2016
05.04

2016年5月4日 高儀

らかす日誌

というメーカーを御存知だろうか?

実は、掃除機を買った。買い換えた。先日お伝えしたように、Dysonが動かなくなってしまった。Dysonの他に我が家にある掃除機はルンバ君だけ。ルンバ君は私の事務室には入ってきてくれない、というか妻女殿が入らないように戸締まりをされてから動かされるため、事務室用の掃除機がどうしてもいる。それに、車の中を掃除するために、充電式の掃除機は欠かせない。

Dysonの不調を確認し、そもそもDysonは壊れやすいことを知ったあと、私が検討したのはマキタであった。が、ごらんになればおわかりの通り、何ともダサイ。それに、この何ともダサイ掃除機が、吸引力が一番強いものを選ぶと、なんと2万6000円以上もする。

「といってもなあ、他のメーカのやつはもっと高いし……」

なにしろ、たかが掃除機なのだ。ゴミを吸ってくれればいい。ゴミを吸うだけで2万6000円?
ダサイとか何とか言いつのりながらマキタに決めかねたのは、この価格が障害になったのであった。

「でも、どうする? 大枚はたいてパナソニック? 日立?」

迷いながらamazonで掃除機を見ていた。すると、これがあった。

高儀 EARTH MAN リチウムイオンバッテリー 18V 充電式クリーナー VCM-180LiA 

見た目はマキタそっくり。いや、白に橙色を配した色の使い方はマキタより垢抜けている。ユーザーの評価も、

「へえ」

というほど高い。ゴミを集める紙パックは、マキタ製を使えるとある。

「ああ、これ、マキタのパクリなのね」

そのはずである。とにかく安い。本体にリチウムイオンバッテリー、充電器がついて1万3800円。しかも、ここから20%引くのだという。マキタの同等品の半額以下だ。

「だけど、大丈夫かよ?」

そう、こんなお値打ち品にぶち当たった時、迷うのはこの1点である。大丈夫かよ。

何度もユーザーの声を読んだ。
最悪の反応は、吸引力がいまいち。やっぱりDysonにしておけばよかった、というもの。だが、吸引力は十分強い、と言う声もある。それに、私はDysonにあきれかえって他の掃除機を探しているのである。だからこの声は無視する。

と論理を進めると、他の反応は極めてよい。心配なのは、これが中国製であることだ。

「ひょっとして、好意的な反応は、メーカーの回し者が書き込んだのかも……」

中国ならその程度のことはやっちゃうだろう、と私でさえ考えてしまうのは、このところの中国のお国柄があまりにもいい加減であるためである。

が、中国メーカーはいま、必死で日本の真似をしている。日本の技術者を高額の契約金で引き抜くなんて日常茶飯事だと聞く。このメーカーもご多分に漏れず日本人技術者を雇っているとしたら、性能は信頼できるのではないか?

それにだ、2割引で1万1040円なのだ。だまされても、

「やっぱりそうか」

と笑える価格ではないか?

というわけで一昨日ポッチンし、昨日届いた。
見た目はよい。吸引力も、とりあえず室内で使う分には十分だ。ただ、音が大きい。ま、この価格だもん、文句は言えないけどさ。

問題は1つだけ。長いパイプを本題に繋いで使うのが普通になっているので、仕舞い場所に困る。自立はしないし、横にしておくと場所を取る。壁に立てかけると滑って倒れそうだし。
ま、これはマキタも同じだから、まあ、仕方ないか。

というわけで、久々の中国製品との付き合いが始まった私である。


昨日はパエリアづくりに取り組んだ。桐生市の祭りで、主催者に頼まれたのである。昨秋に続いて2回目だ。

桐生に来てつくったパエリア。ずっと水の量を間違え、失敗続きであった。それでも、食べた方は

「美味しい!」

と歓声を上げて下さったのであるが、作る私には自尊心が人一倍ある。今回こそは、という意気込みが体中に充ち満ちていたことはいうまでもない。

エビにアサリにイカ、鳥肉。玉ねぎ、ピーマン、トマト。そして今回は初の試みとしてパプリカも加えた。

「ん、やっぱり具が多いよな。出しちゃえ」

4分の1ほど具を取り出し、残った具を炒め終えてエビだけ引き揚げる。あとで上に乗っけるのだ。そして湯を加え、出しが出たところで塩とサフランを加える。しばらく待って米を入れ、

