靴を買ったのは何年ぶりだろう?

久しぶりにを買った。今使っている靴で一番新しいものも多分、4,5年前に買ったものだから、ずいぶん久しぶりだ。
が、単に靴を買っただけなら珍しいことではない。日本人ははだしの暮らしから抜け出してずいぶんたつのだから、誰だって靴を買う。それだけのことだから、私が新しい靴を買ったからといってわざわざ日誌に書き残すほどのことではない。

実は、珍しいというか超現代的、というか、靴を選ぶのにちょっと変わった方法を使ったので記しておこうと思ったのだ。靴選びをAIのジェミニに頼ったのである。

私は身につけるものにほとんどこだわりを持たない。いまはLEVI’SのGパンに、ランズエンド、あるいはL.L.Beanのシャツ、それにメレルの靴が定番である。冬場になればこれにL.L.Beanのセーターなどが加わる。ランズエンドのシャツは、買い物に出ることができない妻女殿がカタログを見ながら注文してくれたもので、ランズエンドが通販をやめたため、代わって私がL.L.Beanに注文するようなった。デザインはいっさい無視である。ただサイズとバーゲン価格だけで決めるから、これもこだわりとは無縁の世界である。だた、L.L.Beanのシャツは着心地がいい。ランズエンドに比べるとはるかに格上だと思う。

そんな私が、

「ああ、そろそろ新しい靴が必要だよな」

としばらく前から考えていた。身につけるものをにこだわらない私だから、新しく靴を買おうと思ってもどのブランドを選んでいいのか、いやそもそもどんなブランドがあるのか、などという知識はほとんどない。メレルの靴を4、5足履き続けたのは、たまたま1足目を買って履き心地が気に入ったからにすぎない。
しかし、そろそろメレルにも飽きてきた。一時は6000円台で買えることもあったから良かったが、最近はそんな価格では出ておらず、1万円では買えなくなった。であれば、他の靴を試してみるか。とまでは考えたが、ではメレル以外にどんな靴があるのか、となると全く見当がつかない。そこでふと思い立って、

「いま、メレルの靴を履いています。この他にはきやすい靴はありませんか?」

とジェミニに聞いたのだ。即座に答えが戻ってきた。

1. スケッチャーズ(SKECHERS) 「スリップインズ」
2. ニューバランス(New Balance) 「880」シリーズ
3. アシックス(asics) 「ハダシウォーカー」
4. オン(On) 「Cloud 5」

である。

このうちスケッチャーズは直ちに外した。一度量販店で履いてみてあまり感心しなかったからだ。Amazonでアシックスを調べたが、カジュアルなタイプにスリップオンが見当たらない。私はいちいち紐を解いたり結んだりするのはイヤである。ニューバランスにもスリップオンタイプはほとんど見当たらず、あったとしてもずいぶん高い。
こうして残ったのがオン(On)「Cloud 5」である。Amazonだと、 「Cloud 5」は見当たらないが、 「Cloud 6」が1万8700円。少し高めだが、ジェミニが推奨する靴の中で唯一使えそうである。ジェミニが挙げた

特徴: 独自の「スピードレーシングシステム」により、紐を結ぶ必要がありません(ゴム紐のように伸縮します)

も私の手抜き暮らしにぴったりである。
Amazonでポッチンしようかと考えた。だが、待て。相手は靴である。メーカーによってサイズが違うことは何度も経験した。そこで

「メレルのサイズは28cmです。Onではどのサイズを選べばいいでしょう」

と聞いてみた。回答は

「Amazonなどの『試着後購入(Prime Try Before You Buy)』を利用して、28.5cmと29.0cmの2足を一度に取り寄せ、自宅で履き比べてみるのが一番確実です」

ところがAmazonで探してみても「試着後購入」というボタンは見つからない。では、まず28cmを注文し、あわなかったら返品して28.5cm、それでもきつかったら再び返品して29cm、とも考えた。だが、面倒である。
そこで桐生市で知り合いの靴屋さんに取り寄せてもらい、一番足に合うものを買おうと思い立った。クイーン堂シューズである。ところが、だ。

「申し訳ありません。うちはOnとは取引がないので取り寄せられないのです」

どうやらOnはある種のブランド戦略を持っているらしく。町の靴屋さんの店頭には出していないらしい。なかなか高飛車な戦略である。
そして驚いたことに、桐生で1軒だけOnの靴を置いている店があった。「st company」である。googleによると、国内屈指の有名セレクトショップ、ということになる。おしゃれを自任する方々が足を運ぶ店である。だから、私は足を踏み入れたこともない。どうやらOnのブランド戦略は、そんな店で売ることで成り立っているらしい。

恐る恐るst companyに足を踏み入れた。靴売り場は3階とのこと。狭くて急な階段を、手すりをしっかりつかみながら(そうしないと怖い。特に降りる時)登る。そのフロアにはファション雑誌から抜け出したようなおしゃれをしたお兄ちゃんがいた。

「OnのCloud 6を見せてもらいたいんだけど。サイズは少なくとも28cmかな」

残念ながら、在庫は27.5cmまでしかなかった。足を入れると、入りはするが窮屈だ。

「これ、28、28.5,29って取り寄せてもらって一番足に合うのを買いたいんだが」

と頼んだが、Onは返品を認めないという。やむなく、27.5cmに押し込んだ足の状況をお兄ちゃんに見てもらい、

「28.5cmがベストだと思います」

というお言葉をいただいて、それを注文した。

それが届いたのが昨日である、そして今日、初めて履いて外に出た。なるほど、なかなか具合のいい靴だ。適度に足全体を締めつけ、指先には遊びがある。紐靴だが、紐はゴム製で伸びるから、紐を結んだりといたりする手間はいらない。うん、とりあえず気に入った!

今日は刺繍会社「笠盛」の笠原会長に会いに行った。笠原さんも一時はメレルの愛用者だった。であれば、メレルに勝るとも劣らないOnという靴があることを教えてあげないと。

「笠原さん、新しい靴を買ったんだわ。Onというスイスの靴なんだけど、ほら、これなんだが、なかなかいいよ」

「あっ、Onを買ったんだ! 最近流行っているよね」

えっ、笠原さん、あなたはOnをご存知か?

「うん、知ってるよ。どうして?」

さすがに刺繍会社の会長である。ファションの世界を知り尽くさなくては仕事はできないということか。そんな方に「On」を教えてやろうとした私が世間知らずであった。

多分私は、そのうち2足目のOnを買うのだろう。モスグリーンの用な色もあったから、あれにしてみるか、と考えている私がいる。ん? 金はあったかな…。

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