この間、他にも買ったものがある。こちらは買い替えではなく、全く新規のものだ。新兵器をわが家に投入したのである。
1つは電動ペッパーミルである。
妻女殿の体調が思わしくなくなって以来、私が台所に立つ頻度が急上昇した。その私はスパイスが好きである。野菜炒め、ステーキ、目玉焼きなど多くの料理にペッパーを使う。そしてペッパーを楽しむには挽きたてが好ましい。すでに粉末になっているコショウや粗びきのコショウもあるが、あの香りを楽しむにはペッパーミルは必需品である。
だから1ヶ月ほど前までは普通のペッパーミルを使っていた。あの大谷選手のジェスチャーですっかり著名になった料理道具である。
ところが、なのだ。私もすでに喜寿。両手で持って両手を反対方向に動かすあの動作がややつらくなった。つらいだけなら
「これも衰える筋肉を、何とか現状に留めるための試練である」
と考えても良かった。
しかし、ペッパーミルをお使いになった経験をお持ちの方にはおわかりいただけると思うが、手動のペッパーミルではせっかく挽いたペッパーがあちこちに散らばるのである。左右の手を反対方向にねじれば、その度にペッパーミルが揺れてペッパーの行き先が変わる。野菜炒めならそれでもいいが、ステーキ肉にペッパーをまぶそうと思うと、その周囲に挽いたペッパーが結構散らばるのである。
「これは肉体労働を減らす、挽いたペッパーを無駄にしない、の2点を目標に電動のペッパーミルを買うべきである」
そう決断した私はAmazonで検索し、これを買ってしまった。2280円。これで2つの目的を達することができれば対した支出ではない。
快適である。挽いたペッパーは目的地にきちんと着地する。上部のボタンを押すだけだから腕が疲れることもない。
私と同じ悩みをお抱えのあなた、購入を検討されてはいかがですか?
さらにわが家の電化を進めたのは、電動の大根おろし器である。これは自宅でモミジおろしを楽に、美しく作るのが狙いである。
わが家の夕食は鍋料理がきわめて多い。不自由な体で妻女殿が準備をすれば、白菜などを切りそろえれば済む鍋料理の頻度があがるのは仕方がない。
鍋料理に必須なのはモミジおろしである。ポン酢だけで食べても何だかクリープを入れないコーヒーのように物足りない。なお、私はコーヒーにクリープなどの邪魔者は入れず常にブラックで楽しむが、ここは表現の妙としてお許し願いたい。
で、モミジおろしである。これは菜箸で大根に穴を空け、そこに種を取り除いた鷹の爪をお仕込み、一緒におろし金ですり下ろすことによって作る。と書くと簡単そうだが、実際やってみるとなかなかうまくいかない。鷹の爪がなかなか大根の穴に入ってくれないのだ。菜箸で押し込もうとしても断固として入穴を拒み続けるのである。何とか押し込んですり下ろすのだが、料理屋で出てくるようなきれいなモミジおろしになってくれることはめったにない。
そこで私は
「大根おろしも電動化したら美しいモミジおろしができるのではないか?」
と考えた。ついでに
「肉体労働からも開放される」
と考えを重ねた。その結果、またまたAmazonでこれを買った。4482円。やや高価だが、2つの目的を達するためには仕方のない支出である。
で、モミジおろしの制作に取り掛かった。製品の写真を見ていただくと、上につき出した煙突のような部分がお目に留まると思う。こにに大根を入れ、別の器具で大根を下に押し付けながらスイッチを押せば大根がすり下ろされる。
それはいいのだが、この煙突部分がきわめて小さいのだ。買ってきた大根のままではとうてい入らない。やむなく大根をこの煙突のサイズに合わせて切る。すると厚さ3cmほどの大根の延べ棒ができる。さあ、準備の半分は終わった。
次は、この大根の延べ棒に菜箸で穴を空け、鷹の爪を押し込まねばならない、と私は考えた。だが、である。延べ棒にする前の大根に鷹の爪を押し込むのもなかなかうまくいかない作業である。同じ作業を厚さ3cmほどの大根の延べ棒に施すのは至難の業である。やむなく大根に切れ目を入れ、そこに鷹の爪を挟んですり下ろしてみた。
どうなったと思います? 何と、鷹の爪はすり下ろされることなく、ほぼ原形のまますり下ろされた大根の中に鎮座しているではないか?
「なんでこんなことに?」
とAIのジェミニに聞いてみた。ジェミニの答えは、大根の下ではギザギザがついた回転場が高速で回転しており、大根に挟み込んだ鷹の爪はこの歯によって大根から引きずり出されてしまうからうまくいかない、というのである。
そうか、手動でやっている時は鷹の爪が先に出てこないように手で押さえることもできたが、この電動器具ではそれはできない。ではどうすればいい?
ジェミニの答えは、先に鷹の爪を細かく粉砕し。それを大根に空けた穴に詰め込む、というものだった。そんな面倒なことをしなければモミジおろしができないの? これでは労働軽減も中途半端ではないか。
この手法はまだ試していない。だからこのジェミニ流で美しいモミジおろしができるかどうかは不確かである。
もしできなかったら…。無駄な投資をしてしまった、と後悔する我が姿が目に浮かぶようだ。

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