到着しない。おいでになるのは夜明け近くらしい。

 

という週末でありました。
皆様、投票、台風対策は済ませましたか?