2017
06.10

2017年6月10日 作業

らかす日誌

朝から肉体労働、知的労働に追われた。

まずは、可動式棚、あるいは本箱の製作である。

机の上、周りが紙で埋まっていた。頼まれた仕事の資料である。資料である以上、作業をする机のそばになくてはならない。ところが、わが机は息絶え絶えのiMacが鎮座し、作業の大半を受け持つMacBook Airが居座る。片隅にはキヤノンのプリンターがある。どれもこれもいまの私にはなくてはならないものだ。ついでに、いらなくなった印刷済みA4の紙を半分に切った計算紙兼メモ用紙がある。筆立て、筆皿だって必要だ。おまけに、パイプたばこをたしなむ私には、パイプの掃除道具も机の上に欠かせない。

さて、これだけのものをあなたの机に全て乗せたと想像していただきたい。実際に作業をする隙間はありますか?
我が家ではなかった。ために、仕事で集めた資料は机の周りに積み重ねられることになった。

この部屋、仕事部屋ではある。だが、仕事が終わり夜になれば、私の寝室でもある。この紙の山の中で寝るのが嫌だとはいわない。だが、狭苦しい。

というわけで、今日は朝から可動式の棚を作った。机の周りに散らばる資料、書籍を収納するためである。あわせて、プリンターを机上からこの棚の上に移す。一連の移動で机の上に作業スペースができる。それが狙いである。

材料は昨日のうちに、太田市のジョイフル本田で買ってきた。米松の合板である。910×1820で3980円。使うのはこのうち4割ほどで、かなり余りが出るのだが、やむを得ない。一緒にキャスターも四個仕入れてきた。むろん、合板はその場でカットしてもらった。正確に切ってくれるし、カットしなければ車で運べない。

朝からの作業は手慣れたものである。駐車場にシートを敷き、その上で作業をする。まず電動サンダーで材料の表面を仕上げる。それが済めば木ねじで止めるだけである。作業終了まで約1時間
終えて、シャワーを浴びたのはいうまでもない。

これが、出来上がった可動式棚である。
これを机のそばに置いて片付けたら、こうなった。

いかがであろう。見出しの写真が棚がなく、片付かなかった机の周りである。私の労働の成果が出たと自己満足しているが、あなたはどう判断される?

今日2番目に優先しなければならない作業は、瑛太の算数であった。5年生の瑛太は、塾ですでに順列・組み合わせの問題に取り組んでいる。順列・組み合わせなんて、私は高校で初めて取り組んだ記憶があるが、いまは小学生のうちからやるらしい。あれ、面倒で、どうにも好きになれない。しかも、自分の出した答が正しいかどうかの検算をすることがほぼ不可能である。なんとも処置に困る分野である。

瑛太が

「分からない」

と白旗を掲げたのは

大、中、小の3個のサイコロを同時に1回ふって、出る目が大きい順に、大、中、小になるのは、全部で何通りありますか。

という問題であった。答は20通り。その気になられた方は自力で挑んでみられよ。

次は璃子からの宿題である。
去る3月、長男の初めての子=あかり=が生まれた際、妻女殿とご一緒に静岡まで出かけた。あかりは静岡の病院で生まれたのである。あかりとの初対面を済ませたあと、妻女殿は

「静岡には伊勢丹がある。行きたい」

と言い出された。私は、別に行きたくもない。だが、足が弱く、ほとんど自宅にこもりっきりの暮らしをお続けになる妻女殿は、このような機会があると、こういう所に足を運ぶことを所望される。普段の欲求不満の解消なのだろう。従順なる運転手である私に異を唱える事などできるはずもない。
ここで妻女殿は陶器製の「宝石箱」をお買い求めになられた。といっても、我が家に宝石などあろうはずもない。宝石箱といっても子供用のもので、璃子へのお土産であった。彼らには、女同士で通じ合うものがあるらしい。

