2022
11.28

共産党を倒せ! 習近平を倒せ! 中国から目が離せない。

らかす日誌

すっかり世界の迷惑国家になってしまった中国で、民衆のデモが広がっているという。

「共産党打倒!」

「習近平は退陣せよ!」

と唱え始めたと言うから、力で、つまり警察権力、果ては軍隊まで動員して民衆を押さえつけてきた今の体制に対する根源的な叛乱である。しばらく、中国から目が離せない。

きっかけは、私の目から見ればどうと言うことはないコロナ対策である。ゼロコロナを唱える習近平政権は、コロナが発生した地区を強引に封鎖してコロナの感染拡大を防ごうとしてきた。
住んでいる地区を封鎖されたら、買い物にも行けない。働きに行くことも無理である。一夜の楽しみのために繁華街に出ようとしても強引に押し戻される。公園でデーとしようなんて輩は国賊である。それが、もう3年近く続いている。

「もう3年だぞ、いい加減にしろ!」

という不満が蓄積していたとしてもおかしくない。それが、ウルムチ市での火災で10人が亡くなったのをきっかけに吹きだした。
民衆が

「10人を救えなかったのは、コロナ対策の行動制限のためだ」

と怒ったからである。

中国は、私たちが考える自由が存在しない国だ。

「せめて、コロナ前程度の自由を俺たちに戻せ!」

そんな国に生きざるを得ない人々の、どう見ても控えめな要求が、反政府、反習近平の政治運動にならざるを得ないのは、中国共産党がそのような国を作ってきたからである。

反権力の叛乱とも呼びたくなる騒動は、これからどんな展開を見せるのか。

思い起こせば、中国という国は上が図に乗りすぎると民衆が叛乱を起こす国である。唐は黄巣の乱で崩壊し、明は農民の反乱を指導した李自成がつぶした。清は19世紀半ば、太平天国の乱に見舞われ、国力を消耗した。いまの共産党政権が直面した最大の民衆叛乱は天安門事件だろう。

日頃私たちが知る中国人は、日本に来て爆買いする観光客や、反日のプラカードを掲げて日系企業に押し寄せる大衆、政府の命を受けて尖閣諸島周辺の日本領海に侵入を繰り返す不届きな軍人たち、といったところだろう。しかし、いまの街頭デモを見れば、中国には、政治が不条理であれば立ち上がってきちんと落とし前を付けてやるという健康な精神も根付いていると嬉しくなる。

いま、共産党と習近平にNOを突きつけて街頭に出ている人々は、そんな中国民衆の熱い血を受け継いでいるのではないか。恐らく、ゼロコロナ政策への不満は単なる引き金で、実は鬱積している中国共産党への不信、不満、批判、憤怒が爆発しかかっているのではないか。

さて、習近平はどうする?
絶対権力者は民衆を恐れる。己に従うべき民が牙を剥いて己に向かってきたとき、身体の底から恐怖感が沸き上がってくるはずである。
だから、力で弾圧する。警察力で足りなければ、軍を出す。兵隊が自国民に向かって引き金を引く。1989年に起きた天安門事件では、1万人が軍に殺されたとのレポートもある。
今回も習近平は、反攻する国民に銃を向け、殺すのか?

いま、中国に向けられる海外の目は、かつてなかったほど厳しい。そんな衆人環視の中で、習近平は自国の民を殺すか? 殺す根性があるのか?

民衆に銃を向ければ、騒ぎは一旦は収まるだろう。当面の政治目標はそれで達成できる。だが、頻繁に国民に銃を向ける国を誰が信用する? いま中国で生産している海外企業は、そんな国での生産をいつまで継続する?
安易な解決法は、思わぬところから反作用が出る。

そして何よりも、安易に国民に銃を向けた事実は、大衆の記憶に刻み込まれる。次に立ち上がるとき、民衆はさらに賢くなって、より効果的な反権力闘争を組織する。それもつぶされれば、より強くなって再起する。
多分、歴史とはそのように流れてきたはずである。

中国はどうなるのか?

というのが、いまや国際的な最大関心事である、と私は思う。習近平がこの事態をどう裁くのか。メンツを捨ててゼロコロナ政策を見直すのか。しかし、それは習体制の崩壊の始まりにもなり得る。それとも、私が思い描いたように暴力を振り回して弾圧するのか。その時、世界は中国をどう評価し直すだろうか。

それなのに、である。
今朝の朝日新聞の1面トップは、ワールドカップで日本がコスタリカに負けた、というどうでもいい記事だった。中国での大衆の叛乱は1面左肩である。
おいおい、私の後輩たちよ。お前さんたち、何処までとち狂って朝日新聞の価値を下げればいいんだ? 中国の大衆叛乱は、習近平政権の命運、これからの世界情勢に影を落とさずには済まない。それを押しのけた日本敗戦は地球を崩壊に導くのか?

私はサッカー、ワールドカップにほとんど何の関心も持っていない。テレビの生中継も見ない。だが、それでも、新聞読者のワールドカップへの関心の高さは理解しているつもりである。だから、中国の大衆叛乱がなければ1面トップでもいいかな、とは思う。
だが、この2つは、同じ日の朝刊1面で報じられた。これでいいのか、朝日新聞?

どの記事を1面トップにするかは、そこそこの偉いさんが決める。
昔からそうだったのかも知れないが、朝日新聞って、阿呆しか偉くならない会社なのか?