01.18
2015年1月18日 事故
「えっ、またタイトルがないジャン!」
そんな事故が最近、「らかす」で増えている。前回もそうで、今日の分を書こうとして気がついた。それから慌ててタイトルを考え、つけたのはいうまでもない。
原因は、しばらく前に方針を変えたことにある。
これまで長い間、原稿を書くには、まずタイトルを決めていた。
「今日は、これを中心に書こう」
それがタイトルである。だから、タイトルを決めるには、さて、今日は何を中心に書くのか、今日の中心を言葉にしたらどういうことなのか、考えねばならなかった。
これが、結構時間を食う。隅々まで、とはいわないが、まずもってその日に書くことの全体像をイメージしなければならぬ。イメージした上で、それを短い言葉に置き換える。10分、20分考え込むのは日常茶飯であった。
「もっと楽に書こう」
と考えて採用したのが、タイトル後付け、である。
まず、何となく書き始める。書き始めると、書いたことに促された様々な妄想が起きる。その妄想群の中から、
「今日はこれにしよう」
とテーマを決める。
そうした方が書きやすいのではないか? 従って、執筆に必要な時間を短くすることができるのではないか?
と考えたのである。
まあ、それがうまく行ったかどうかは、この際どうでもいい。
結果として起きたのは、原稿を書き終えると、その日の仕事を終えた気分になったことである。で、そのままサイトにアップする。アップするときには、
「この原稿には、まだタイトルがないのだぞ」
ということは忘却の彼方だ。
という次第で起きた事故、事件である。ご容赦願いたい。
で、この週末、もうひとつ事件が起きた。
我が妻女殿の歯の治療を、相模原で開業する次女の旦那に委ねていることは何度もご報告した。昨日は、その診療日であった。午前9時前に桐生を出て相模原に向かい、治療をしてもらって横浜の自宅、というか、現在は瑛汰、璃子を中心とする次女一家の住まいとなった家に向かった。
着いたのは午後2時頃。瑛汰と璃子は、いつもに増して歓迎してくれた。そういえば、正月は2人に会っていない。ほぼ1ヶ月ぶりの再会である。ボスの偉大さを思い知るには充分な期間であったようだ。
瑛汰の水泳教室に付き合い、プールサイドで璃子と時間をつぶし、戻って3人で入浴、読書、勉強。
いつものように時が過ぎ、そろそろお小さい皆さんは布団に入る時間になった。
その時、璃子が宣言した。
「璃子、ボスと寝る」
全員が驚いた。
璃子が、
「ボスと寝たい」
といったのは、実は今回が初めてである。
会えばベタベタし、寸刻もボスから離れようとしない璃子なのだが、いざ就寝の時間になると、
「璃子、ボスとは寝ない。ママと寝る」
が決まり文句であった。様々に説得しても
「璃子、ママと寝たい」
と退けられ続けた。
それが、誰も何もいわないのに、
「璃子、ボスと寝る」
さて、璃子の中でどのような心理の変化があったのか。璃子、4歳と6ヶ月少しである。
思い起こせば、四日市の啓樹も、横浜の瑛汰も、物心ついたころから、私と一緒に夜を迎えれば、
「ボスと寝る」
のが当たり前だった。仕事で、あるいは仲間内で酒を飲んで遅く帰る日も、
「ボス、帰ってきたらボスの布団に連れて行ってね」
と命令され、酔った身で、すでに熟睡している啓樹、瑛汰を私の布団に運んだ。そして、朝目が覚めると、憧れのボスが隣にいることに安心するのか、ニッコリ笑って
「ボス、お早う」
という。
2人とはそのような付き合いがいまでも続いている。
だが、璃子、嵩悟の4歳グループは、少なくとも昨日までは、ボスとは絶対に寝ようとしなかった。
恐らく、一緒にいた時間の違いだろう。
啓樹は長女の初めての子どもである。年に数回は四日市から横浜の我が家にやって来ていて、私が風呂に入れ、おしめを替え、あやした。
瑛汰は横浜の我が家から車で20分ほどのところに住んでいたので、週に何回も我が家に来た。週末はほぼ毎週、平日もパパが泊まり勤務(当時、パパが務めていた歯医者さんは24時間診療だった)のときは平日もやってきて、私と時間をともにした。
だから、私に対する違和感は、多分、ほとんど感じたことがないはずだ。
璃子と嵩悟は、それに比べればたまにしか会わない。上の啓樹、瑛汰が成長して幼稚園、やがて小学校に通うようになったので、私のところに来る機会は、夏休み、冬休みなどの長期休暇に限られるからである。だから、たまにしか顔を合わせない「ボス」に、何とはなしの違和感を持ち続けるのも仕方がないことなのである。
それが、突然
「璃子、ボスと寝る」
である。
これは恐らく、私への違和感がゼロになったというのではなく、ママがいなくても寝ることができるようになった精神的な成長を示すのだろう。親からの自立。その時たまたま、ボスが近くにいただけである。
で、昨夜の璃子は、布団に入って本を2冊読んでやると、すぐに寝た。私が一番右側で、隣が璃子、その隣が瑛汰である。
私の隣になることができない瑛汰が、
「璃子、ママのところに行くんだろ?」
と何度も問いかけ、そのたびに璃子が
「行かないよ。ボスと寝るんだもん」
と反論しながらの寝付きであった。
今朝7時過ぎに、まず瑛汰が目覚めて私の隣に潜り込んできた。潜り込んで
「璃子、朝だよ」
と璃子を起こす。目覚めた璃子が
「お早う」
と挨拶する。
「璃子、ボスと寝られたね。四日市の嵩悟はさ、まだボスと寝られないんだ。お正月にボスのところに来たときも、ママとしか寝なかったんだ。嵩悟に電話して、『璃子はボスと寝たよ』って教えてやるか?」
1時間ほどあと。四日市の嵩悟とフェイス・タイム(テレビ電話)がつながった。
「嵩悟、璃子さ、ボスと寝たんだよ」
告げられた嵩悟は唖然とした顔をした。
「嵩悟もボスと寝な」
と璃子に追いつめられた嵩悟は
「だけど、嵩悟は……」
さて、次に会うときの嵩悟は、愛おしくてたまらないママのおっぱいに見切りをつけてボスの布団で眠ることができるほど成長しているだろうか?
ボスと寝ることができてすっかり自信をつけた璃子は、別れ際にいった。
「ねえ、璃子さあ、今度ボスのところに100日泊まるからね!」
はいはい、どうぞどうぞ。
いまのところ、100日にわたって璃子を満足させる自信はないけどね。まあ、来るのは拒まないから、いつでもおいで!