2021
04.29

G.W.が始まりました。今年は予定がおありですか?

らかす日誌

4月29日。ゴールデン・ウイークの始まりである。中には24日土曜日から大型連休入りされた方もおられるかも知れないが、普通は今日からだろう。明日の金曜日を休みにすれば、5月5日までの豪華連休となる。何か計画はお立てだろうか?

とはいえ、昨年に続いて今年のG.W.もwith corona virusである。テレビでみても、空港や高速道路はあまり混んでおらず、やはりウイズ・コロナの生活をされていらっしゃる方が多いようだ。

それでも

「俺は出かけるぞ!」

と踏ん張っていらっしゃる方もおられるようだが、私だって、仕でコロナ下の東京にも出かけたことだし一概に

「不心得者!」

と決めつける気はない。決めつけないが、

「遊び? もう少し自制してもいいのでは?」

と思う気持ちもある。
なんだか、人格が分裂したかのような私である。

そういえば、「エセー」(「随想録」ともいう)の作者として名高いモンテーニュも、在世中にペストとの闘いを強いられた。近隣まで感染が広がってくると、モンテーニュは家族を連れて旅に出る。旅というより、疫病からの逃避行を始めた。
彼が生きたのは16世紀。目に見えぬ病原体について知られていることはほとんどなかった。ただただ死の影が迫ってくる。だとすれば、とにかく闇雲に逃げを試みるしか打つ手はなかったはずである。モンテーニュが幸いだったのは、逃避行ができるだけの経済力があったことだ。そうでない普通の人々は、恐れても打つ手がなく、周りで知人・友人がバタバタと倒れていくのを見ることしかできなかった。いや、それならまだ幸いな方だろう。抵抗する術もなく亡くなった人が多かったのだから。

モンテーニュの時代に比べれば、我々ははるかに科学知識に恵まれた時代に生きている。新型コロナウイルスの正体も分かったし、ワクチンだって出来た。治療薬だってあれこれ登場し始めている。科学知識に裏付けられた感染防止策だって広く知られている。だとすれば、自分が感染しない、感染したら人に移さない、という原則を守りつつ、ワクチンが行き渡るのまでじっと待てばいい、それしか対応策はないと思うのだが、社会全体ではそれがなかなか出来ない。世の中とはもどかしいものである。

我慢我慢、ひたすら我慢

何とかこの時代を生き抜こうではありませんか!

さて、桝谷プロジェクトに一区切り付いた私は、すっかり暇になった。「らかす」とは別に仕事で書いている原稿は、取材が済んだ分はすべて書き終え、あとは取材が終わるのを待つ段階である。G.W.の間は取材など出来るはずもないので、世間並みのG.W.となる。
なのだが、私は出かけない。子供たちもやって来ない。つまり、大変に暇である。朝から何もすることがないという暇さ加減である。人生とは時間を埋めていくことである限り、この暇な時間は埋めねばならぬ。

本を読むか? いや、暇な時間をすべて読書に向けていたのではいくら金があっても足りぬ。読まねばならぬ本があるわけでもないし、読書量は従来路線を守るのが節約の基本である。
映画を見る? いや、これは毎日実行していることだ。現在は毎夕食以後、ドイツ映画を見続けており、数日前はドイツ製の「白鯨」(2010年、マイク・バーカー監督)を見て久々に映画の面白さを堪能したところである。今日も夕食後にはテレビの前に座るのだし、これ以上は見なくてもいい。

では、何を?

私は、再び数学を始めることにした。数Ⅰはやり終えたので、いよいよ数Ⅱ・Bである。参考書「Focus Gold 数Ⅱ・B」はすでに買って手元にあるので、あとはページを開き、レポート用紙を採り出し、シャープペンシルと消しゴムを用意すればいつでも始めることが出来る。

いや、いつでも始めることが出来る状態が長く続いていたのだが、何となくやる気をなくしていた。パラパラと参考書をめくってみたら難しそうだ。指数関数、対数関数、ベクトル、なんて、高校でやった記憶はあるのだが、中身はちっとも残っていない。

「今さらなあ。別に大学を受験するわけでもないのに」

という怠け心に何時しか支配され、折角買った「Focus Gold 数Ⅱ・B」は積ん読状態が続いていた。

「いや、やっぱりやってみるか」

と気を取り直したのは、暇のせいだけではない。先日読んだ「東大の先生! 文系の私に超わかりやすく中学の数学を教えて下さい!」「東大の先生! 文系の私に超わかりやすく高校の数学を教えて下さい!」という2冊の本に刺激を受けたのである。

「中学」では、あらゆる図形問題は

①垂線を下ろす
②ある辺の二等分線、つまり真ん中に向けて線を引く
③ある角度の半分になるところで線を引く(角の二等分線)
④ある辺と平行な線を引く

の4パターンの補助線を引きながら、対頂角、錯角、同位角をどんどん書き込んでいけば、だいたい解決の糸口は見えてくる。

というところで、目からうろこが落ちた。

さらに「小学生でもわかる「微分・積分」という章があり、微分とは細かく別けること、積分とは細かく分けたものを足し合わせること、という解説があり、放物線とx軸で出来る面積の求め方がやさしく書いてあって

「そうか、俺が数学をやり直そうと思ったのは、微分、積分を理解したいというのが動機だったよな」

と、かつて持ったはずの志を思い出した。
というわけで「高校」も読み、ふんどしを締め直して「「Focus Gold 数Ⅱ・B」に本日から挑み始めた私であるのだ。

第1章は「式と計算」。因数分解や数式同士の割り算などはほぼスイスイと進んだが、最初に立ち止まったのは「数式の約数・倍数」。2つの数式があり、最大公約数、最小公倍数を出せという。

「えっ、こんなこと、高校でやったっけ?」

その後は順調に進み、例題6まで今日はこなした。

さて、この数Ⅱ・Bのにわか勉強、三日坊主に終わるか、それとも数Ⅱ・Bを克服するか。

数ページめくってみた。最初の難関は「二項定理」にありそうだ。これ、今の俺の頭で克服出来るか?
ま、使わない臓器は退化する。我が脳みその退化を出来るだけ遅らすべく、脳みそを酷使し続けたいと思っている私ではあるが……。