「よし、今回はうまく行く!」

米がスープを吸い、水面が米の面と同じぐらいまで下がったら日をとろ火にする。そうしてじっくり炊きあげる。

「あれ、このコンロ、火を絞ると消えちゃうよ!」

そうなのだ。とろ火にできないコンロなのである。

「おい、焦げちゃうぜ!」

が、加熱は続けるしかない。ここで火を止めては、ちょっとふやけた生米の山ができるだけだ。
何とかしなければ。火と鍋を離そうと、そのための小道具を探す。が、急場で見つかるわけもない。かといって、手近にある木材をコンロと鍋の間に挟み込んだら木材が燃え上がる……。

「えーい、焦げちゃえ!」

瞬時の決断である。焦げていい。焦げた部分は食べなければいいのだ。その上は立派に食べられるはずである。なにしろ、パエリアは男の料理である。男には思い切りが必要なのだ。

「ん? 何か焦げ臭いけど」

といってきた人が数人。事情をお話しして、焦げ臭さを我慢してもらった。

さて、仕上がりはどうだったかって?
ま、それなりに良かったんじゃない? 出来上がる頃には50人ほどの列ができていたし、一番前に並んでドタバタを見ていたおばちゃんが、

「あんた、1人で給仕するの? 無理だよ、手伝ってやる!」

とホントに給仕を手伝ってくれた。見も知らぬおばちゃんである。
製作途中から、

「うわー、すごい豪華なパエリアですね!」

とつきまとっていたおじちゃんは、給仕してもらったパエリアを口にして

「美味ーい!」

と喜び、ほとんど尊敬のまなざしで私を見つめていた。

ではあるが、これも失敗である。うっすらと焦げができるのは望ましい。その焦げた部分がまた美味しいというのがパエリアなのだ。
しかし、昨日の焦げは、試しにかぶりついてみたが、ガリガリのゴリゴリ、おまけに苦くてとても食べられたものではなかった。

「次回はコンロを変えて」

と主催者に申し入れた私であった。

にしても、疲れた。
疲れて帰宅し、ボーッとしていると、妻女殿がおっしゃった。

「どうしたの? また失敗した?」

五月蠅い! 放っといてくれ!!


突然であるが、明日朝6時から、西宮に行く。O氏に誘われた。桐生西宮神社の氏子総代(確か名称は違ったような気がするが、まあ、中身は同じでである)である彼は、毎年この時期、本社である西宮神社に行くのだそうだ。

「そのとき、鞄持ちがいるのよ。だから、ね」

何故に私が彼の鞄持ちをしなければならないのか、いまだに釈然とはしない。が、ホテルも食事も向こう持ちらしいので、

「だったら、ま、いいか」

程度の判断である。
使うのは、私の愛車、BMW。使用歴10年のポンコツになっちゃったが、まだまだ走る。

「本当に調子が出るのはこれからだね」

といってくれる人もある。
ちなみに、高速道路料金、ガソリン代も向こう持ち。ということは、あれか? 俺、鞄持ち兼運転手?

何でも6日に儀式があって、午後2時までには終わるとか。それから四日市に向かい、私は啓樹、嵩悟の家に1泊する。O氏は

「せっかくだから」

と、仲間と伊勢神宮に行くのだそうだ。7日に四日市で合流して桐生に戻る。

「というわけで、ボスが遊びに行くのだが、ボスと何処に行きたい?」

嵩悟に電話をしたら、

「本屋さん」

という回答が来た。
私の子供たちは、ひいき目に見ても読書家ではなかったが、その次の世代は揃って本が好きである。ボスは極めて満足している次第である。
神戸から肉まんでも買っていってやるか。