2022
03.28

今日は朝から原稿にかかりっきりでした。

らかす日誌

72歳である私もそこそこ勤勉である。それほど急ぐ事もないのだが、何故か今日は朝から原稿を書いていた。お金を頂きながら書き継いでいるものの1つである。

とはいえ、生活習慣は崩さない。朝食が済むと、歯磨き・洗顔の前に、まずパイプタバコを味わうために駐車場に出る。パイプに葉っぱを詰め、コンパニオンと呼ばれる金属性の器具でパイプに詰めた葉っぱを押し固める。固めすぎると空気の流れが悪くなって吸うのに力がいるし、あまり火の持ちがよくない。詰め込みを甘くするとスースーと空気は通るのだが、これも火の持ちがよくない。ではどの程度の詰め方がいいのか?
ネットで見ると、葉っぱは3、4回に分けて詰め、一番下は柔らかく、上に行くにしたがって徐々に固く詰めるようにする。

「そんな。一番下をふわふわにしても、上に詰めた葉っぱをギュッと押せば、柔らかかった1段目もギュッと詰まるではないか」

と疑問を感じながらの作業である。だからだろうか、いまだに葉っぱの詰め方が上達したとは思えない。途中で何回も火が消え、そのたびにライターで再点火する羽目になる。

今朝もパイプにタバコを詰め、強い風に晒されながらライターで火を着ける。着けながらふと見上げると、家の前の桜が6分から7分の咲きである。満開寸前というところか。

「はて、昨夕は3分ほどしか開いていなかったが」

春の足取りは軽やかだ。あっという間にやって来て、あっという間に通り過ぎる。

「では、例年にならって写真を撮り、アップしようか」

とも考えたが、なーに、去年と今年で桜の咲き方に差があるわけでもない。桜の開き具合を見たい方は1年前の「らかす日誌」を開いていただければ、今年とそっくり同じ桜の写真を楽しんでいただける。ムダな労力をかけるほどのことはなかろう。

ムダな労力、で思いだした。私は昨日、ちょっとした工夫をしたのである。
我が家には赤城山降ろしの風がまともに吹き付けるとは、以前書いた事がある。その強風に吹きさらされる我が家は南側に隣家があり、日の当たりが悪い。そこで洗濯物を外に干す際は、パイプを組み合わせた物干しに洗濯物をかけ、その物干しを道路側まで運んでいく。こちらの方が日当たりがいいからだ。
ところが、強い風が吹くと、このパイプを組み合わせただけの物干しは簡単に転倒してしまう。かけた洗濯物がもろに風邪を受け止め、帆船の帆よろしく物干しを押し倒してしまうのである。だから、風の日は外干しができなかった。

しかし、家の中で乾かした洗濯物はいまいちよろしくない。やはり日光に当て、紫外線で滅菌する外干しには及ばない。

「風が強くても洗濯物を外に出す手立てはないか」

そう考えた私は、玄関前につか道もなく放り出されている煉瓦に目をつけたのである。

「これを重しにしてはどうか?」

物干しが風で倒れるのは軽量だからである。それを重くし、あわせて重心を下げてやる。そのために煉瓦を2個、ぶら下げてやれば安定度が増していいのではないか。

家を探索し、S字型の金属を見つけ出した。うち1本は衣紋掛けの引っかけ金具である。一方はすでに輪っかになっている。この金属を取りはずしてもう一方を曲げてやれば煉瓦を物干しに引っかける道具になる。
煉瓦は紐で縛り、縛った紐で輪っかを作ってS字の金具で下げられるようにした。こうして造り上げた秘密兵器の初登板が今日だったのである。

パイプを加えながら物干しを道路脇に出し、煉瓦を2個ぶら下げた。具合は良さそうである。
パイプを吸い終ええると、当然屋内に引っ込む。そうして原稿を書き始めたのであるが、外の風邪が気になる。時折、ゴーッという風音も聞こえ、そのたびに

「物干しは無事か?」

と気になる。気になるから、1時間に1度は外に出て無事を確かめる。原稿を書く。風の音を聞く。外に出る。戻って原稿を再開する……。なかなかに忙しい日ではあった。

結論を急ぐ。
物干しは強風を物ともせず、立派に立ち続けて役割を完遂した。やはり重しが効いたのである。私の生活の知恵も捨てたものではない。午後2時半、私は無事、洗濯物を取り込んだのであった。

てな事をしながら、合計約5000字の原稿を仕上げた今日の私であった。パソコンに向かって座り続けたせいか、腰が痛む。久々に腰にシップをした私である。

とまあ、太平楽な私であるが、ウクライナの人々はそうはいかない。いま、どうなっているのか?

我々が属する西側世界の報道は、ウクライナ軍、ウクライナの市民兵の健闘ぶりを伝え、ロシア軍は首都キエフへの侵攻を諦めたのか、東部に戦力を集中し始めたと報じた。ロシアのウクライナ侵攻は、東部に住むロシア系住民が虐められているのでそれを救済するというのが立て前だった。だから、首都を攻めきれないとなるとせめて東部を抑え、ロシア国内向けの言い訳にして停戦するのではないか、というのだが、本当か? 事実なら何となくホッとする(それでも、ロシア軍がウクライナ東部を制圧できなければ戦闘が続くことになるし、そもそもウクライナはその一部を他国に侵されてしまう事になるではないか、とも思う)。しかし、報道はどうしても身びいきになる。何処までが真実なのか。
ロシアが普通の国なら、ロシア国内での報じられ方と見比べて真相に近いものが見えてくるのだが、ロシアのメディは大本営発表を声高に伝え続け、とうとう真実を国民に伝えなかった太平洋戦争中の日本の新聞、ラジオと同じである。政府の意向に沿わない報道は一切できないとなれば、そんなものは何の参考にもならない。

一両日中にもまた停戦交渉が始まるという。何らかの前進を期待したいが、両側がこれだけ拳を振り上げていると、降ろしどころがはっきりしない。
桐生にも近々ウクライナ難民が来るという。彼らが1日も早く帰国できる日が来る事を願う。