2014
10.16

2014年10月16日 風邪

らかす日誌

この1週間弱、身のまわりが慌ただしかった。私事なので詳細は記さない。

何をいう。お前が書いていることはすべて私事ではないか。公開する私事と秘める私事の違いは何か、とお考えになった読者は、知的な訓練が充分に行われている方である。そう、書かれていることをそのまま受け取るのではなく、行間を読み、突っ込みを入れる。それが知性の働きなのだ。
と書きながら、それでも私は、この私事は明かさぬ。フッフッフ。勝手に想像するがよろしい。

などとどうでもいいことを書きながら、でも、この間、

「いくら何でも、もう更新されているはずだ」

と「らかす」へのアクセスを繰り返していただいた方々には、心からのお礼とお詫びを申し上げたい。そう、「らかす」はどこかの新聞と違い、

「まずい!」

と気がついたら、すぐに訂正だけでなくお詫びもするメディアである。あれ、「らかす」ってメディアなのか? ま、そのあたりもいい加減にしておこう。


で、私事のゴタゴタから解放されて、やっと音楽を聴く気になったのは一昨日あたりからである。同じ頃、数学とも向き合う気力が回復し、喜ぶべきことに

高校入試 1対1の図形演習」(東京出版)

を全問解き終えた。正答率は、目分量で7割ほどだろうか。事前に予想したよりも、私は図形問題には強いようである。
中には、

「この解答、間違っているぜ」

と出版社にクレームしたくなるものもあったが、現実にはやっていない。クレームをつけた結果、私の方が間違っていたら大恥である、ということもある。ま、そこまで目くじらを立てることもなかろうということもある。何しろ、私は、これから高校受験をする立場にない。正解かどうかに目くじらを立てるのではなく、数学的な頭脳構造をよみがえらせるのが狙いなのである。

で、気分の上では、何とか中学を卒業した。とすれば、次は高校である。さっそく数学Ⅰに取り組み始めた。テキストは

Z会の数学 入門 数学Ⅰ・A

である。100の単元で高校1年生の数学を終わらせようという本で、早くも単元10まで終えた。

で、問題と取り組みながら思った。

「Z会って、易しくなった?」

私は、塾や予備校、その他そのような機能を果たしているところに通ったことがない。家庭が貧しくて、とてもじゃないがそんな金を出してくれとは言い出せなかった。

しかし、

「これではいけない」

と思ったのは高校2年生の時である。どこかに書いたような記憶もあるが、高校1年生の時は、毎回88点だった中間テスト、期末テストの数学の点数が、突然64点、68点に下がった。
通っていたのは、地元ではあれこれいわれるが、所詮田舎高校に過ぎない。麻布、開成に進んでの68点ならそこそこの成績かも知れないが、田舎高校の64点は

「おい、これじゃ、大学に進めないぞ」

と私に危機感を持たせるに充分であった。何しろ貧しいのだ。数学ができなからといって、受験科目に数学がない私立大学に進むことなどできないのである。当時、授業料が月1000円であった国立大学しか、私の進むべき道はなかった。

その夏、私は数学漬けとなった。

チャート式数Ⅰ

という参考書を買い求め(ひょっとしたら持っていたけど、使ったことがなかったのかも)、夏休みの40日、がっぷり取り組んだ。すべての例題、すべての類題をすべて解いた。

住まいは田舎の古い家である。エアコン、クーラーなどあるはずがない。家中調べて一番暑くない縁側を探した。午前中はここ、午後になったらここ。場所を変えながら、でもチャート式と、ノートと計算用紙、鉛筆と消しゴム、場合によってはコンパスと定規、それに汗をふくためのタオルを持って、とにかく数学を解いた。我が人生の中で、あれほど勉強した時期はない。

2学期になった。面白いように、数学が解けるようになった。何のことはない。因数分解や式の展開、不等式など、1年生の時に済ませておくべき勉強を疎かにしていたため、数Ⅱに歯が立たなかったのだ。数学とは積み上げなければならない学問である。

で、そうなると欲が出る。

「Z会の通信添削をやりたいんだけど、お金出してくれるかな?」

母に打診した。多分、そんなゆとりは、当時の我が家にはなかったはずである。が、それでも子どもが持つ意欲は何とかして育てたい。それが親の欲であり、愛である。母はその負担を引き受けてくれた。科目は数学、英語、国語。毎月1、2回送られてくる問題は、まあ、どうしてこんな難しい問題を考えつくんだ?! と怒りさえ感じるほど難しかった。
通信添削だから、参考書を見てもいい。辞書はもちろん使い放題である。それでも、解けない。

「先生、この問題なんだけど」

高校の数学の教師に、どうしても解けない数学の問題を持っていたことがある。

「ん、大道、これは難しいな」

彼も解けなかった。
が、脳みそを絞りきっても解答に行き着かない問題と取り組む面白さを知ったのは、この頃のことである。


と昔話を書いてしまったが、私にとってZ会とは、難しさの象徴であることをご理解いただきたかったのだ。だから、この歳になって、中学を卒業できたかなと思ったとき、迷わずZ会の参考書に取り組み始めたのである。
それなのに。

易しいのだ。あの頃私を七転八倒させた難解さが何処にもない。
高校入試問題にあれほど手こずった私である。学力レベルは知れたものだ。なのに、易しい。

これでいいのか、Z会?! これをマスターしたら東大、京大に通るのか?

これを終えたら、

Z会数学 基礎問題集 数学Ⅰ・A

が控え、その先には、私を悩ませた高校入試問題集の兄貴分である

大学への数学 1対1対応の演習/数学Ⅰ

大学への数学 1対1対応の演習/数学A

が待つ。
当面、私の数学趣味は継続する。


しかし、である。政治資金がらみのスキャンダルが持ち上がった小渕優子。
一報に接したときは

「あ~あ、日本初の女性首相の器、ともてはやされていたけれど、実態はオヤジの地盤を受け継いだ田舎政治家か」

と軽く考えていたが、午後7時のNHKニュースに出てきた彼女を見て、考えが変わった。

開き直るでもなく、萎縮するでもなく、実に淡々と、堂々と、していた。まず、事実関係を調べる。その上で、正すべきは正す。いわれのない批判は、それはいわれがないとはねつける。

見ながら、

「ああ、いまの野党のへなちょこどもでは、小渕優子を落とすことはできないだろう」

と見切った。
スキャンダルが表面化してオタオタする男が並み居る中で、この肝の据わり方、傑出している。

「ひょっとしたら、本当に日本初の女性首相になるのではないか」

そんな気さえしてきた私である。

うちわ問題、ストール問題などで意味不明の弁明を続ける出っ歯松島。うん、同じ女でありながら、できが違うようだな。爪のアカでももらってきたらどうだ?


ということで、まあ、本日も一部の私事を隠しつつ、ほとんど私事でページを埋める私であった。