2024
07.29

ルルとロキソニンで新型コロナを打ち負かしたようである

らかす日誌

当たり前、といえば当たり前のことだ。
何が当たり前かというと、私も新型コロナに感染したらしいことである。
そりゃあそうだろう。狭い家の中で新型コロナウイルスの持ち主と同居しているのである。あまつさえ、

「具合が悪い」

という新型コロナ患者を、ドアを閉めれば狭い密室になる愛車で医者まで送り迎えしたのである。コロナウイルスが変異して宿主である感染者を殺さない程度に毒性を弱る代わりに感染力を強める、というどこかで聞いた説が正しければ、私が感染しないはずがない。そのような状況にいる私にすら感染できないようでは、毒性を弱めた意味がないと新型コロナウイルスは悔し涙を流すはずである。

体調に異変を感じたのは、妻女殿の感染が分かった24日の翌日、25日だった。朝から何となく体調が思わしくない。たいしてひどくはないが、頭の回転が鈍っている感じがする。足元もほんの少しだが定まらないような気がする。

「こりゃあ、来たかな?」

と瞬時思った。

妻女殿が感染していなければ、私は直ちに医者に駆け付けたはずである。何度も書くが、妻女殿は膠原病である。症状を抑えるため免疫抑制座が欠かせない。その妻女殿に私からコロナウイルスが感染したとすれば、

「あんた、私を殺す気か!

といわれても仕方がないところである。
ところが、すでに妻女殿は新型コロナウイルスをお持ちである。であれば、妻女殿への感染を心配する必要なない。であれば、もう少し様子を見てから医者に行ってもいいではないか? あの、鼻の奥に、先に脱脂綿を浸けた金属棒を突っ込まれるのはいやだし。

26日、やっぱり体調が優れない。何だか喉が腫れているような気がする(声帯ではない)。体温を測ってみた。37.2℃。微熱である。さて、医者に行くか?
ところが26日金曜日はかかり付けの内科医は休みである。であれば、もう1日様子見をしよう。症状が激化すれば救急車で桐生厚生病院に行けばいいや。

27日土曜日。朝から頭が重かった。胸には違和感がある。体の動きから切れが消えて軽度の夢遊病者のようである。体温を測る。39.1℃。おお、そこまで来たか。やっぱりコロナか。
ところが、その高熱にもかかわらず、動こうと思えば体は動く。いや、妻女殿はまだ体の動きが自由にならない状態である。私が体を動かさなければ誰も食事の用意などできず、3度の飯にありつけない。
だが、さすがにこの日の朝食は、食パン(ローソンだけで売っている低糖質のパン)を1枚焼き、バターを塗って食べるのが精一杯だった。いつもならサラダやベーコンエッグを作って添えるのだが、とてもそんな労働は無理だった。それでも3度の食事を欠かさないのが私である。

しかし、この状態はやばい。どうしよう? 我が家はコロナに感染した老々世帯であるぞ!
私は考えた。新型コロナウイルス感染は風邪の一種であるともいわれる。だったら、風邪薬を飲んでみるか。それにロキソニンは解熱効果もある。飲んでみるか。
私は風邪の常備薬として「新ルルA錠」を常備している。抵抗力が落ち、いったん風邪をひくと長引くことが増えたこの年齢になって、

「ひきはじめに治療する」

のが最善だと考えたからである。
また鎮痛剤のロキソニンは我が家の常備薬である。体中の痛みを訴えられる妻女のに欠かせないのである。

食パン1枚だけの朝食を終えた私は、ルルを3錠、ロキソニンを1錠呑んだ。朝食が済めば使った食器を洗うのが日課だが、この日は汚した食器は1枚もない。
よって、次の日課に遷った。パイプタバコの時間である。パイプとタバコの葉と本を持って駐車場に出る。

「39度の熱でもそれをやるか!」

とおっしゃる方もあろう。だが、この日の39℃は私にその程度の行動の自由を許す39℃だった。インフルエンザで39℃を超す高熱が出た時は熱が下がるまでぶっ倒れていたような記憶があるが、不思議なことにこの日の私は、パイプの煙を楽しむゆとりがあった。

真夏である。屋外はすでに30℃を超していたと思う。だからタオルも持って出て流れる汗を吹きながらパイプをくゆらすのだが、この日は流れる汗の量が全く違った。タオルがたちまちのうちに乾いた部分をなくした。

「なんでこんなに汗が出るんだよ!」

と怒っているうちに、ふと思いついた。

「これ、汗を出して熱を下げようとしているのではないか?」

パイプの時間を終え、屋内に戻って熱を測ってみた。37.2℃。あれまあ、やっぱり熱が下がっている。心なしか体の動きに切れが出て、頭もはっきりしてきたようだ。ルルとロキソニン。私の処方は間違っていなかった。

夜、本当に頭がすっきりしたのかどうか試してみた。前日、全くやる気が起きなかった算数の問題(「数学」ではない。念のため)を解いてみたのだ。このところ私は、頭の老化防止のため、またまた算数に挑んでいるのである。
すると、解けるではないか、算数が!
なお、使ったのは「ステップアップ演習」(東京出版)である。瑛汰の中学受験を応援するために買った本が、こんなところで役に立った。

そして今日28日。朝一の体温は37℃。まだ少し高いと思い、ルルとロキソニン。いま現在の体温は36.5℃。全くの平熱である。ひょっとして私、ルルとロキソニンで新型コロナウイルスに打ち勝ったのか?

このところ、新型コロナの第11波が来ているとメディアが報じている。それにともない、1万5000円、3万円もする薬が処方されていると続くから、新型コロナウイルス感染を2類から5類に変えて治療費を自己負担とした政府の施策を批判するようである。
だけど、私のようにルルとロキソニンでコロナを退治した(と私は思っている)例もある。医者という職業が責任を逃れるために過剰医療、過剰薬物投与になりがちなことを考えて、政府の責任だけを追及する報道姿勢に疑問を感じていた私は、その疑問を自分がコロナに感染した(多分)ことで自説を実証したような気分になっている。