今日は「足利日赤に行ってきました」で予告した通り、足利日赤で胃カメラを使った検査をしてきた。
胃カメラを飲むのはこれが2度目である。1度目はもう十年近く前、朝日新聞社員として最後の健康診断に臨んだ時であった。桐生市内の病院で
「鼻からがいいですか? それとも口からの方が?」
と問われ、そんなことを聞かれても答える知識を持ち合わせていない私は
「楽な方がいい」
と答えた。薄い記憶だが、鼻から内視鏡を突っ込まれたようである。そしてピロリ菌が見つかり。処方せんを受け取ってピロリ菌を退治する薬を服用した。
本来なら、服用が終わったらもう一度胃カメラで検査し。ピロリ菌を壊滅できたかどうかを調べるとのことだったが、
「まあ、薬を飲んだのだからいいだろう。あの検査はもうイヤだ」
と今日まで放っておいたのであった。
検査は午前10時からである。9時半ごろに到着、受け付けの前で待っていたら
「大道さん」
と呼ばれた。部屋に入ると、看護士さんの問診であある。
逆流性胃炎はないか? ――ありません。
嚥下障害はないか? ――ありません。
呼吸しにくいことはないか? ――ありません。
タバコは吸うか? ――はい。若い頃に比べると本数は減ったけど。
酒は飲むか? ――もちろん! 昨夜も飲みました。
今日は何も食べてないか? ――はい、口をゆすいだだけです。
まあ、こんな質問が延々と続いた。
「大道さん、胃カメラを飲んだことは?」
「はい、1度だけあります」
「そうですか。当院は口から胃カメラを入れますのでご承知置き下さい。はい、ではこの液体を飲んでいただきます」
「これ。不味い?」
「まあ、美味しくはありません」
飲んだ。やや年生のある液体で、懸念したほど不味くはなかった。
次は診察室である。ベッドで左を下に横臥させられ、また液体を口に入れられた。何でも麻酔薬だそうで
「私がいいというまで飲み込まないで下さい」
やむなく、口の奥の方にどろりとした液体を感じながら、飲み込む許可を待つ。1分ほどかかったろうか、やっと
「どうぞ飲み込んで下さい」
といわれ、ごくりと飲み込んだ。
すると別室から検査技師が登場した。私に麻酔薬を飲み込ませた看護師が何やらプラスチック製の器具を私の口に押し込んだ。全体は筒状である。この穴から胃カメラを入れるらしい。
「では入れますよ。うん、もう少し頭を反らして、そうそう、その姿勢で」
かなり太い胃カメラが口から差し込まれる。最初は
「この程度か」
で済んでいたが、1分ほどするとなんだかおかしくなった。
「おえっ!」
これをえづき(嘔吐反射)というらしい。異物が私の口から食道に差し込まれる。それに肉体が反応し、何とか異物を押し出そうとするのだろう。いや、私も押し出したかった。
「もう止めて!」
とまでは言わないが、間欠的に
「おえっ!」
である。気分ははなはだよろしくない。が、これは我がのどの違和感の正体を突き止めるために必要な試練である。私にできることは一刻も早く検査が終わり、敵の正躰を知ることを願うことだけである。つまり、耐えるしかない。
胃カメラにはガスを出す装置がついているのだろうか。時折、噴射音みたいなものが聞こえ、何だか医が膨らんでいるような気がする。そうか、胃の表面を詳しく見るために胃を膨らませているのか。
「おい、まだかよ!」
といいたくなった(この状況ではそんな発音はできないが)ころ、やっと胃カメラが我が体内を出た。さて、違和感の正体は見つかったか。
「いやねえ、食道を詳しく見ましたが、炎症もないし、きれいですよ。貴方がいうのどの内側が腫れた感じ、の正体は分かりませんねえ」
えっ、あの難行に耐えた結論がこれ?
「しかし、のど仏の下あたりが腫れているようなんですよね」
「そういえばあなたはタバコを吸われますね。それが原因だとも考えられます。どうですか、禁煙してみませんか?」
「ちょっと待って下さい。のどにはれぼったさを感じることと煙草との間にどんな関係があるのです? AがありBがある。だからAとBの間には関係がある、という推論は非科学的ではないですか? 私と同じような症状の人の喫煙率が高いというデータでもあれば納得するかもしれませんが」
検査技師は反論しなかった。あ、この男に反論しても無駄だな、と思ったのかもしれない。
とりあえず、違和感はあるものの、私ののどに異常はなさそうである。しかし、せっかくイヤな思いをしたのだ。もうひとつだけ聞いておかねば。
「ピロリ菌はいましたか?」
「いや、いませんでした。胃もきれいな状態ですよ」
これが本日の検査の全貌である。かかった費用は1100円(何故かいま、私の医療費負担割合は1割である。おそらく、2年ほど前に車を買い替えて課税所得が急減したためだと思われる)。
とりあえず、耳鼻咽喉科でも消化器内科でも、私ののどに異常は見つからなかった。だが、貼れている感じは今もある。さて、これからどうしたらいいのだろう?
どうでもいいことだが、朝食を抜いた今日の私の昼食は、アジの開きを使った茶漬けであった。妻女殿が
「貴方が勝ってきたアジの開き、そろそろ食べないと傷むわよ」
とおっしゃったので従った。アジの開きを焼き、身をほぐしてご飯に乗せ、ゴマを振ってお茶をかける。それだけの料理である。鯛茶漬けは美味だが、これは今一ついただけない。救いは手間がかからないことぐらいか。おかずは白菜の漬け物と梅干し。
あ、忘れていた。デザートはスイカだった。

コメント