2018
03.13

2018年3月13日 書き換え

らかす日誌

今回は珍しく、朝日新聞を褒めてとらす
森友学園、よく頑張った。財務省による公文書書き換えを最初から最後までスクープし続けた。安倍内閣も隠し通せなくなり、とうとう書き換えの事実を認め、書き換え前後の公文書を公開するに至った。

改竄文書を公開しながら、安倍内閣はすべての責任を佐川宣寿・前財務省理財局長にすべておっかぶせる考えのようである。しかし、うまく行くのかな?

麻生財務相は、佐川が国会で嘘の答弁をした証拠になるから、というので財務省職員が勝手に書き換えた、と説明した。これ、どこからどう見ても無理筋の理屈である。

まず佐川である。
天下の俊才が寄せ集められている霞ヶ関で、その頂点に立つ財務省の理財局長まで上り詰めた男である。並大抵の頭脳の持ち主ではない。記憶力抜群、頭の回転数最高! ってな明晰な頭脳の持ち主なのだ。
まかり間違って、私が理財局長になり、国会で答弁せざるを得ない立場になったら、そりゃあ数々の間違いをしでかすであろう。私のメンツを保つために、部下は数々の文書書き換えをせざるを得なくなることは火を見るより明らかである。
しかし、東大を出て財務省で上り詰めた佐川の頭脳を私のものと比べるのは、佐川さんにあまりに失礼である。彼が記憶間違いによって間違った答弁をするはずはない。

それに、だ。万が一、瞬間的にど忘れしたとしても、である。
国会で答弁に立つ人の後ろには、いつも数多くのサポート役が控えている。質問を受け、自分の記憶にないことであれば、膨大な書類を用意して控えている部下に

「あれ、どうなってたんだっけ」

と聞くことが出来る。聞かれれば、部下は正当に作成された書類をめくって該当の書類を瞬時に見つけ出し、

「あれはこうなっております」

と書類を見せながら報告する。
つまり、政府委員として官僚が答弁席に立つ時、間違った答弁などあるはずがないのである。

さらに10万に一つ、それでもポカをして間違った答弁をしたとしよう。席に戻ってきた佐川に、後ろに控えた部下が耳打ちする。

「いまの御答弁は、この点とこの点が間違っております」

そうすれば再び答弁席に向かい、

「先ほどお答えした中に、私の勘違いがございました。事実はこのようになっております」

と修正答弁をする。国会の審議とはそのように進むものであると、私は理解している。

この中のどこに、佐川が国会答弁で間違う隙があるのだろう? ない。絶対にない。
だから、佐川のメンツが潰れないように、あとで文書を改竄する必要は出てくるはずがない。

あるとすればただ一つ。佐川は意図的に嘘の答弁をし、その嘘がばれないように公文書を改竄した。
どう考えても、それ以外の結論は出てこない。

では、なぜあえて嘘の答弁をしたのか。言い換えれば、佐川が嘘の答弁をすることで利益を得たのは誰か?

佐川ではない。森友学園でもない。誰がどう考えても、ここまでの論理に間違いはない。では誰のために佐川は嘘の答弁をし、それがばれないように財務省が文書を改竄したのか?

結論は目の前にあるように思う。
安倍内閣、持つのかな?

にしても、だ。
権力を持つ方々は、森友学園に関する不都合な事実が表に出るのを、八方手を尽くして阻止しようとされたようである。その十重二十重の包囲網を突破して、朝日新聞はいかにして公文書改竄の事実を発掘したのか?

事実を知りうる立場にいる人物の一人が漏らしたのは間違いない。映画「大統領の陰謀」にちなんでいえば、ディープ・スロートが存在する。いったい誰なのか?

ディープ・スロートになるためには、問題の情報を知りうる立場になければならない。改竄前の文書を持っていれば、鬼に金棒である。
と考えると、候補は絞られてくる。

1)検察官
  森友学園問題の操作で大量の文書を押収している。ここには、改竄前の文書が必ずある。
  しかし、朝日新聞にリークする利益が検察にあるか? 朝日新聞1社に漏らすことと、マスメディア全社に公表することとに間に、何か違いがあるか?
  担当検事が、たまたま朝日新聞記者と学生時代から仲がよかった、なんてことがあれば別だが、ここがリーク元の可能性は高くないと思う。

2)財務省
  一番ありそうなのがここである。財務省文書の改竄が出来るのは財務省だけ。何人かの職員が作業に関わった。
  中に、正義感の持ち主もいたはずだ。命じられて改竄作業はしたものの、「これでは日本がおかしくなる」と危機感を持った人が。
  そう、中央官僚とて、悪い人ばかりではない。人一倍の正義感を持ちながら、ふだんはそれを隠して生きている人もいるはずである。
  そんな「彼(彼女?)ではないか。

3)自民党幹部
  政治家とは、様々な人脈、情報ルートを持つ人たちである。その一人が手を回して改竄文書の存在を発掘し、朝日新聞にリークした。
  朝日を選んだのは、朝日が好きなためではない。読売新聞とは違って安倍政権と一線を画しているからである。森友問題を追及し続けたこともあろう。
  リークの目的? 安倍つぶしである。安倍はいかにも長くなりすぎた。思い上がりが目立つ。そろそろ替え時だ、と判断したのではないか。
  これはきな臭い。政争である。その道具に朝日新聞が使われた?
  最近、森友問題に関して、自民党からは安倍内閣を突き放したような物言いが目立つ。そのうちの一人が朝日に書かせた……。

以上は私の推測に過ぎない。それぞれの確率は、検察5%、財務省50%、自民党45%というところか。
それ以外? うーん、どう考えても、改竄の事実を知る人物が他にいるとは思えないんだよなあ。

あいかわらず安倍内閣の支持率は高いが、そろそろ幕引きも近いのかも知れない。うむ、安倍っちも、「高からず高からず」の鼻を持った女房に足を引っ張られることになるのかねえ。
ご愁傷様である。