台風のごとく襲来し、台風のごとく去った。あかり。

あかりが昨日わが家にやってきたのは、午後6時過ぎだった。
詳しく書くと、あかりのママはこの日、高崎市に出張する仕事があり、午後5時50分ごろ桐生に着く列車でやってきた。駅までお迎えに行ったのはもちろんである。
改札口を出てきた彼女は、

「もう、あとの2人も桐生に着いている時間」

という。電話をさせると、確かにJR桐生駅近くのホテルに到着しており、すぐにそこに向かった。3人を私の車に乗せてとりあえずわが家に向かおうと思ったが、長男は稼働日に労働戦線を無視してあかりを乗せた車を桐生に向けて走らせたため、仕事が残っていたらしい。

「母ちゃんとは明日も会えるし、俺は直接夕食の場に行くよ」

夕食の場、それは彼らが泊まったホテルからほど近い焼き肉の店「たけ内」である。一度行って肉質の良さ、冷めんの美味さに魅せられ、時折足を運ぶ店だ。

という流れで、わが家で妻女殿に挨拶したあかりとそのママを乗せて「たけ内」へ。妻女殿は体調不良ということで不参加である。

我がファミリーで「たけ内」の評判はきわめて良い。私より敏感な舌の持ち主である長男も絶賛、あかりは

「小学四年生の女の子がこんなに食うか!」

というほど肉を食べ、ご飯を食べ、冷めんを平らげ、チョコレートパフェまで注文した。大満足であったに違いない。締めて2万4000円。

食べ終えて、店主の了解を得て駐車場で花火を楽しんだ。
それでも、時計の針はまだ9時である。

「帰るか?」

と聞いたら

「カラオケに行こう」

という返事が戻ってきた、いや、この頃声帯が不調で、俺、歌が下手になったんだわ、などといえるムードではない、

「おっ、そうするか」

と歩いて5分ほどのカラオケハウスに場所を変えた。
長男家庭の3人とボスの4人である。先頭を切るのはあかり以外にない。その選曲に度肝を抜かれた。

Hey  Jude

なのである。あかり、小学四年生。それが「Hey  Jude」? この子、何か飛びすぎていないか? 聞くところによれば、いや聞かなくても想像はできるのだが、ビートルズに心酔するあかりに、音楽を語り合う同級生はいないらしい、そればかりでなく、あかりには、同級生が「幼く」見えて仕方がないらしい、我が長男は交遊が広い。そして、自宅に友を招いて酒を飲むことが多いらしいのだ。これは私の性格を受け継いだのかもしれないが、勢いあかりは大人の会話を耳にすることが多い。それと比較すれば、学校の教室で同級生がペチャクチャしゃべっていることがつまらなく聞こえても仕方がない。
だがそれでも、あかりは教室で話を合わせているらしい。

おい、あかり。そんな感性を持っていると、恋愛はできないぞ、とは思うが、それはあかりの問題である。あかりが自ら解決するしかない。あかりのお眼鏡にかなう男がどこかで育っていることを願わずにはいられない。

いや、あかりの話が長くなった。話を戻そう。あかりの次のリクエスト曲である。

Yellow Submarine

ビートルズのオンパレードだ。そして

Hello, Goodbye

しかし、小学4年生で、ここまで深くビートルズに魅入られている子が、全国に何人いるのだろう? 面白い。

ちなみに、私が歌わされたのは1曲だけ。息子が勝手に入れた

「自由への長い旅」(岡林信康)

である。

こうして、あかりを迎えた夜は過ぎていった。

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