11.16
2008年11月16日 小指が……
今回は、継続している「私と暮らした車たち」シリーズを一時中断し、緊急報告する。
今日、エレキギターを買った。Fender JapanのST62-DMC/VSP 3TSというモデルである。
Fender Japanのホームページには、
「アルダー2ピースのラッカー・トップコート・ボディにディマジオ・コレクション『Classical Vintage』ピックアップを搭載したビンテージスペシャル・62ストラトキャスター」
とある。この日本語、読んでもほとんど理解が不可能だ。マニアには分かるのかも知れないが。でも、これからは私の用など素人が購買者になる時代ですぜ。申し越し表現に気を遣っていただければ……。
さらに、Classical Vintage ピックアップの説明はいう。
「各ピックアップポジション用にサウンドキャラクターが設定され、最適なバランスのサウンドを出力できるようデザインされている。クリアで厚みのあるビンテージサウンドを特徴としている」
ま、これもよく分からん。分からんが、でも格好いいでしょ?
ホームページにある定価は12万3900円(税込み)。ラゾーナ川崎の島村楽器で税込み10万円強で買った。
最後まで迷った。売り場には見た目がそっくりなFender Japanのギターが7万2000円強で飾ってあった。
自慢じゃないが、私ののギターはヘボである。
フォークギターは持っている。簡単なコードはいける。弾きながら歌える。その程度だ。
アルペジオはできない。だからビートルズの「Black Bird」なんてコピーできない。しゃれたフレーズを弾こうなんて100年早い。そもそも人生の残り時間は100年もない。
それに、エレキギターには全くの素人である。ストラトが、テレキャスが、といわれても全く分からない。エレキでバンドを組もうなんてあか抜けた友人がいるわけでもない。
いずれにしても、ギターに大枚の金を使うようなレベルではないのである。
だから、買うとしても安い方でいい、と思っていた。が、
「このヴィンテージモデルはピックアップが違います。フェンダーが自社のピックアップを使わず、わざわざ他社のものを使っている。それだけ優れている認めたからです。それに塗装が違います。使い込むと剥げてくるのですが、それとともに音も熟成します。使い込めば込むほど味が出るギターです」
という店員の売り込みに心を揺さぶられた。3万円の差なら、やっぱりいいものを持った方がいいんじゃない? という説得力があった。
私は、プロのしゃべりに弱い。ま、おかげで、3万円ほど余分な金がかかったが。
そもそも、エレキギターを買おうかな、なんて思い始めたのは、長女の長男・啓樹の影響による。
啓樹はサザンオールスターズ命で、12月の4歳の誕生日プレゼントにエレキギターを欲しがっている。
「いい子にしてれば買ってあげる」
といいながら、私はすでに島村楽器に予約を入れた。子供用のミニエレキで、2万9500円。ミニギターのくせにチューニングが正確にできるという。色目は、桑田佳祐が使っているのと同じ3TSである。これも、
「この色でなくちゃいや!」
という啓樹のリクエストだ。
ちなみに3TSとは、スリートーン・サンバーストの略らしい。まあ、上に載っけた写真の色目と思ってもらえれば間違いはない。
啓樹にエレキギターを買い与えることを約束して以来、なにやら、胸の内にもやもやするものがあった。
「そういや、俺だってエレキギターが欲しい時期があったよなあ。いままで買えなかったけど……。敬樹は俺みたいなボスがいて良かったな。俺も、俺みたいなボスが欲しかったな」
で済んでいれば、今日の散財はなかった。2週間ほど前、ふと思ったのだ。
「啓樹と一緒に、エレキギターを練習してみようか」
恐る恐る妻に言ってみた。
「啓樹も喜ぶかも知れない。買ったら」
鬼にもたまには情けがある。私の定年が迫ったからだろうか。
こうして今日の散財となり、こうして原稿をかいている横にFender JapanのST62-DMC/VSP 3TSがある。惚れ惚れするほど美しい。
買ってきてすぐ、教則本に従って練習を始めた。まずはドレミからである。5弦の3フレットは薬指で、4弦の2フレットは中指、3フレットは薬指、3弦の2フレットは中指、2弦の1フレットは人差し指で押さえるとあった。
ほとんど人差し指だけで押さえていた私は思った。
「なるほど、慣れればこちらの方が楽だわ。さすがにプロは違う」
教えられることは多々ある。
ここまではできた。次は、1フレット人差し指、2フレット中指、3フレット薬指、4フレット小指、という役割分担で、連続して音を出せという。
挑んだ。早くも壁が立ち塞がった。人差し指、中指、薬指までは何とか動く。だが、小指が何ともならない。ブス、なんて情けない音が出る。
我が左手の小指は動きの大半を薬指に依存し、独自の動きをするのがはなはだ苦手らしいのだ。小さな時から独立心を持てと教育したつもりだったが、実際は甘やかしすぎたのか。甘えん坊の小指さんだけはなかなか思うように動いてくれない。
ま、通常、小指で象徴されるもの者も、なかなか思い通りにはならない。これは私が体験を通じて断言できる。思い通りに動いていくれる小指がないものか……。
しかし、あれを小指で表すことを思いついた人も、ひょっとしたらエレキギターの練習を始めたばかりだったのか。
だが、ボスはやるぞ!
啓樹、お前のエレキギターを買ったら、ボスが弾き方を教えてやるからな。
瑛汰(次女の長男=啓樹と同じくサザンフリーク)が大きくなったら3人でバンドを組もうじゃないか!
目指すのはサザン? 志が低い。目標はエリック・クラプトンだ!
と思いつつ、左手の小指を見る。持ち主の思い通りにならないこいつを、さてどうしてやろう……。
というわけで、これから毎日、エレキギターの練習をします。時々報告します。
ご報告がもう一つある。
昨日、北海道出身の読者からメールをいただいた。
「もしかして、日勝峠ではありませんか? 濃い霧が出たり、路面が凍結したり、ドライバー泣かせの峠です。峠を下ったところにドライブインがあり、十勝平野を見渡す景色と牛トロ丼が私のお気に入りでした」
前回の日誌 で「日高峠」と私が書いたのは違うのではないかとのご指摘である。
「地元の人間は、日高峠なんてあまりいいませんけどね」
とも付け加えてあった。
そうですか。私も古い話なんで、実は峠の名前までは記憶が定かではありません。原稿を書く時、ネットで北海道の峠を調べました。多分ここを通ったんだな、と思われる峠を選んだのです。「狩勝峠」はなんとなく記憶の底にあるような気がしました。だけど、「日高峠」は、そうかなあ、とおもいつつ、ネットの地図に載っていたから使ってしまいました。
多分「日勝峠」です。ごめんなさい。
前回の日誌 は、細部をないがしろにした私の反省の具として、しばらくそのままにしておきます、1週間ほどしたら素知らぬ顔をして「日勝峠」と書き改めます。
皆様、それまでの間、私のエラーをお楽しみ下さい。 トホホ……。