これを受け取った璃子は、たいそう喜んだという。ところが好事魔多し。良きことのあとには悪しきことが訪れる。璃子がこの宝石箱を取り落とし、本体と蓋をつなぐ蝶番の部分で割れてしまったのである。璃子は大声を出して泣いたらしい。
このようなとき、わが一族には不思議な風習がある。

「大丈夫よ、璃子。ボスが直してくれるから」

といったのは、璃子のママ、つまり私の次女であった。わが一族の中で、ボスには不可能の文字はないと信じられているらしい。また、璃子もそれで泣き止んだというから、ボス、こと私は恐ろしいほどの信頼を集めているといえる。
考えてみれば、瑛太の解けない問題が私の所にやってくるのも同じ信仰によるものである。どこに、子どもの子どもの算数の勉強を手伝うお年寄りがいようか? 少なくとも私は、私以外に実行している人を知らない。

それはそれとして、だ。この修復作業、先日横浜に行ったときに一度試みた。エポキシ系の接着剤があったのでそれでくっつけてみたがくっつかない。そのままでは璃子の嘆きは行き場がなくなるので、

「ボスが桐生に戻ってくっつけてくるわ」

と、その宝石箱をこちらに持ってきていたのである。その作業をする時間がやっと見つかったのだ。

使うのは昨日、ジョイフル本田で買ってきた瞬間接着剤である。一度くっつくとほとんどはがれないほど強く接着するはずだし、しかも乾くと固くなる。これなら大丈夫と判断した。

で、早速やってみた。一方に瞬間接着剤を塗り、他方をくっつけて押さえる。1分、2分。

「もういいか」

と手を離すと、いかん、取れちゃう。まだダメだったかとまた押さえて、1分、2分、3分…。

「いかん、これ、くっつかんわ」

まあ、これが私のものなら諦めれば済む。しかし、これは璃子の大切な宝石箱なのだ。宝石など持っていない幼児に何故宝石箱がだ大切なのか、などと野暮なことは考えまい。とにかく、くっつかないままでは問題は解決しないのである。

私は2正面作戦に出た。最終的な目的は璃子の満足を得ることである。では、どのような手があるか。

1)とにかく、くっつける。
2)くっつかない場合、同じものを買う。

まず、2)から手がけた。Amazonで探してみたのである。あった! これである。
よし、これで最悪の場合の救済手段はできた。となれば、心おきなく、接着作業に戻ることができる。

まず、何故くっつかないのかを考えた。接着しなければならないところを見ると、両方が凸凹である。そうか、ひょっとしたら。凸凹が悪いのではないか。接着すべき場所にたくさんの隙間ができるため、接着剤が充分働かないのではないか。

私はやすりを取り出して、接着箇所を磨きにかかった。他の箇所に傷を付けないように慎重に作業を進める。やがて、双方ともが平らになってきた。やすりの跡は残っているが、まあ、この程度はいいだろう。

こうして、2度目の接着作業に入った。片面に瞬間接着剤を塗る。もう一方を押しつけて押さえる。1分、2分。手を離す。

「あれ、外れちゃった!」

が、ここでめげてなるものか! そのまま接着面同士を押し付け合い、さらに3分ほど。

「おっ、できた!」

いま、璃子の宝物の宝石箱は食卓の上で静かに接着剤が完全に乾くのを待っている。あとで、接着箇所の周りに瞬間接着剤を上塗りする予定である。そうすれば大丈夫だろう。

と、ここまで作業をすすめて午後1時半。やっとのことで、この日誌を書いている私である。

が、WordPressで原稿を書くのはこれが初めてだ。先ほどはリンクの貼り方をネットで調べた。これから、写真の貼り付け方を調べる。このホームページ、写真がないとどうにも様にならないから、作った可動式棚の写真を付けてやろうと思っている。
うまくいくかどうか。あ、これをアップしたということはうまくいったということであるわけで、皆様には我が苦労のほどは伝わらないんだなあ。

これからも新生「らかす」をよろしくお願いします。