12.05
またも窮地に陥った
デジタル時代とは、良くもあり悪くもある。良い代表例は、手書きの文字が不得手な私が誰にでも読める原稿を書けることだ。悪い代表は、山手線の乗客の8割りが、スマホをいじって時間をつんぶしていることだろう。新聞や本に読みいっているのは車両の中で私だけ、という経験を何度繰り返したことか。
「そんなつまらない情報をスマホでかき集めてなんの役に立つの?」
と私は思うが、スマホに熱中している連中は私の思いなど歯牙にもかけないだろう。
そして、わが家でデジタル化のマイナス面が今日も出現した。音楽ファイルを蓄積しているNASのファイルを何の気なしに見ていたら、不可思議なファイルがたくさん見つかったのである。EXECという名称で登場し、ファイル容量を見てみると、5M程度から80M程度とばらついている。しかもこいつら、どうやらアルバム中の曲の変身らしいのだ。私はアルバム中の曲順をアルバム通りにするために通し番号を振っているのだが、例えば03の曲があるべきところにこいつが現れて03の曲が消え去っている! しかも、不要なファイルだからゴミ箱に入れても、自動的に復活するのである。
例によってアップルケアに電話をかけた。だが、埒が明くはずはない。これはアップルのコンピューターのせいではない。NASが自分で勝手にやっているようなのだ。
これも例によってチャットGT`に聞いてみたが、
「ウイルスかも」
という脅し文句が出てくるだけ。やむなく、NASに入れているHDDを初期化し、バックアップからもう一度音源をコピーする作業に取り組むことにした。
しかし、これもなかなかスムーズには運ばない。私のNASはQNAPだから、
「QNAP HDD 初期化」
などと検索しても、QNAPそのものの初期化の手順は出てくるものの、中のHDDの初期化に役立つ情報はなかなか出てこない。
とすれば、最後に頼るのはやはりチャットGTPしかない。何故か動きが鈍くなったチャットGTPをなだめつつ、その指導に従って、QNAPの管理画面からHDDの初期化に取り組んだ。
作業を始めて5、6時間後、やっとHDDの初期化には成功した(と思う)。現在は初期化したNASのHDDにバックアップディスクから音楽ファイルをコピーしているところである、総容量は2.23TB。現在、43.55GBがコピーされたところで、全部のコピーには何でも3日かかるのだそうだ。
3日後にコピーができたとして、さてNASがラズパイを使ったネットワークプレーヤーにマウントしてくれるのか? 不安の種は尽きないのがデジタル時代なのか。
CDプレーヤーで聴くより、ネットワークプレーヤーで再生した方が音質は向上する。しかし、CDプレーヤーではこんな苦労はしなかった。トレイを出してCDを入れれば音楽を再生してくれた。何ともならなければCDプレーヤーが壊れたと判断して新しいプレーヤーを買えばすんだ。すべて分かりやすいハードの世界であった。
だが、ネットワークプレーヤーはソフトの世界である、自力で何とか復活させるしかない。とはいえ、私にデジタルワールドの知識は乏しい。アップルケアを頼ってみたり、チャットGTPにお伺いを立ててみたり。私には理解しにくい指示を受けながら、そうしなけば目前にある問題が解決しないのだから、ひたすらパソコンに向かって作業するしかない。
思えば、昔は良かった。レコードをターンテーブルに載せ、おもむろにピックアップをレコードに載せる緊張感を味わえば音楽を再生できた。
いまのデジタル時代はその発展系ではある。確かに音質は向上した。だが、その見返りに、大きな荷物を背負い込んだのではないか?
現在、コピーできたのは49.15MBである。やっぱり3日かかかるのかねえ…。


