2020
11.12

粘る、粘る。トランプだけでなく、支持者も粘る。

らかす日誌

トランプが粘る。予想されたことではあったが、選挙の不正を裁判所に訴えた。
ツイッターに

「我々は勝つ!」

と投稿した。
バー司法長官は不正選挙の捜査を促した。選挙を管轄する部署のトップがこれに反発して辞任した。
政権移行業務をトランプ政権は拒否し続けている。
ポンペオ国務長官は

第2次トランプ政権へのスムーズな移行があるだろう」

とくっちゃべった。

司法長官にしても国務長官にしても、法を曲げてでも自分をフレームアップしようという恥知らずな男に擦り寄ってポストを得た破廉恥漢である。哀れなごますり野郎どもの断末魔といえる。

予想されたことではある。が、すでに歴史は粛々と歩みを薦めている。どれほどトランプと取り巻きが足掻こうと、各国の首脳は選挙結果を厳粛に受け止めて、バイデンと「首脳」同士の対話を始めた。トランプはすでにレイムダックであり、影響力は急激に地に落ちつつある。トランプへのごますり野郎どもは、親亀が転ければ一蓮托生で転ける子亀似すぎない。一時期、世界をかき回した哀れなピエロの週末の姿である。

そのあたりは事前の予想の範囲内だ。
が、日本に、まだトランプの敗北を認めないヤツがいたとは驚きであった。昨日、千葉県東金市まで仕事でロングドライブをご一緒したI君である。

「おい、トランプ負けたな」

と誘い水を出したのは、ハンドルを握る私であった。

「何いっとるのまだ負けてないがね」

この人、報道を見てないのか?

「どこを見ても、バイデンが290人の選挙人を確保した。バイデンの勝ちじゃないか」

という常識人の私に対して、

「いや、一時は290までいったけど、 その後減らしたんだぜ」

ん? バイデンが得たはずの選挙人の数が減らされた? まあ、アメリカのことではある。あり得ないことではない。最後まで縺れ続けた接戦州でひっくり返った?
しかし、積極的に選挙人を積み上げた朝日新聞のWebページやYahooのニュースは置くとして、選挙人獲得数については慎重を極めたNHK(提携先のテレビ局が慎重だったからかか?)もバイデン当選を報道した。後になって獲得選挙人数が減ったなんてあり得るか?

「NHKのBS1で見る限り、アメリカの報道機関はどこもバイデンが勝ったと報じてるぞ。どこかトランプ勝利といっているところがあるのか?」

彼は平然と答えた。

FOX NEWSだよ」

なるほど。FOX NEWSか。トランプが経営するテレビ局とも言われる、限りなく右寄りの、偏向報道を厭わない放送局である。あり得ないことではない。

「君ね、FOX NEWSって、『事実? そんなもの、放っておけ。真実は俺たちが作る!』というトンでもメディアだぜ。ラッセル・クロウが主演したアメリカのドラマ、ラウデスト・ボイスはFOX NEWSの内幕を描いている。君が言っているのはFOX NEWSが作った真実、実はfake newsに過ぎない」

「何いってんの。ほかのメディアこそ嘘を垂れ流してるじゃないか」

そう来たか。ま、私の古巣、朝日新聞に前科がないわけではない。ために私も含めてトラウマを抱える関係者は多数に上る。私との対話でこの指摘。
支離滅裂なことを叫び続ける割には、うまいところをつくものである。攻め方を変えなければ。

「あのさ、トランプだって、実は負けたってことを知ってると思うぜ。だって、トランプ陣営が不正選挙があったと裁判所に訴えたのは、まだ勝敗が確定する前だった。私の記憶では264対214の段階だったと思う。その段階で『選挙に不正があった』と訴えるということは、各州の開票所に送り込んだレポからの連絡で、『この州は負けた。すべての州を総計すると我が陣営は負けた』と判断したからじゃないか。口で言ってるように、自陣営が勝ったと判断したのなら、裁判所に訴えるなんて無駄なことをするはずはないだろ? トランプは負けを知ってるのさ」

話はこのあたりで途切れたような記憶がある。

あれから丸1日。この原稿を書き始めて、彼がいっていたFOX NEWSが気になった。本当に、バイデンが得た選挙人は290人から減らされているのか? ネットでアクセスしてみると、あれまあ

Margin of Victory

という見出しがあり、選挙人の獲得数はバイデン290、トランプ217。未確定州を見ると、ジョージア州ではバイデンが0.3ポイントリードしており、ノースカロライナではトランプが1.4%のリード。これは朝日新聞でもYahooニュースでも同じである。
本当にFOX NEWSはトランプ勝利を報じたのか?

それにしても、I君……。そうか、アメリカにはI君のような人が7000万人もいるんだなあ。
トンでも国家の実像をアメリカがさらしだした選挙であった。