2016
03.11

2016年3月11日 キーボード

らかす日誌

異変に気がついたのは一昨日、つまり9日のことであった。
メールを出す必要があった。4月に開く会合のため、全員の日程を合わせなければならない。すでに予定が入っている日をお知らせください。
新規メールを開いた。書き出しはこうである。

「皆様」

キーボードでは、

「m i n a s a m a」

と叩く。ここまで叩いて、ふと目線を上げてディスプレーを見た。???

何も出ていない。皆様、と入力したはずなのに、通信文の欄は空白である。おかしい。

「どうしたのかな?」

パソコンが異様な振る舞いをした場合は、もういちど最初から同じ手順を繰り返してみる。現代の常識である。

「m i n a s a m a」

やはり、通信欄は空白のままだ。最初に考えるのは

「メールソフトが壊れた?」

であることは、パソコンをお使いの皆様ならご理解いただけるであろう。
その疑いを検証するには、他のソフトで文字入力をしなければならない。私はWordを開いて

「m i n a s a m a」

と打ち込んだ。確かに打ち込んだのだが、ディスプレー上のWordのページには相変わらず何も出てこない。

「えっ、私の愛機、iMacが昇天した?」

そりゃあ、我がiMacは2009年後期型である。そろそろ寿命が尽きても不思議ではない。だが、寿命が尽きてもらっては困る事情が私にはある。
一番大きいのは、新しいiMacを買う資金の問題である。約20万円。間もなく年金だけが収入源となる年代の私にとっては、大きな支出である。

それと同等、むしろもっと大きな理由もあるのだ。OSである。
いま使っているのはMacOSX 10.6.8。御存知のように、OSが変わると、動かなくなるソフトがたくさんある。それがWordやExcelなら我慢もしよう。文書を作るのにWordは必須ではないし、Excelでつくった書類を開くことができるソフトもいまはある。新しく買うとしても、かつて私が大嫌いだったマイクロソフトも落ち目になって姿勢を変え、Mac用のソフトもそれなりに安くなっている。

最も困るのはDreamweaverである。そう、この「らかす」をつくるのに使っているアプリだ。バグだらけの跳んでもアプリであるにもかかわらず、CS6といわれるやつはもう中古しかなく、しかも89000円もする。それより新しいのは、毎月の課金が発生する。
「らかす」が課金サイトであったら(こんな文章でお金がいただけるとはとても思えないが)、その程度の金は支払ってもいい。しかし、「らかす」はオープンサイトである。見たい、読みたいと思われる方は、無料で読んでいただくことができる。
である以上、お金をかけずに運営しなければ、それでなくてもサーバーのレンタル料を支払っているのだから、いつまで持続できるか自信を持てないのである。金の切れ目が縁の切れ目、なのだ。

というわけで、iMacを買い換えたら、このサイトは別のソフトで、それもアップル純正のソフトを使おうと考えている。だが、これまでつくってきたページは、このソフトで書き換えることはできない。最初から作り直しになるわけで、そこまでの覚悟がまだできないのである。

「おい、まだ昇天してないよな?」

それを確かめるため、私はキーボードのキーを1つずつ順番に叩いた。すると、叩いたキーに対応する文字がデジスプレーに現れたり現れなかったりする。おかしい。

もういちど、順番にキーを叩いてみる。同じ結果になる。

「ということは……。キーボードの一部が壊れている?」

思い返せば前夜、キーボードに水をぶっかけてしまった。やばい! と直ちにUSBを抜き、一晩乾かしたのではあったが、USBを抜き去る前に勝負はついていたということなのか。

とはいえ、それだけでは故障の正体ははっきりしない。デスクの奥から、買ったときに付属していた無線キーボードを引っ張り出し、電池を入れ替えて接続してみた。これ、幸いに動く。

動く? そう、叩いたキーに対応する文字が、ディスプレー上に、1つも欠けることなく現れる。ああ、やっぱりキーボードの故障か。

無線のキーボードは何故か私には使いにくく、ためにUSB接続のキーボードを買い足したのであった。であれば、再び有線キーボードを買うしかないではないか。
かくして私は、またまたAmazonでアップル用の有線キーボードを探したのである。

高い。それにしても高い。使い勝手が良さそうなやつは、安くても6600円、高いヤツは1万5000円以上する。

おいおい、待ってくれ。本体のiMacは間もなく昇天する見込みである。それなのに、キーボードにそんな金をかけられるか?

というわけで、安物を探した。2000円を切るものもあったが、これ、ユーザーの反応がよろしくない。中には

「まったく使えなかった」

というレビューすらある。いくら安くても、使えないのでは安物買いの銭失いだ、と判断して2500円のヤツを発注した。BUFFALOの製品である。

昨日到着した。早速開封してiMacに接続したのはいうまでもない。キーを叩くと正常に動く。

「ああ、これでいい。いい買い物をした」

ととりあえず胸をなで下ろした私であったが、その評価が数秒たたないうちに逆転した。

「なんだ、これ。ウインドウズ用じゃないか」

そうなのである。どういう訳か、ウインドウズ用のキーボードを設計された方にはセンスというものがなかった。ために、実に使いにくいキー配列になっている。
まずもって、最下段の左から2番目に、私が心から軽蔑するウインドウマークがついたキーがある。実に美しくない。
キー配列もマックとは違い、キーボードだけを使うコピー、ペーストが、マックキーボードなら易々とできるのに、こいつだとウインドウズキーと「C」「V」のキーが離れすぎていて、左手がつるような不自然な指使いをしなければできない。
スペースキーを押したつもりなのに、どうやら他のキーに指が触れるらしい。画面に「あ」の文字が出て、

「おいおい、何が起きたんだ?」

というのはしょっちゅうである。

それに、全体が分厚すぎる。それも手前の方が分厚いから。、ブラインドタッチがしにくい。勢い、用腕の筋がはる。Mac用は手前が薄くなっており、自然な姿勢でタイピングできるのになあ……。

というわけで、このキーボード、100点満点の30点、つまり落第点である。30点はとりあえず正常に動いているので与える点。正常に動くことを除けば、1つとして納得できる点がないキーボードである。
にしても、これ、Mac用のキーボードで検索して出てきたのに……。

では、ちゃんとしたMac用に買い換える?

それももったいない。
まあ、iMacを買い換えるまでは我慢しながらこれを使うのだろうなあ、不平不満を垂れ流しながら諦めの境地にある私である。